〈何か〉を感じて、私はハッと起き上がった。 お腹に手をあてる。 今のは何? 今きっと、私の中にもう一つの生命が宿った。 そう感じた。 灯火 妊娠したことに気がついても、しばらくは誰にも言うことは出来なかった。 これは勘違いじゃない。 憶測は明確なものになっても、言うことは出来なかった。 彼にも言えなかった。 彼ならきっと喜んでくれるだろう。 でも、それ以上に負担をかけることになるだろう。 今はまだ、言っては駄目。 もう少し経ってから、もう少し……… ねぇ、何時言えば良いと思う? そう思っている間に、二ヶ月の時が過ぎていた。 お医者様にも行ってない。 行くなら、彼と一緒が良かったから。 相談も、まだ出来ないでいた。 お兄ちゃんは? 絶対駄目。反対するに決まってる。 リリー先輩は? 駄目駄目。絶対お兄ちゃんに言う! リーマスとピーターは話しても特にこれといって役に立ちそうなことは助言してくれなさそうだし…… かと言って、友達じゃ彼のことを良く知らないから駄目。 どうすれば良いかな? お腹に手をあてて、問ってみた。 答えは返ってこない。 でもここには、暖かさがある。 彼と一緒に、歩いていた。 取り止めのない話をして、笑って。 楽しくて幸せだけど、言おうかどうか、心の中では悩んでいた。 「」 いきなり彼が立ち止まったので、反射的に私も立ち止まる。 「何?」 彼は私と向き合った。 「お前、変わった?」 「えっ?…どこが?」 一瞬ドキッとした。 だって、妊婦って何かしら変わるって言うじゃない? 平常心を保って、疑問符を返す。 「どこがって……具体的には分かんねぇけどよ、何か変わった。何かあったか? ………他に好きな奴が出来たとか、ないよな?」 凄く心配そうに問われた。 これ以上黙ってても、心配かけるだけなのかな? 言おうか言うまいか。 答えは〈言う〉というほうに偏ってきている。 「そんなことあるわけないじゃない」 微笑んで、彼のホッとした顔を見て 決めた。 「…私ね、シリウスのこと、もっと好きになった」 「は?」 「ねぇ、私のこと、一生愛していてくれる?」 「あぁ」 間も空けずに、彼は真剣な顔をして頷いてくれた。 安心して、嬉しくなった。 私にはこの人しかいない、って改めて思った。 「驚かないでね」 「何だよ」 「あのね………やっぱ言えない!」 「そこまで言ったなら言えよ!」 顔を背けた私の両頬を手で包んで、彼は自分の方へと向けた。 彼の瞳が私の瞳と重なる。 この揺るぎない瞳を受け継いで欲しいと思った。 「……妊娠したの」 「…………え?……それは、本当なのか」 「お医者様にはまだ行ってないけれど本当よ」 彼は少しだけ、全ての動作を停止し、その後驚き、そして少しずつ、その頬を緩めていった。 そしてガシッと私の肩を掴み 「本当かよ?!俺の子か?俺の子なんだな!!」 「あっ、うん」 今度は私の方が驚いてしまった。 彼はもう有頂天になっていて「男と女どっちだろうな」とか「名前はどうするか」 とか言っている。 とても、嬉しかった。 この子はきっと、たくさんの愛を受けて育つだろう。 「良かったね」 お腹の子に、小さく呟き微笑んだ。 「あっ!!」 いきなり彼が叫んだので、肩をビクつかせる。 「どうしたの?」 「やべぇ…すんげぇ嬉しんだけどさ………ジェームズに殺される」 その場で彼は頭を抱え、しゃがみ込んでしまった。 彼には悪いけど、それがおかしくて、私は小さく噴出した。 「大丈夫よ。何とかなるって」 彼を立ち上がらせて、私は微笑んだ。 「もし本気で反対されたりでもしたら、駆け落ちするくらいの覚悟はあるから。 あなたと一緒ならどこへでも行けるわ」 「……ありがとう、」 そっと彼は、私を抱きしめた。 私とこの子を。 二人一緒に、その大きな腕の中に。 優しく優しく、抱きしめた。 分かるかな? これがパパだよ。  +++++++++++++ 幸せ報告の続編…いえ、過去編ですかね?です。 この作品はこれから後があるのかまだ分かりません(汗) 気分です、私の。 こんなのでも宜しければお付き合い下さいませ^^; BACK