BACK/GOLDEN EGG 「」 聞き覚えのある声に、私は振り向くのを躊躇する。 出来れば見たくない、話したくない。 でも、相手は先輩だ。 上下関係はしっかりとしたい。 だから躊躇う体を頑張って向かせた。 「何でしょう」 無理矢理笑顔を作る。 視界に入ったのは、日差しに照らされ煌めく金髪と、おでこ。 「あら、マルフォイ先輩ではありませんか。どうなさったんですか?私、急いでいるので 用件はお早めにお願いします。次の授業、変身術なんですよ」 営業スマイルのようなものを浮かべ、妙に丁寧すぎる言葉を発す。 マルフォイ先輩は口端を吊り上げ不気味に笑み 「授業くらい遅れたって問題ないだろう」 何言っているんだろう、この人は。 問題大有りに決まってるじゃない。 変身術よ。マクゴナガル先生の! 私あの先生大好きなのよ! 行かせてよ、この金髪オールバック野郎!! って、そんなこと言えるわけがない。 相手は一応先輩。 汚い言葉も使っちゃメッ! だから丁重に、笑顔を絶やさずに。 「それが問題ありなんです。変身術は大の苦手なんですよ」 嘘。大得意! こう言われたら普通「そうか。じゃあまた今度な」くらい言うでしょう。 って思ったのに・・・・・・・・・何なの、この人。 「だったら私があとで個人的に教えてやる」 絶対に嫌っ!! 人の予想を裏切るな、馬鹿ぁー!! 「先輩にご迷惑をお掛けしてしまうので、結構です」 にっこりと微笑み、お断りする。 断固拒否!! あなたの個人授業なんか受けるくらいだったら、百味ビーンズの耳くそ味とか食べた方が マシだわ。 「私から誘ったのだ。迷惑なわけないだろう」 こ、こいつ・・・・いったい私に何の用があるのよ。 「ところで先輩。私に用事があったのではないのですか?」 「あぁ、そうだった。、クリスマスに送ったプレゼントは喜んでもらえたかね? 何の連絡もないから気になっていたんだ」 クリスマスのプレゼント? マルフォイ先輩から? ・・・・・そんなもんなかった。 あったとしても捨てるし!連絡なんて絶対にしません! 「え?プレゼント贈って下さったんですか?受け取ってませんけど・・・」 キョトン、と全然分かってないような態度を見せた。 本当はちょっと分かってる。 きっと、シリウスとかが処分したんでしょ? 私がマルフォイ先輩の存在に迷惑していることを知ってるから。 Nice! 「そうか・・・どうしたんだろうな。まぁ、良い。なら、プレゼントの変わりと言っては難だが ・・・・・今日こそ私の想いを受け取ってくれ」 いきなり手を握られる。 触るな、気色悪い。 プレゼントの方がまだマシです! 「想い・・・とは具体的に何でしょう?」 「ふっ。お前は焦らすのが上手いな。そんなに私の口から愛の言葉が聞きたいか・・・」 ・・・・・何言っちゃってるんですか、この人。 何か不気味に笑ってる・・・怖い! 何かが切れた。 我慢の緒が切れた。 私はキレた! 私は素早く杖を取り出し、呪文を紡いだ。 光は先輩向けて飛び出し、先輩は金縛りにあったように動かなくなった。 「な、何をするんだ」 「すぐ解けますよ。私は授業に行きますので。あっ、ちなみに変身術は大の得意教科なんですよ。 では失礼します」 最後は行儀良く頭を下げて。 私は急いで教室へと向かった。 「あぁ、もう!あの金髪オールバック野郎め!!」 グリフィンドールの談話室で、私は汚い言葉を吐きながらテーブルを叩いた。 その音が思った以上に大きかったのか、リーマスは耳を塞いだ。 ジェームズとリリーは顔を見合わせ、やれやれというような顔をし、シリウスは 私の隣に腰をかけ 「どうしたんだよ」 問ってきた。 「だから、あの金髪オールバック――・・・」 「だからそれが誰だよ」 少しイラついてる?・・・って、何時も通りか。 「マルフォイ先輩に決まってるじゃない!」 私はまた机を拳で強く叩いた。本日二度目。叩くというより殴るというほうが妥当かもしれない。 手が少し痛かった。 「もう少しで変身術の授業遅れるところだったのよ!いきなり呼び止められてね、話噛み合わなくて ・・・というか、あっちが一方的に話をずらしてたって感じかな。だから、魔法かけて動けなくしてやったの!」 「また告られそうになったのかよ」 シリウスは呆れたように息を吐く。 「そうなの」 私も同じように息を吐いた。 「何度も断ってるのにね。あなたとお付き合いする気など全くありません!って」 頬杖ついて、ため息を吐いた。 「あっ、そうだ。シリウス」 「あ?」 「マルフォイ先輩からのクリスマスプレゼントさ・・・」 シリウスだけでなくジェームズも一緒に、肩をビクつかせたのが分かった? 「どしたの?」 「あっあぁ、いや。で、プレゼントが何だ?」 「捨ててくれたの?」 「・・・・は?」 「処分してくれたんでしょ?」 「・・・・・・・あぁ」 ・・・・何でそんなきょどってるの? 私怒ってないって。 「シリウス、私怒ってないよ。むしろ嬉しいの。ありがとう」 シリウスの頬が赤くなった。 何で? ジェームズがシリウスを肘で小突いてる。 何で? まっ、良いか、ほっとけば。 「まっ、天と地がひっくり返ったとしても、私がマルフォイ先輩の想いに答えることは絶対にないわ。 あの人は黒く染まりすぎているもの」 「どういうこと?」 「あの人は敵よ。きっと、色々な人の大切なものを奪っていく悪魔だわ。だから一生、 私はあの人のことを好きにはなれないの」 先輩は、私の大切なものも奪っていってしまうだろうか。 答えは分からない。 でも、もしその場に私がいたなら、奪わせない。 先輩程度の力量では、私に勝てるはずがない。 一対一なら。 守るよ、何が何でも。 この、大切な友達だけは。 もし私を犠牲にしたとしても。 守り抜きたいの。 その後 「でもね、一つだけ好きなところがあるの」 「えっ?」 「あの金髪オールバック!」 そう言ったら、シリウスに頬っぺたひっぱられて、リリーに呆れられて、ジェームズには 頭を叩かれながら笑われ、リーマスには心配そうにチョコレートを差し出された。 良いじゃない! あれだけは先輩より上のレベルの人はいないと思う。 心の中で、大きく一人、頷いた。 ++++++++++ なんだか、主人公ちゃんが壊れ気味…ですね(汗) けっこうキツイことを真顔で言っちゃう人ですが、おちゃめでハッチャケな人です。 天才は変わった人が多いって言いますから…(笑)