失恋して、悲しむはずなのに
その人の優しさに心打たれて
前よりももっと好きになってしまった私は
おかしいですか?
片 い
想
会いたくてメールした。
学校が終わって、図書室で時間を潰していたら、辺りは暗くなっていた。
親には「委員会の仕事が・・・・・」とか嘘ついて。
学校でて、家路を自転車で帰る。
だけど、家にはまだ帰らない。
あいつ・・・亮に会いたいの。
だから、
亮にメールした。
部活で遅いのは分かってる。
でも、どうしても今
会いたくて。
『暇だったら公園来ない?』
暇じゃないのは分かってる。
来るなんて確信はない。
でも私は公園に行って、待った。
亮の家からも、私の家からも近い公園。
ほんのりと、電灯が一つ辺りを明るくしているだけで
ほとんど真っ暗。
私は古びたブランコに腰掛けて、空を見上げてみた。
天気は悪くないはずなのに
見えない星。
小さなカケラだけが、光ってる。
ただボーッとしてたら、いきなりメールの着信音。
『どこ?』
亮からだった。
別に驚きもせず
しかし平常心でもない。
『ブランコ』
短いメールに短いメールを返して、私は微笑んだ。
足音がする。
走ってはいない。
きっと少しめんどくさいんだろうな。
でもそれがとても、愛しくて。
「何?」
声かけられて、上を向く。
亮がいた。
立ち上がって近づいて、何言って良いか分からなくて。
そして嬉しくて。
「部活は?」
「さっき終わった。つか、いつからいたんだよ?俺の部活、終わるの遅いの知ってるだろ」
降りた衝動で不気味に揺れるシーソーの音をバックミュージックに。
雰囲気なんて全くない。
「別に良いじゃん。来てくれてありがと」
そう言って、またブランコに座った。
足で地面を蹴りながら、少し揺らす。
亮はちょっとめんどくさそうに。
でも、嫌な顔しないで。
話してくれた。
途中でお互い、笑みが零れる。
こんな関係が一番楽しくて。
一番良いのだろうけど。
私は嫌。
私が告白したとき。
亮は私を振りもしなかったし、OKもださなかった。
つまり、今の私は宙ぶらりん。
それならきっぱりと、振ってくれた方が良い。
でも、今の私は振って欲しくないって思ってる。
空を見上げて、ため息をついた。
いっきに場の雰囲気を変える。
前に立つ、亮の服の裾を掴んで。
「やっぱり、まだ好きなんだけど」
小さな声で呟いた。
亮の顔は見ずに。
俯いて、話す。
「たまらなく好きで、すっごく好きで。どうしようもないの」
気持ちが溢れ出て、止められなくなる。
まるで壊れてしまった蛇口のように。
言葉は口からどんどんと出ていく。
「全然大丈夫だから。好きな人ができたり、彼女が出来たり、嫌気が差したら
どんなに酷い言い方して振っても良いから。会えなくても良いから・・・・・・」
大きく息を吸う。
ぎゅっ、と服を握る力を強め。
「私を彼女にして下さい。お願いします・・・」
深く、頭を下げる。
いつの間にか、涙が零れてた。
拭く気にもならなくて、そのぐちゃぐちゃの顔のまま
顔あげて、亮を見る。
亮は戸惑いながら
「そんなんで良いのか?」
問う。
私は頷く。
「どんなんだって良い」
一瞬でも彼女になれるなら。
そのあとどれだけ傷ついてもいい。
亮は頭掻いて
「部活忙しいし、会えないぜ」
「だから良いって言ってるじゃん」
「クラス違うし、委員会も何も接点ないぜ」
「私は別に大丈夫だもん。私がどれだけあんたのこと好きだったか覚えてるの?
九年よ、九年。そんなこと、どうってことない」
「もし俺に好きな人ができたら」
「それもさっき言った。振ってくれてけっこうです」
短い沈黙が流れる。
そして亮は小さく息をはいて
「分かった」
はにかみながら言った。
「本当?」
「あぁ」
恥ずかしそうに、そっぽを向く。
「ありがと・・・」
嬉しくて、また涙が零れる。
とめられなくて。
なんかもう、理性が切れた感じになって。
思わず私は、抱きついた。
「!」
「あっ、ごめん・・・」
すぐに離れて、誤魔化す様に笑ってみる。
「これからは、ん?これからも、宜しくお願いします」
「ん、あぁ、こちらこそ」
向き合わせに立って、頭下げて。
「後ろ乗ってくか?」
「やだ!重たいから嫌!」
「んじゃ走って来い」
「え―。自転車押して歩けば良いじゃん!」
「へいへい。分かりました」
たぶん、前からの関係とそんな変わりはないけれど。
今日からは一応『恋人』という関係で。
その響きが、ちょっとくすぐったくって。
少し前を歩くあいつの背中を叩いてみた。
「何すんだよ!」
「気分」
「はぁ?」
帰ったらまた電話をしよう。
伝えられるときに
もう嫌というくらい。
自分の気持ちを伝えてしまおう。
いつ、この恋に終止符が打たれるか分からないけど。
未来なんて考えない。
今日、その日その日が楽しければ。
私はそれで良いから。
「例え、この関係が今日だけのものだとしても」って思ったけど。
そんなすぐには終わらせない。
頑張って好きにならせてみせる。
今日、私を彼女にしたこと。
絶対に後悔させないから。
だから私に恋をして。
そしてその気持ちを私に伝えて。
あんたが私に恋愛感情を抱かない限り
いくら恋人という関係だからって
私はずっと、あんたに「片想い」中なんだから。
早く「両想い」になりたい。
そう願いながら、私は携帯を手に取って
あいつに電話した。
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これはもともとオリジで書いたやつをドリにしたものです。
初めは赤也君とか桃cとか候補にでてたのですが、
最終的に宍戸sになりました。
名前は敢えてだしませんでした。
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