BACK/大佐が仕事をしっかりしていたのは、もう昔のこと。 今はもう、何時もの大佐に戻っている。 何故、一時だけあんなに仕事を頑張っていたんだろう? とってもとっても気になったから 思わず聞いてしまった。 〜a little more...〜 ホークアイ中尉に「これに大佐のサインを頂いてきて下さい」と頼まれ、私は執務室の扉をノックした。 大佐の声がし、私は扉を開く。 「少佐か」 「この資料にサインをして頂きたいのですが」 扉を閉め、大佐の前に立ち数十枚の書類を渡す。 大佐の顔が苦んだのは言うまでもない。 「今日中か」 「今直ぐにです。サインしてもらうまで、私はお仕事に戻れませんので早急にお願い致しますね」 ホークアイ中尉を真似して微笑むと、大佐は嫌そうにしながらもサインをし始めた。 私はそれまでの間、大佐に許可を取り、その辺にあった本を一冊読み始めた。 もちろん、錬金術関係のもの。 時間が過ぎていく中、私はふと、あの疑問を思い出ので。 「・・・・・・大佐」 聞いてみようと思った。 「何だね」 お互いともそんなに大きな声ではないので、ペンの走る音が妙に大きく感じる。 「大佐は何故、いきなりお仕事を頑張るようになったんですか?それを続ければ良いものの、 何でまたサボるようになったのですか?」 私が言葉を発するのを終えると同時にピタッとペンの音が止まった。 終わったのかな?と思って大佐の方を見ると、大佐と目が合った。 大佐はそのまま視線を逸らさず、私も逸らすことが出来ずにしばしそのままの状態でいた。 しばし、その状態が続いた。 大佐は口元だけ笑み 「君が言ったのだろう。良い返事は私の仕事ぶり次第だ、と」 そんなこと言ったっけ?と、私は記憶の糸を手繰りに手繰り寄せ、数ヶ月前の出来事が思い出された。 「あっ・・・」 「だから頑張ってみたのだが、どうやら私には向いていなくてね。それに、君が私に少なからず興味を抱いていることも分かったしね」 挑戦的な笑みを浮かべる大佐。 全身が熱くなるのを感じた。 「えっ、そんなこと私言ってませんし、今のところ興味のある男性はいません!」 慌てて否定するが 「ムキになるところが怪しい・・・・・・なら、なぜハボックにあんなこと聞いたんだ。私が言った言葉が、 気になり始めたのだろう。なんだったらもう一度言おうか」 「えっ、ちょ・・・・・・」 止めようとしたときにはもう遅くて。 大佐は真剣な顔をして、私の前に立つ。 そして両肩を掴み、少しずつ私に顔を近づけてくる。 目を瞑った。 何だか恐くて。 男の人の顔が、こんな近くにあるなんて。 「好きだ」 耳元で静かにそっと、そう囁かれ、一気に体温が上昇した気がした。 「あっ、えっ・・・・・・と失礼します!」 「これを忘れているよ」 何食わぬ顔で、大佐は書類を渡す。 「あっ、すいません。失礼しました!」 勢い良く扉を閉め、私は駆け出した。 熱い。 何これ。 大佐があんなことするからだ。 「好きだ」 耳元で囁かれた言葉が、まだ離れない。 がいなくった執務室で、ロイは一人笑う。 とても可笑しそうに、そして嬉しそうに。 「あの顔・・・・・・どうやら、本当に私のことを気にしてくれているようだね」 大きく息を吐いて笑うのをやめ、満足そうに笑んだ。 「あとは時間の問題・・・というところかな」 小さく、鼻歌を奏で始める。 それは喜びの歌であり 〈始まり〉の歌。 +++++++++ これで消せない罪番外編は終了です。 新シリーズを楽しみにしていただけたら嬉しいです。 ここまで読んでくださってありがとうございました! ワンドリ参加中。清き一票を!!