満月が光り輝く闇の中に、一人の人間が降り立った。 音も立てずに草の上に立ち、たくさんのポケットがついているジージャンに手を 突っ込んで、空を見上げる。 胸のポケットから煙草とライターを取り出し、煙草を銜え、ライターをすった。 しかし、火はつかない。 「くそっ」 使えなくなったライターをポケットに戻し、もう一度、今度は満月を見上げた。 「早く終われ」 Full Moon Night 彼は何かを感じ取り、暗い廊下を歩いていた。 それが何だかはまだ分からない。 だが、何かに〈呼ばれている〉気がしてならなかったのだ。 彼は草の覆い茂る地へと足を踏み入れた。 そこには何かがいた。 いや、〈何か〉ではない。〈誰か〉だ。 彼はその〈誰か〉に一歩一歩近づいていった。 近づいていくうちに〈誰か〉の姿ははっきりとし、女性だということが分かった。 そしてもっと近づいていくうちに 「お前はっ・・・・・!」 「あ゛―、セブルス。やっと来た。久しぶりだね。でさ、お願いがあるんだけど火―貸してくんない?」 己が良く見知った人だと判明した。 数年前に姿を消した、人。 色々な手をつかって捜したが、見つからなかった。 「なぜお前がここにいるのだ?!お前は死喰い人に殺されたのでは・・・」 彼女の頼みを無視し、彼は驚きの言葉を発した。 彼女は困ったように、そして呆れたように微笑を浮かべた。 「あたしがそんなヘマするわけないでしょ。生きてたよ、ずっと」 「ならなぜ今まで姿を現さなかったのだ」 彼の問いに対して、彼女は複雑な顔をした。 そして「う〜ん」としばし考え、口を開く。 「それが良く記憶がないんだよね。分かってるのは、誰かと戦って互角くらいだったんだけど、勝ったんさ。 でも、重症で魔法が良く使えなかったらしく、気がついたら病院のベッドの上だった。 あたしを見つけてくれたのはハグリットらしいんだけど、禁じられた森に倒れてたんだって」 まるで人事のような話し方に、彼は違和感を覚える。 彼女は話を続けた。 「んで、怪我治ったは良いんだけど、魔法使えないことに気がついて。 ダンブルドアとかと色々と試行錯誤して、やっと元?に戻ったんさ。 でも、それまでに時間かかっちゃって遅くなった。悪い」 本当に悪いと思っているのが疑問になるくらい、軽く彼女は謝った。 彼は呆れたように息を吐く。 「ふくろう便とかは思いつかなかったのか」 「ん?だってさ、手紙なんていくらでも嘘書けるじゃん?つまり、直接会いたかったわけ」 彼女は彼に綺麗に微笑みかけた。 そして 「まだお願い聞いてもらってないんだけど」 と、話し出す前に口からはずした煙草をまた銜えた。 「火―貸して」 「魔法は使えるようになったのだろう?」 彼の言葉に、彼女は嫌なものを見るように満月を見上げた。 「使えないんだよ。なぜか満月の夜は。反対に新月の夜はちょっと魔力上がるけどね。 でも割りに合わない。ムカつく。早く終われよ、夜・・・っつーことで、火」 彼女は煙草を彼に突き出す。 彼は面倒くさそうにローブの内ポケットから杖を取り出し、呪文を唱え、火をつけてやった。 彼女は大きく吸い込み、ゆっくりと吐いた。 紫煙が上へと立ち昇る。 「まだやめられないのか。体に悪いぞ」 「分かってるんだけどね、やめられないんだよ」 彼女は苦笑する。 満月に向けた瞳を彼に戻し、もう一度煙を吐いてから、彼と向き合った。 「今の今までずっと、あんたを好きな気持ちを忘れられなかったように」 彼は耳を疑った。 彼女を見つめたまま、彼の思考と動作はしばし停止された。 今、なんと言った。 我輩を〈好き〉だと? 思考回路が動き始めても、彼の頭は混乱していた。 そんな彼を見て、彼女は小さくクスリと笑う。 「どしたん、セブルス」 「あっ、いや、その・・・・・・」 顔を近づけ上目遣いで問われ、彼の体温は上昇し、顔は少し赤くなった。 暗闇で良かった、と彼は安堵した。 「あんたはあたしのこと嫌い?あたしは大好きだよ。ずっと、好きだった。だから会いにきたの。迷惑だった?」 分かっていた。 知っていた。 ずっと、ずっと。 己の気持ちに。 先に言われたことが少し、悔しかった。 彼は想っていた、ずっと。 だから 彼は彼女の煙草を口から外し、魔法で消した。 「あっ・・・・・」 そして彼女が己を睨もうとする前に腕を掴み、引き寄せて、抱きしめた。 「我輩も同じ気持ちだ・・・」 「・・・ん、ありがと。嬉しいから吸い掛けの煙草を取って消しちゃったことはなかったことにしてあげる」 彼女は心地良さそうに彼の胸に顔を埋め、幸せそうに微笑んだ。 満月が二人を照らす。 離れ離れになっていた影が、近づき 一つになった。 ++++++++++ ただたんに、煙草を吸う女の人が書きたかった。 「火ー貸して」っていう言葉が書きたかったんです! 書いてみて「そういや大佐でも出来たな」と思いました。 大佐ver書くかなぁ・・・と考え中。 名前変換はなしです。けっこうある?変換なし・・・ BACK