幼馴染延長恋愛
カリカリ、カリカリとひたすらシャーペンを動かして問題を解く音しか今は聞こえない。
その音をさせているのは、俺だけではない。
俺の向かい側に座っている奴。
幼馴染で、幼稚園から何故か高校までずっと同じでクラスも別になったことがないほどの
クサレ縁。
本当は高校は別の予定だったんだけどな・・・・・・
本当は、はもうちょっとレベルの高い高校に推薦で行く予定だったんだ。
推薦っていうか・・・・・・前期入試?
こいつの成績と実績なら確実だったから。
なのに、は俺と同じ高校に来た。
何故だろう、とずっと疑問に思っていて、ある時それを口にしてみたら
笑っては
「梓と同じ学校に行きたかったから」
と答えた。
少し期待してたけど、本当に言われるとは思ってなかった。
それを聞いて俺、すっげードキドキした。
だってそれって、告白みたいじゃねぇか。
でも、平常心保っているようにした。
だって恥ずかしいし、そんな気なかった場合さ。
まぁ、その後に続いた会話は
「でも、お前が行く予定だった学校よりレベル低いだろ」
「そんなのレベルが高かろうが低かろうが大学進学に支障はないから大丈夫。
ほら。近くに気兼ねせずになんでもズバズバ言える人がいた方が何かと楽じゃない?」
てな感じで・・・・・・・・・
まぁ、つまり、恋とかそういった理由ではなく、ただ単に
『何でも愚痴れる奴が近くに一人は欲しかった』
という奴だな。
ガッカリしたさ。
だって、俺、こいつのこと・・・・・・好きなんだからさ。
って、だー!!!
俺何言ってんだよ。
いや、本当のことなんだけどさ。
でも、まぁ、当分、この友達以上恋人未満っていう幼馴染の関係は続きそうな気がする。
俺は、数学の問題を一通り解き終え、大きく伸びをした。
今は定期試験の真っ最中で、今日三教科終了し、まだ明日明後日と六教科残っている。
だから自宅学習してんだけど・・・・・・なんでが俺の部屋で勉強してるのか。
答えは簡単だ。
一人じゃつまらないから。
こいつ、一人でやるより誰かと一緒にやった方が何故か効率良いんだよな。
だから、期末前の勉強だって、部活の連中に交じってやってたし。
まぁ、危険な三橋や田島を教えてくれてたから良いんだけどさ。
でも、あんま部活の連中と関わって欲しくないって思ってる俺もいるんだ、実際。
だって、危ないだろ?特に田島とか・・・・・・・・・
あいつ初対面でこいつに「彼氏いるん?」とか聞きやがったんだぜ。
ぜってー危ねぇー。こいつ自覚ないし・・・・・・・・・
俺は肩を回し、飲み干され空になった二つのコップを持って立ち上がった。
「また麦茶で良いか」
「ん―」
生返事。
集中している証拠だ。
時間は三時を過ぎていた。
おやつも一緒に持っていってやろうか、などと思いながら台所へ行く。
麦茶を注いで、またここまで来るのが面倒くさいから麦茶が入っているポットも持つ。
お盆に麦茶の入ったコップと煎餅とかチョコレートとかがのった皿を乗せ、
部屋に戻ると、は机にうつ伏して寝ていた。
スースーと規則的な寝息が聞こえる。
やっと集中が途切れたんだろう。
俺は何回か集中が途切れてシャーペンを置いて違うことしてたけど、こいつはひたすら手を動かしてたからな。
お盆とポットを床に置く。
麦茶で喉を潤して、を見た。
コロン、と顔を横に向け、寝顔が見られるようになる。
俺はその顔を凝視した。
長いまつ毛や赤い唇とかが良く分かる。
少し桃色に染まった頬。
触れたくなるが、必死で自我を抑えた。
何だか、寝顔だけ見てるのも馬鹿らしくなってきた。
俺は頬杖をついた。
視線はまだ、から離れない。
離して勉強をしたいと思うのに、離れない。
俺は頬杖をやめ、顔を少しだけに近づけた。
何だかイライラしてくる。
仮にも異性の部屋だ。
それなのに、こんな無防備に寝たりして良いのかよ。
俺だから良いものの、田島みたいに万年発情期みたいな奴だったら
即襲ってるぞ。
俺は一つ、ため息をついた。
そして、寝ていることを良いことに、聞こえるくらいの声で呟いた。
「お前さ、俺のこと一体どう思ってるわけ?」
寝息が聞こえるのに安堵して、その先まで続けてしまう。
「俺はお前のこと・・・・・・・・・」
っ、やっぱ聞いてないからって言えねぇ!
