それは、彼、ジェームズ・ポッターが手に持っているティーカップを落とすには 十分すぎるほど威力のある言葉だった。   幸せ報告 それは、ジェームズの妹であるの衝撃発言から始まった。 「だからね、今3ヶ月なの。できちゃった、赤ちゃん♪」 「幸せ〜」とそれはもう、満面の笑みを浮かべて彼女は頬を赤らめた。 しばしの沈黙。 そして 「えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、妊娠ッ!!??」 その場にいたを合わせ6人中4人が見事にハモった。 ジェームズは持っていたカップを落とす。 陶器の割れる音と液体が飛び散る音は、彼らの声によって掻き消されてしまった。 「あら、綺麗なハモり」 吃驚しすぎて少しパニック状態に陥っている4人とは反対に、はのほほんと、 いつもの雰囲気を壊さず微笑んでいる。 それはシリウス・ブラックも同じで、冷静な目で親友達を見ながら紅茶を一口啜った。 「、それは本当?」 やっと落ち着いてきたようで、砂糖がたっぷり入った紅茶を飲んでからリーマスは問った。 「えぇ、本当よ。ちゃんとお医者様に行ってきたもの」 「おめでとう、」 「ありがと、リリー先輩」 の一個上の先輩で、以外の彼らとは同級生のリリーはまるで自分のことのように喜びながら彼女の手をとった。 その手を離させたのは、の兄 「ちょっと待て!」 「ん?」 「、お前まだ結婚してないだろ!」 ジェームズだった。 「相手は誰だ!?………もしやっ」 ジャームズは睨みながらシリウスの方を向く。 その行動とは反対に、シリウスはジェームズから目を逸らした。 「どうしたのかな〜、シリウスく〜ん」 不気味な笑みをシリウスに向ける。 「何で目を逸らすのかな〜…」 シリウスは視線を逸らし続け、渇いた喉を紅茶で潤した。 何時まで経ってもシリウスは視線をこちらに向けようとしないので、しょうがなくジェームズはに問う。 「、相手は………」 「誰だ」と問う前に 「シリウスに決まってるじゃない。他に誰がいるっていうの?」 答えられ、答えたは 「ほら、お兄ちゃん。割ったカップ直して」 マイペースにそんなことを指摘している。 ジェームズはしぶしぶ杖を取り出しカップを直すと、抜き足差し足でこの場から逃げようとしているシリウスの肩を力強く掴んだ。 「シリウスく〜ん、いったいどこに行くのかな〜………?」 纏っているオーラを色で表すなら絶対に〔黒〕だ。 もっと言うなら〔暗黒〕。 決して友好的とは言えないどす黒い微笑を浮かべるジェームズにシリウスは内心恐怖しながら、冷静を保ちつつ視界に入れた。 「はいつホグワーツを卒業したんだっけぇ?」 「…半年、くらい前」 「の年齢は?」 「1…8歳」 戸惑い、恐怖しつつもジェームズの質問にシリウスは真面目に答えている。 「そうだよな―。しかも先月18歳になったばっかりなんだ。で、シリウスは幾つだっけ?」 「19歳だ。いったい何なんだよ?!」 ついにシリウスが、ジェームズの耳にへばり付く話し方と何故そんなことを問うのか 理解できない疑問符に少しだけ怒りを放出した。 「何、人の妹はらませてんだよ!!?」 それ以上にジェームズは怒りを放出する。 「大丈夫だ。も子供も責任をもって養う!」 「そうじゃないッ!」 ジェームズは握られた両手の拳をテーブルへと落とす。 食器が揺れて中のものが零れる前に、リリーが魔法でテーブルの上にあった物を 少しだけ宙に浮かせた。 「あと3年!…いや、あと2年の間はまだを俺以外の男の許へといかせたくなかったんだ! それをお前はスルリとを掻っ攫いやがって…………お前それでも俺の親友か!」 「その言葉、そっくりそのまま返してやるよ」 呆れた目でジェームズを見て、シリウスは小さなため息をつき紅茶を啜った。 愛する恋人に宥められている親友を横目で見ながら。 そして己が愛する恋人を見る。 ちょうど目が合って、彼女は微笑んだ。 なぜか少しだけ、優しくなれる気がする。 彼女の笑顔は、彼にとって魔法だった。 どんな魔法よりも強力で心地良い。 最高で最強の魔法。 「お式はどうするの?」 リリーが二人に問う。 「するわよ」 答えたのはだ。 幸せそうな笑顔。 色で表すなら〔白〕か〔桃色〕。 その笑顔に〔彼〕は胸を痛めた。 祝福しなければならないことは分かってる。 でも、浮かんでくるのは〔嫉妬〕や〔憎しみ〕ばかり。 それらは〔彼ら〕を蝕んでいく……。 それを彼は知らない。 それらの存在も何もかも。 知っているのは、彼女に対する恋心だけ。 「順序が逆になっちゃったけど、どうせ二人とも結婚する気でいたし」 「そんな前から計画は進んでいたのか!?シリウス!少しくらい俺に相談してくれたって良いだろ!」 「そしたらお前反対するだろ!」 「決まってるだろ!」 ジェームズは胸を張って答えた。 「二人とも、少しの間は喧嘩やめなよ」 また喧嘩をし始めそうになった二人を慌ててリーマスが止める。 そしてに「話を続けて」と言った。 は頷いて話を続ける。 「結婚式は簡素なものにするの。仲の良い知り合いだけ呼んで、お祝いをしてもらうの」 「つーことで、俺、家出て少しの間世話になるから宜しく」 ジェームズに向けて言う。 一瞬ジェームズは嫌そうな顔をしたが「しょうがないな」と頭を掻いて、悪戯っぽく笑って言った。 「お前はもう家出てるようなもんだろ」 「まぁな」 さっきの喧嘩がまるで嘘のように二人は笑う。 それを見て、は柔らかく笑う。 「幸せそうだね」 につられてリーマスも優しく笑む。 「うん。幸せなの、すっごく」 「あ、おめでとう、」 話に入ろうにも入れなかったピーターが、静かになったところで遠慮がちに お祝いの言葉を述べた。 「ありがとう、ピーター」 とても幸せそうに笑う彼女を見て、ピーターも笑った。 心の中で何かモヤモヤするものが邪魔をしようとしたが、気付かない振りをして彼女の幸せを願った。 「んじゃ、明日から式の準備と新居探しだな」 「だね」 二人並んで、見詰め合って。 幸せそうに、微笑んだ。         ++++++++++++ 続き書けたら良いな〜…と思うのですが この次のお話くらいしか書けてません。 連載しても連載ありすぎなのでやめようかな…と思ってます。 感想宜しくお願いします! BACK