軍に戻った頃には、涙は乾いていた。
雨も止んでいた。


大佐に抱かれたまま軍に足を踏み入れるのは嫌だったから

「もう、大丈夫です」

と言って、下ろしてもらった。
そのときの、残念そうな表情を
信じても良いですか?






    『 The Future Continues 』
                      〜未来へ〜






「少佐!」
「少佐ぁ!」
「良かった、無事で・・・・・・」


扉を開けると、皆と視線が合い、次の瞬間、皆は立ち上がって私の元へと寄ってきた。
口々に安心した事や心配していた事を言ってくれて
嬉しかった。


「すいません。ご心配おかけしました」
「お帰りなさい」
「ホークアイ中尉」
「行くとは思っていたけど、無事に帰ってきて本当に良かったわ」

優しく、まるで包み込むように微笑まれて
私の心は温かくなり、私も微笑んだ。

中尉のこの笑顔が、私は大好きなの。




「それで、どうだったんだよ」

腕を組み、ワザと睨むようにして、エドは問った。
伝わってくるよ。
心配してくれているんだね。

「うん・・・会えたよ」
「何か、知ってたの?」

おずおずと遠慮がちに問うてくるアルに、私は微笑んだ。

「うん」

その頷きで、室内の空気が変わった。
皆の心配が溶けてきたみたい。
・・・・・・皆それほどまで、私の事を考えていてくれていたんだね。

嬉しさで、胸が熱くなった。


「・・・・・・話す事は、出来るのか」

そう問うたのは大佐で
自分の気持ちに気付いたからか、話しかけられただけでドキドキする。
でも、バレないように。平常心を保って。

「はい」


頷いて、私は全てを話した。




地下水道でスカーさんと会った時から、別れる時までを。
一字一句逃さずってわけには行かないけど・・・・・・自分が思った事を、全ては告げられないけど。
言える事は全部、言った。














「・・・・・・つまり、の父さんを殺したのはスカーなんだな」
「うん。でも、それはお父さんが願った事だから」
「何でそんな普通にしてられるんだ!?」
「駄目?」
「っ・・・・・・」

そんなに、普通なのだろうか、私は。
でも、心が軽いの。
今凄く、穏やかな気持ちだよ。

「お父さんはお母さんの許へ逝ったの。笑顔で。そして、最後まで私を愛していてくれた。
それを知れただけで、私は幸せなの。あの日の悪夢は、本当にただの悪夢だったって事に、これで出来る」
「そんな簡単なものなのか・・・・・・?」
「そうね。直ぐには無理かもしれないけど、だんだんとそうなっていくわ。
とにかく今、凄く心が軽くてね、穏やかな気持ちなの」
「泣いたからかよ」
「・・・・・・・・・そうかも」


その通りかもしれない。
泣かなかったら・・・涙で流せるものを流せていなかったら
こんなにも穏やかな気持ちでいられなかったと思う。
雨が上がった後は、至極良い天気になるように。






「兎に角、良かったな、ちゃん!」
「はい」
「こら、ハボック!名前で呼ぶな名前で」
「良いじゃないですか。こんな良い気分なんすから」



過去は必ず、現代(いま)へ
そして未来へと続いている。



「あっ、そうだ。、俺達直してもらう為にウィンリィんとこ行くんだけど一緒に来るか?」
「そうだよ。行く度に、はぁ?って寂しそうに言われるんだよ」
「行きたいのは山々なんだけどね・・・・・・」
「行ってくれば良いではないか」
「本当ですか!?あっ、でもお仕事が・・・・・・」
「帰ってきたら、頑張ってもらうよ。故郷に帰って落ち着いてきたまえ」
「はい」




過去から伸びる線に、自分で線を継ぎ足していき
私達は未来へと進んでいく。



過去を忘れてはいけない。
過去を思い出にしてはいけない。
過去は現代の、そして未来の自分の糧にしていかなければならない。

そうして人は、成長していく。





「大佐」
「何だ、少佐」
「ありがとうございます」
「何がだ」
「いえ。ただ言いたかったんです」





この気持ちも、過去から繋がって出来たもの。
やっと気付けた、この気持ち。
未来へ繋げる為には、行動しないと。






私は生きている。
立ち止まっても良い。振り返っても良い。
だけど、後戻りはもうしない。


両手を天に伸ばして、足踏みをしてしまうかもしれないけど

ちゃんと、未来はあるから。





大佐。
私達の未来には
何が待っていますか?


貴方の気持ちは、変わっていませんか?


時間(とき)は過ぎてしまったけど
あの日からの未来である現代まで
あの日伝えてくれた気持ちは、繋がっていますか?




























 ++++++++++++++++++++

これで第二章終了です。
これまでお付き合い有難うございました!

この後、番外が入って第三章に入る予定ですが・・・・・・
第三章をどのようにしよかまだ考え中です。
一話はもう出来ているんですけどね。
番外はまだです。

ですので、今後も宜しくお願いします。


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