んな恥ずかしいこと言う心の準備なんて出来てねぇ!
「お前のことの続きは?」
とかなんとか心の中で叫んでたら、声がした。
直ぐ近くにの顔があり、びっくりする。
「ねぇ、続きは?」
「あ?」
俺はまだ状況を把握出来ていなかった。
続き?何の?
「あ?じゃなくて、俺はお前のことの続きは何って聞いてるの。気になって勉強出来ないじゃない」
もしかして、聞かれてた・・・・・・・・・!
「な、何で知ってんだ・・・・・・」
「起きてたの」
「何時から」
「梓が帰って来たときから」
「ってけっこう前じゃねぇか!」
今の俺、すっげー焦ってる。
しかも熱い。
鏡見ないと分からないけど、きっと真っ赤だ、俺。
「へへぇ〜。梓ったらず〜っと私のこと見てるんだもん」
「何でそれを・・・・・・」
「薄め開けて見てたんだもん。だから、続きは?」
ずいと、また顔の距離を縮められた。
俺はうっ、と息苦しくなる。
鼓動が速くなる。体が熱い。
こんなこと良くあることなのに・・・・・・顔が近いとか・・・・・・・・・なのに何で今は、こんなに緊張してんだ?
「私は好きだよ、梓のこと」
おかしいよ、俺!
・・・・・・・・・って
「へ?」
いきなりのことで、何を言われたか理解するのにだいぶ時間がかかった。
「さっき、俺のことどう思ってるんだ、って聞いたでしょ?だから、私は梓のこと好きだよ、って答えたの」
「えっと・・・・・・好きっていうのは・・・・・・・・・あぁ、likeかlike!」
一人で納得したふりしたら、呆れたような目を向けられ、は唇をつきだした。
やべっ。
拗ね始めてる・・・・・・・・・
「もう。女の子にこういうこと何回も言わせないでよ。Loveに決まってんでしょ。Loveに」
一瞬、頭の中が真っ白になって
直ぐに言葉が入ってきた。
「マジかよ・・・・・・」
「マジよマジ。好きじゃなくちゃ、第一志望校蹴ってまで同じ高校行こうとしないって。
好他の女の子とくっついて欲しくなかったから、同じ高校にしたの。一緒に登校出来るし、物の貸し借りだって出来るし、
一緒に帰れるしたまにはお昼も食べられるし・・・・・・。だから、今では周りの皆、けっこう私達付き合ってるって思ってるよ」
「嘘!俺知らねぇ―」
「鈍感」
「お前に言われたくねぇーよ」
「それどういう意味!」
「俺の気持ちも知らないで、野球部の奴らと仲良くなりやがって・・・・・・」
「それって・・・・・・・・・」
は言ってくれたんだ。
俺だって言わないと。
ずっと言えなかったこの想い。
今言わなければ、きっと一生言えない。
言えないどころか、この関係はお仕舞いだな。
「俺だってお前のことが好きなんだよ。他の男としゃべってるだけで嫉妬するくらい」
俺の言葉を聞いて、はすっげー綺麗に微笑んだ。
俺は恥ずかしくて、わざと頬杖ついて、そっぽ向いた。
「梓、耳まで真っ赤だよ」
「うるせぇー」
「それにしても、なぁ〜んだ。結局同じ気持ちだったんだね。それならもっと早く言えばよかった」
「だな」
「よし。じゃあちょっと報告してこよっかな♪」
はいきなり立ち上がり、部屋を出ようとドアノブを掴んだ。
「ちょっと待て!」
俺はそれを止めるため、素早く立ち上がって肩を掴んだ。
「何をしにいくつもりだ」
「え?小母さんに言いに行こうと思って。私達付き合い始めることになりました―、って。
絶対喜んでくれるよ。きっと今日はお赤飯になると思うよ。ほら、小母さん私達が結婚してくれることを願ってるから。
ちなみにうちに両親も。特にお父さん」
「だからって今直ぐ言いに行かなくったって良いだろ」
「善は急げって言うじゃない。お父さんとお母さんは大丈夫だから、後は小母さんと小父さんを味方につければ恐いものなしよ!
