BACK同じ寮で同じ学年の彼女は、綺麗で可愛くて、その整った顔で微笑まれたら ほとんどの男が射落とされてしまうだろう。 図書室帰り、彼女を見つけて僕は罰の悪い気分になった。 彼女は誰にも本気にならない。 それは誰しも知っていること。 でもだからって、とっかえひっかえするのは可哀想だろ? また違う男をキスを交わしている彼女に、僕は少し嫌悪した。 百恋練磨の彼女 相手の男が僕とは反対の方向へ歩いていくと、彼女はこちらへと歩いてきた。 マズイ!と思ったときにはもう遅い。 「リーマス」 逃げようと回れ右をした体を、また回れ右をして彼女と向き合った。 「覗き見?」 「あっ、えっ、えと・・・ごめん」 慌てて謝ったら笑われた。 何がそんなにおかしいんだい? 僕は少しむっ、とする。 「リーマスは正直ね。あなたが見ていたことは、今あなたが言うまで知らなかったのよ。 それに、別に見られて減るもんじゃないから謝らなくて良いのよ」 その言い方に、僕は倦厭した。 それが彼女の彼女であるべきところなのだろうけど、自分のキスシーンを見られて こうも冷静に、そしてここまで言えてしまうなんてある意味病気だと思う。 「なんならする?キス」 人差し指で、そのふっくらとした赤い唇をさす。 何も塗ってないのにその唇は赤々としている。 「いい」 僕は断固拒否した。 「僕はそんな軽い男じゃない」 そう言ったら、彼女は少し悲しそうな顔をしたので、僕は戸惑った。 しかし直ぐにもとの彼女に戻り 「どーせ私は軽い女よ」 と、いーっをした。 まるで真珠のような歯が見える。 それも君の武器? 何故君は一人の人に留まっていられないの? これはけっこう前からの疑問で、たまに僕の友達内でも話題になっていたことだった。 いつもだったらそれを心にしまいこむ。 勇気がなくて。 でも、今日の僕は彼女に対してちょっと怒っていたからか、その勇気が何故かあった。 僕は口を開く。 疑問を口にする。 「何では一人の人に留まっていられないの?」 彼女は悲しそうに笑った。 今度はそれを隠さず、そのまま言葉を紡ぐ。 「男の子が寄ってくるから」 一番初めに発された言葉は、拍子抜けするほど単純な理由。 「それだけ?」 「・・・・・・無理矢理キスされて、どーでも良くなった」 壊れそうなその顔を見て、何故か抱きしめてあげたいと思う僕がいた。 でも、僕はそれを行動に移さず、彼女の話に耳を傾ける。 「好きな人に振り向いてもらえないし。なんか、もうどうでも良いかな〜って。これでも その時はけっこう傷ついたのよ」 壊れそうなのではない。 心の傷を笑う彼女はもう、壊れていたのだ。 「そういうものなの?」 「そういうものらしいわね」 「その好きな人には気持ちを伝えたの?」 そう聞いた途端、みるみる彼女の顔が赤くなっていった。 「そんな、伝えられるわけないじゃない・・・」 「なんで?」 「だって・・・あんまり良く思われてないと思うし・・・私、軽い女って見られてるだろうし・・・」 初めて見た彼女の赤面した顔は、冷静にニセモノの恋をしている彼女より数万倍可愛かった。 「でも気持ち伝えてないんでしょ?」 彼女は頷く。 「伝えてみれば?」 「そんな、ダメよ。振られる!嫌っ」 「じゃあこのまま好きでもない人達とキスとかするだけの恋だけで良いの?」 彼女は黙り込んだ。 悩んでいるらしい。 考えているらしい。 彼女なりに。 そして出した答えは・・・・・・ 「・・・・・分かった」 「うん。じゃあ頑張ってね」 笑顔で言ったら、胸がチクリと痛んだ。 彼女はまだ赤面しながら僕を見る。 「行かないの?」 彼女は頷く。 「今日は告白しないの?」 彼女は横に首を振る。 「じゃあどうしたの?」 「・・・・・なの」 僕の「どうしたの?」と彼女の言葉が重なってしまい、何と言ったのかはっきりと聞き取れず、 僕は首を傾げた。 「何?」 問うと、彼女はもっと顔を赤くして 「・・・・・リーマスが好きなの」 「えっ?」 彼女の言葉をしっかりと頭にインプットされるまでに数十秒の時間がかかった。 が、僕のことを好き? 本気で〈嘘だ〉と思った僕がいた。 〔これが夢でなければ良い〕と願った僕がいた。 「僕?」 指で自分を指して問う。 彼女は上目遣いに、恥ずかしそうに僕を見て頷いた。 「えっ、ちょっ・・・何で?」 「分かんない。ただ好きになってたの・・・・・ごめんっ」 いきなり彼女は走り出そうとした。 僕はその腕を掴む。 「どこ行くの?!」 「ごめんなさい。軽い女は嫌いでしょ?」 違う。 僕はそういう意味で「僕はそんな軽い男じゃない」って言ったんじゃない。 あれはね、嫉妬していたんだよ。 君の唇をいとも簡単に奪っていく男達に。 僕は嫉妬していたんだ。 「嫌いじゃない!僕はが好きだからあんなこと言ったんだ!」 「嘘ぉ・・・・・・」 彼女は驚きを隠せず本音を言葉にする。 瞳に溜まる涙。 彼女は顔半分を手で覆う。 「もう一度言って」 「僕ものことが好きだよ」 恥ずかしそうに微笑んだら、彼女は僕に抱きついて「嬉しい」と言って泣いた。 僕も嬉しいよ。 君が僕のことを好きだって言ってくれたから。 そして僕らはキスをした。 「もう、この唇は誰にも渡さない」 彼女はゆっくり頷いた。 「もう、あなただけのものだから」 +++++++++ 突然浮かんできた、リーマス夢。 初めはリーマスにする予定はなかった.....というか誰でも良かったのですが(爆) リーマス夢が書きたくて結果,こうなりました。