彼は、ヘビースモーカー。
でも私の前では一切吸わない。
だけど、彼とキスする度に口の中に広がるほろ苦さを
私は知っている。
First Love
初めて付き合った男の人は、金髪で長身で。
筋肉質で軍人で、そして大の煙草好き。
出会いは単純だった。
私が働いている喫茶店に、彼が来た。
そして私が注文を受けた。
ただそれだけ。
それから何度か彼はコーヒーを飲みに来て、数回目の来店時にデートに誘われた。
そして数回のデートの後告白されて、今に至る。
初めてのキスの味はレモンとかそんなさっぱりしたものじゃない。
煙草の味。
そっと口付けられるときはそんなじゃないけど、舌を絡められると、舌越しに伝わる
煙草の苦さに私は一瞬だけ舌から逃げた。
でも、それが彼とのキスの証拠だと思うようになってからは、もう大丈夫。
彼の部屋の彼のベッドで彼に抱かれた後、彼は天井を向きながら静かに言葉を発した。
「俺、中央に転属になるんさ」
表情無く、ふいに発された言葉。
顔だけ、私の方を向ける。
「・・・お別れってこと?」
「・・・・・あぁ。付いて来ないだろ?」
「・・・・・・えぇ。付いて行かないんじゃなくて、付いて行けないんだけど」
悲しげな彼。
きっと私も同じ表情をしてる。
「短い間だったけど楽しかったよ」
「俺も」
彼は私を抱きしめた。
涙が流れる。
「泣くなよ。お前なら直ぐに良い奴出来るって」
私はその言葉に反応を示さず、ただ泣いた。
ほとんど声を出さずに、彼の胸の中で。
たぶんきっと最後であろう、彼の温もりを抱きしめながら。
彼は私の額にそっとキスを落とし、顔を上げた私の唇にもキスを落とした。
微かに、煙草の味が口の中に広がった。
たぶんこれもきっと最後だろう。
そのまま私は泣き疲れて眠ってしまった。
起きるとそこにはもう彼の姿は無くて。
手紙が一枚残されていた。
ただ一言『忘れないから』。
また、涙が零れ落ちた。
私も忘れないよ。
忘れられない。
あなたの笑顔、温もり、そしてキスの味。
本当にいなくなってしまうのね。
あなたがいなくても、何時も通り一日は始まる。
だけど、どこか違う一日。
あなたがいないというだけで。
初めは苦手だった煙草味のキスが、今はとても恋しい。
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宇多田ヒカル(字、あってる?/汗)のFirst Loveを聞いて浮かんできたものです。
初、ハボ夢です。お互い名前出てないけど(汗
短期連連載にしようかどうか考え中。
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