彼は屋上に寝そべり、くすんだ青空を見つめていた。 紫煙が棚引きながら消えていく。 こつこつと小さく響く規則的な足音は、彼の耳には届いてはいなかった。   たばこの煙 行き成り開いた錆びた扉と 「こらぁ〜ッ、加賀鉄男!!」 怒鳴り声で己の名を呼ばれた事に加賀は酷く驚き、瞬時に起き上がり煙草を後ろの隠した。 生徒指導の奴だと思ったからだ。 しかし、視界に入ったのは女生徒で、加賀の反応を見てくすくす笑ってる。 加賀は恥ずかしそうに顔を赤らめながらも、冷静を保ち、フェンスに背を預けて 安心したように大きく煙を吸い込み吐いた。 「かよ。吃驚したじゃねぇーか。こんなとこまであの野郎来たのかと思ったし」 「あはは。似てた?」 「全然」 「それにしては反応の仕方が凄かったけどねぇ〜、加賀君」 にんまりと微笑むから視線を外し、加賀はちぃと小さく舌打ちした。 そしてもう一服しようと、口に煙草を近づけようとしたら 「何だよ」 「未成年の喫煙は法律で禁止されています。未成年の喫煙はぁ、いけないんです! 成長を止め、体力を削り、早く老いて癌になって死んでいくのです!だから、ここにポイしようね」 満面の笑みを浮かべ、携帯灰皿を指差す。 目の前に携帯灰皿を突きつけられ、加賀は吸おうにも吸えない状況に陥り、手をストップした。 説教紛いな言葉だが、それほど嫌な気はしない。 「お前、何時もそんなもん持ち歩いてんのかよ」 「スモーカーな彼氏がいるからね。なんとしてでも禁煙させないと!早死にされたら困るし。ただでさえ男は女より平均寿命低いのに! ってことで、捨てなさい」 「へいへい」 嫌な気がしないのは、そこに〔愛〕を感じるから。 加賀は大人しくに従い、携帯灰皿に煙草の吸殻を入れた。 は満足そうに笑み、それを制服のポケットへと仕舞う。 その手を加賀は掴み、を自分の許へと引き寄せた。 「まだ吸える煙草を捨ててやったんだから、お礼にキスしろよ」 「いーやっ。一本の煙草を途中で止めたくらいで偉そうな口利かないでくれない?それに、煙草吸ってる人とキスしたくないの」 間も空けずに返答。 何時ものことなのであまりショックは受けないが、やはり何だか寂しい。 「何でだよ」 「だって口の中に苦さが広がるんだもん。特に吸った後なんて最悪」 は苦そうな顔をし、顔を振った。 「良く知ってるな」 「良く知ってるなですって…?あんたが無理矢理するから悪いんでしょ!この強姦魔っ!」 「そんなに強姦してほしいのか」 「誰がんなこと言った!」 言葉は加賀に反発しているが、は腰に回された手に躊躇することも嫌がることもなく加賀の首に手を回した。 「甘いキスならいくらでもしてあげる。だからケーキ奢って」 「はぁ?自分で買えよ」 「だったら禁煙しなさい!」 片方の手を加賀の首から背中を通って、ズボンのポケットへと忍ばせ煙草とライターを徴収した。 「あっ!んの野郎…」 「二十歳になったら返してあげる」 「あとどれだけ先だよ、ったく。じゃあ、禁煙してやるからヤらせろよ」 お年頃な男の子の要望。 冗談の中の本気。 「ん〜……」 返ってくる答えは絶対「ヤダ」だと思ってた。 は唇に当てた人差し指を加賀の唇に当てると 「考えておいてあげる」 「マジかよ」 「その代わり、二十歳まで吸わなかったらね」 「それって五年はお預けってことじゃねぇーか!今すぐヤらせろ」 「いーや。赤ちゃんを産む神聖な行為は自分の欲情を満たすためだけにやってはいけませ〜ん」 拗ねる加賀を見てはくすりと小さく笑い 「キスならいくらでもしてあげる」 一瞬、加賀の唇を奪った。 何時も自分からだったので、大胆な行動に少し驚き、照れたように加賀は笑った。 「その言葉、忘れんなよ」 「ん………」 何時の間にか肩から外されていた両手を、一回り以上大きな己の手で包み込み 唇を奪った。 さっきがしたようなものではなく、深くてほろ苦いキス。 唇を離すと、は酸素を求めるように少し荒い呼吸をすると 「苦っ……」 顔を顰め、加賀を睨み 「ケーキ」 「帰りにコンビにでな」 ケーキを要求……甘いキスを欲しがった。 先程まで漂っていた煙草の匂いは消え、砂埃の匂いと太陽の匂いが漂っている。 登っていった煙の方向には棚引く雲。 そして一番近くには愛しい彼女。 「」 「何?」 「絶対俺から離れんなよ」  ++++++++++++++ えとですね、学校の通学途中に浮かんできたんですよ。 煙草吸っている加賀君と、キスシーンとセリフが! ほんとはもっと色々と会話するはずだったのですが、忘れたのでこんな短く… 今度は伊角さん辺りを書きたいなぁ〜…と思っても、浮かんでこないんですよね(涙) 私の頭は気まぐれです; BACK