浮気は許さないから」
さらり、と言ったの顔は今まで見たことないくらい恐かった。
「するわけねぇーだろ」
「ほんと?」
「お前こそしないだろうな」
「あぁ、阿部君とかカッコ良いよね。でも、やっぱ三橋君かな。なんか弟みたいで可愛い!
今度お菓子作ってく約束したの」
「お前な・・・・・・・・・」
「大丈夫。梓に一番に食べさせてあげるからね」
と、は笑って、俺に抱き着いてきた。
それが可愛くて嬉しくて恥ずかしくて・・・俺は何も反抗出来なくなってしまった。
甘いよな、俺・・・・・・・・・
「これからも宜しくね、梓」
「あぁ、こちらこそ」
俺もを抱きしめようとしたその瞬間
「梓、そんなお煎餅とかじゃなくってケーキ買ってきたからこれ・・・・・・ってあら」
母さんが入ってきて、見られた。
母さんはにやにやと笑い出し、何だかとても嬉しそうだ。
「やっぱりこういう関係だったわけね」
「違いますよ、小母さん。今日から付き合いだしたの」
「あら、そうなの。小母さんてっきり中学くらいから付き合ってるもんだと思ってたわ」
「あ、やっぱり?」
「えぇ。でも良かったわ、お嫁に来るのがちゃんで」
「ちょ、まだそんな先の「私も小母さんがお姑さんで良かったです」
は俺から離れ、母さんとウェディングドレスも着物も両方とも着たいだとか
お色直しは三回だとか、新婚旅行はイタリア行ってドイツ行ってニューヨークに行きたいだとか、
まだまだまだまだ先のことをそれはもう楽しそうに嬉しそうに話し始めた。
俺はそれについていけず、母さんが持ってきて床に置いたケーキに手を出し
食べながら、テスト範囲をもう一度確認し始めた。
女二人の妄想は、まだ止まる気配はなさそうだ。
ま、良いけど。
だって俺、今のこと
以外の女のこと考えらんないし。
それはもう何年も前からだから、この先もきっとそうだろ?
だから、達が話してることは現実になる・・・・・・んだろうな。
・・・・・・・・・つーかさ
イタリア行ってドイツ行ってニューヨークとかどれだけ金がかかるんだよ。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
よっし、勉強しよう。
将来の不安より、目の前の不安を片付けようと
俺はテスト勉強を再開した。
は・・・・・・まぁ、大丈夫だろう。
こいつはヘマやっても上位に食い込んでくる奴だから。
++++++++++++++++++
ずっと書きたかったものなので書けて満足です♪
おお振りの夢も書いていきたいですね、今年は。
短編のみで。
けれど、おお振りはお友達に借りただけなのでけっこううろ覚えです(汗)
※僭越ながら、『殺戮カルヴァトス』のぽこ様に捧げさせていただきます。
前にリクエストを聞いていただいたお礼です。
この夢をお持ち帰りできるのは、ぽこ様のみです。
ご了承下さいませ。