コンクール参加者合宿の夜。 疲れていたのか、皆はその日の内に夢の中へ。 自然溢れる土地なので空気が綺麗だからか、住んでいる場所よりも多くの星達が見られる。 は同室の二人が寝静まったのを確認し、ゆっくりと起き上がって 抜き足差し足で部屋から出ようとした、ら 「先輩」 「!?」 「トイレは右ですよ〜・・・」 「なんだ、寝言か。もう、香穂ちゃんったら。びっくりさせないでよね」 日野の寝言で一時停止し、小声で文句を言って、部屋を出た。 廊下はうっすらと明るくて、安心した。 これなら目的の場所へ迷わず行ける。 それは、秘密の恋だった。 何時の間にか好きになっていて、けれど誰にも相談出来なくて。 胸の中の淡い薄紅色の想いは濃く大きくなっていって 止められなかった。 気付いたら告白していて、振られたけど、諦め切れなくて 何度も何度も告白し続け、ようやく最近実った恋。 誰かに言う事なんて出来ないし、バレても駄目。 だって、相手は・・・・・・・・・ ノックを2回。返事はなし。 でも隙間からは光りが洩れている。 それを見てはにっこりと笑い、扉を開けた。 「金澤センセ♪」 「!?お前、何しに来たんだ!?」 そう、相手は音楽教師の金澤だった。 先生との恋なんて、言えるわけがない。 二人の会話はもちろん小声だ。 金澤はコップに注いでいたビールの缶を置いて立ち上がった。 は扉を閉めて、金澤の元へと駆けて行く。 「どうしたんだ、一体」 「何だと思います?」 「いっとくが、眠れないからと言って酒はせびるな」 「せびりませんよ。お酒は二十歳からですから」 「じゃあ何しにきたんだ・・・・・・」 また椅子に腰掛けて、呆れたように髪を掻くが、心臓の鼓動は速まっていた。 この状況、普通の男だったらラッキーだと思う。 けれど相手は恋人である前に生徒。 しかもこの家には他の生徒もいる。 間違いがあってバレてしまったら、とんでもないことになるだろう。 そんなことを考えながら、言葉を待つ。 そしてそれを聞いてもっと、鼓動は速くなった。 は笑顔を浮かべながら、問題発言をしたのだ。 「えっとですね、夜這いです☆」 「!!??・・・・・・お前さん、その言葉の意味分かって使っているのか!?」 「分かってますよ!夜遅くに、連絡なしで好きな人の所に行くことです」 自信満々な笑顔で言い放たれた言葉。 間違いではないだろうが、少し違う。 その少しを抜かした意味で取っていると、思春期発情期な男子であったら 即オオカミ化、いただきます、だろう。 けれどここはどうにか我慢 「お前さん、そんなんじゃ襲われて傷つくのも時間の問題になっちまうぞ」 「へ?・・・意味、違うんですか?」 「微妙にな」 「じゃあどういうんですか?」 したつもりだった。 けれど、突然何かが、飛ぶまではいかないが緩んで・・・・・・ 気づいた時には、その華奢な身体を抱きかかえていた。 「えっ?えっ?」 戸惑うをベッドに寝かせて、覆い被さるような体勢で 「夜這いっていうのはな、こういうことをするんだ」 愛らしいサクランボ色の唇に口付けた。 優しく、傷つけぬように。 味わって そっと唇を離して、を見て。 赤く火照った頬を優しく撫でて 「嫌なら嫌って言って良いんだからな」 嫌だと言って欲しかった。 学生中は、まだだと 決めていたのに。 は首を横に振って 「良いですよ、先生となら」 精一杯微笑するから その無防備さに反対に理性はしっかりと戻ってきて 勢い良くから離れて、背を向けてベッドに座った。 「俺じゃなかったら確実にいただいてたぞ。ったく、お前は。もう少し危機感というものを持て」 「すいません・・・・・・」 「こっちだってな、色々と抑えるの大変なんだぞ。俺とお前は教師と生徒なんだからな」 ぶつぶつと、不貞腐れたように言う金澤が愛しくて その背を見つめて至極幸せそうに微笑んで 「大好きです」 後ろから抱きしめた。 こんなに愛してしまうとは思っていなかった。 初めて告白をされた時は、答えはパッと出てきたのに 回数を重ねる事に、胸につっかえるモノが大きくなっていって それが恋だと気付いたのはつい最近。 「あぁ、俺もだ」 手に手を重ねて、握り締めて。 しばしの間、お互いの体温を、想いを感じて。 「そろそろ戻って寝ろ」 「はぁーい」 「次来るときは・・・その、なんだ。ちゃんと連絡を寄こしてから来い」 「はい」 少々顔を赤らめながら言われた言葉が嬉しくて は微笑んだ。 「それじゃあ、おやすみなさい」 「あぁ、おやすみ、」 扉を開けようとしたら、初めて下の名で呼ばれ びっくりして振り向いたら、その瞬間に キスを、された。 軽い、優しい、キス。 「!」 「おやすみ、」 微笑して、頭を撫でて、もう一度名を呼んで。 嬉しかったけど・・・・・・でも、ちょっぴり悔しかったから。 対抗するように 「おやすみなさい、紘人さん」 「!!」 名を呼んで、金澤の服を掴んで背伸びをして 頬にキスを落として。 驚きで金澤の行動が停止している瞬間に 扉を開けて、愛しき人の部屋から去っていった。 キスされたところだけ、熱い。 金澤はそこを抑えて、苦笑した。 「参ったな・・・・・・どんどんと好きになっていく」 椅子に腰掛けて、泡の消えた飲みかけのビールを飲み干して。 今さっき、彼女を寝かせたベッドを見て 赤らめた顔を片手で押さえ 「明日もどうせ来るだろうな・・・・・・頑張れ、自分」 グッ、と拳を握った。 合宿の夜は、色々な意味で大変そうだ、と。 夜が更けていく。 一体明日は、何が起こるのだろうか。   +++++++++++++++++ 甘めです。 ちょっぴり抜けてる女の子を書いてみました。 とにかく 「夜這いです☆」 を言わせたくて書いたものです。 柚木とかは勘付いてそうだな・・・・・・ 「眠そうだね。夜に、何かあったのかな?」 「!・・・・・・梓馬、くん?それ、どういう意味?」 「さぁ」(クスリ)
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