男の子♂女の子♀〈下〉 長太郎の姿が見えなくなり、私は亮を見た。 「・・・じゃあ、俺行くから」 「待って!」 亮の腕を掴む。 驚いたように背を向けた亮は振り返った。 「長太郎が用意してくれた場なんだから有効活用しないと。折角だから言うけど、私は亮のことを幼馴染以上にも以下にも思ってない。 だから、態度が変わったときすっごく気になって、悩んだ。答えたくないなら答えなくても別に良いけど」 一度俯かせた顔をバッとあげ、亮を見た。 「亮は私のことをどういう風に見ているの?」 逸らそうとしない瞳。 しかし腕は逃げたがっている。 「・・・俺はっ」 亮の両頬が赤に染まる。 これってもしかして・・・ 心臓の鼓動が早まるのが分かった。 「     」 何か言ったらしいが、聞こえなかった。 こんな近くにいるのに。 でも、口の形を見て、何を言っているか分かったから 「こ〜の、恥ずかしがっちゃってちゃんと言えっ!」 素早く亮の後ろに回り、飛びついた。 足を地面から離し、亮の肩に体重をかける。 「うわっ、ちょ、止めっ・・・!」 「あら〜、亮君お顔真っ赤よ」 「馬っ、それ以上顔を・・・!」 「顔を何?」 言いたいことはたぶん「それ以上顔を近づけるな」だろう。 でも私は天邪鬼で亮をからかうのが好きだから、もっと顔を近づけてやった。 「さっきの全く聞こえなかったの。ちゃんと言ってくれたら離してあげる」 「はぁっ?!」 「早くしないと誰かが見つけに来て、跡部に怒られるぞー」 「お前も一緒だろ!」 「私は慣れてるもん!さぁ、早く早く〜」 「だから」 「だから?」 「・・・ 」 「えっ?聞こえませ〜ん」 「俺は好きなんだよ、お前のことが」 やっと耳に届いた声。 「ほら、離せよ」 口の形で悟った言葉が本当だということを、改めて知った。 「お前は俺のこと幼馴染以上でも以下とでも思ってないんだろ」 動かぬ思考、動かぬ体。 開く花。 「早く下りろよ」 手を掴んで下ろされる。 私はその手を掴んだ。 「何だよ」 「今変わった」 「あ?何が」 「〈幼馴染〉から〈異性〉に」 「は?」 この鈍感野郎! 思考が動き始める。 「つまりね」 亮の腕を引っ張って、背伸びして。 私は亮の耳元でそっと囁いた。 「私も亮のことが好きってことよ」 腕を離して、後ろで手を組んで。 微笑んだら、亮は耳まで真っ赤になった。 「べ、別に気ぃ使わなくったっていいんだぜ」 「私が亮に気を使うわけないじゃない……ううん、分かったの。この気持ちは正真正銘本物よ」 亮は戸惑い、恥ずかしがり、人差し指で眉間を掻く。 「・・・じゃあ、宜しくで良いんだな」 「うん。関係は幼馴染からランクアップしたけど、今まで通りこれからも宜しくね。 あと、ちゃんと部屋まで起こしに来てね」 「あぁ」 「何で赤くなるのよ〜!別に今更恥ずかしがることでもないでしょ!」 「あっ、あぁ、そうだな」 「何時もの亮に戻れぃ!」 頭をパシン!と叩いた。 「痛ぇ!何すんだよ!」 「よっし」 ガッツポーズをする。 「よしじゃねぇ!」 私達はこの時気付いていなかった。 迫り来る、皇帝と眼鏡に・・・・・・ 「あっ、でも明日の長太郎とのデートはしっかりと行くからね」 「断れよ」 「無理ぃ〜。誘ったの私だし〜」 「じゃあ俺も行くからな」 「えぇっ!何・・・あっ」 後ろに見える鬼の顔。 本日二度目。 一度目より更にレベルアップ。 「何だよ・・・・・!」 言葉を止めた私の視線を辿り、亮は後ろを振り向いて、鬼を視界に入れた。 「跡部」 そう、景吾ぼっちゃまがご立腹しているのです! 「てめぇら何してんだ!鳳が全然戻って来ねぇから宍戸に見つけに行かせりゃー、今度は宍戸が戻って来ねぇ! も洗濯サボるな!イチャつくなら部活終わってっからにしろ!」 「「はい」」 跡部の怒りように、私達二人は小さくなって、小さな声で頷いた。 跡部に連行される亮を見送り、洗濯を再開したその時! 全身に鳥肌が立った。 誰かが私の肩に顎を置いている。 こんなことをやる奴は一人しかいない! つか、こんなに鳥肌が立つのは一人しかいない! 「お暑いなぁ〜。宍戸とラッブラブやん。俺への愛はどしたん?」 「オタクは引っ込んでろ!私はあんたに愛をあげた記憶はない!邪魔っ!うざいっ!消えろ――――!!」 勢いをつけて、忍足のお腹に一撃いれてやった。 「い、痛ぃ・・・・・・」 ゆっくりとしゃがみ込む忍足が私の足を掴んだ。 そしたら 「綺麗な足やな〜。俺、脚の綺麗な子がタイプなんや」 痛いのも忘れたように、私の足を掴んだまま眺めている。 変態だ・・・・・・。 これには本気でキレた。 「キモいっ!!」 掴まれた足を上に上げ、忍足の方を向くと同時に顔を思いっ切り踏み潰した。 グシャ、パリッ 眼鏡の割れる音と ドサッ 忍足という変態が崩れ落ちる音がした。 私は洗濯を再開する。 亮のTシャツを。 真っ白になるまで洗ってあげた。 「よっし、完璧!」 広げたTシャツ、亮のTシャツ。 何故か今、実感が沸いてきて そのTシャツを見てはにかんだのは、亮にも内緒、ね。  +++++++++ 下です!終わりです!どうでしたか? 個人的には長太郎kと話しているところと忍足sを書いているのが楽しかったです♪ 跡部sもちょっとしか出てこなかったけど楽しかった♪ 読んでくださってありがとうございました!
BACK