〜」 「何?」 名を呼ばれ、彼女は輝く金の髪を揺らしながら振り向いた。 背伸び 「エドにアル。久しぶりね」 立ち止まり、俺達の顔を見て、はふわりと微笑んだ。 は今年、十七歳になる軍人で階級は准尉。 どんな経緯でが軍人になる決意をしたかは知らないが〔国家錬金術師〕の肩書きをもつ俺を抜かせば、 一般軍人では一番若い軍人らしい。 「マスタング大佐に用かしら?」 その言葉を聞き、俺は大佐のあのいけ好かない顔を思い出してちょっとムっとした。 「ない・・・と言いたいけど、あるんだよな」 ハァと大袈裟にため息をついたら笑われた。 「ならちょうど良いわ。一緒に行きましょ。私もちょうど今大佐のところへ行こうと思っていたところだったの」 そう言っては歩き出したので、慌てて俺は隣を歩き出す。 気をつかってか、アルは一歩後ろを歩き出した。 何時の間にか好きになっていて、気付いたのはいつだっただろう。 もうけっこう経つと思う。 俺は、のことだ好きだ。 それは変えられない事実。 別に変えるつもりはないし、嫌な気一つしない。 でも、好きなら早く手に入れてしまいたいと思う。 〈軍〉という男社会にいるのだから、いつ他の奴が手をだすか分からないからな。 でもまだ、この気持ちを伝えていないのは、俺が臆病だからだろうか。 違う。まだ様子を見ているだけ。 タイミングを見計らっているだけ。 が執務室の扉をノックすると「入ってきたまえ」となんともいけ好かない声が聞こえてきて、俺はまた、 眉間の皺を深くした。 「失礼します」 礼儀正しくお辞儀をしたに続き、俺、アルという順で執務室に入る。 「何だ、鋼のも一緒なのかね」 すっげーガックシ溜め息をつかれた。 腹立つ。 「うっせーな。一緒じゃ悪いかよ」 「出来れば准尉と二人きりになりたかったのだが」 「えぇ?!」 その言葉には少し赤面し、大佐はそれを見てに笑いかける。 俺の前なんかじゃ絶対しない笑顔。 こんな大佐の顔見たことない!っていうくらいのだ。 それにも俺は腹が立った。 に向けられる全てに腹が立つ。 それを向けているのが〈大佐〉ってところにも。 「まぁ、鋼のは対象外だから准尉とどうこうという心配はないだろうが」 「何だよその言葉の意味は」 挑発的に向けられた言葉。 売られた喧嘩は買ってやる! そんな勢いで俺は大佐を睨みつけた。 「そのままの意味だよ。君は准尉より背が小さいだろう?女性より男性の方が背が低いなんて・・・ そんなの嫌だろ、准尉」 「えっ、私ですか?それは・・・・・」 話についていけてないのか、恥ずかしがっているのか。 は少し赤面し、少し慌てている。 「つまり、もし仮に君が准尉に好意を抱いていたとしても、勝ち目はないということだよ」 その言葉で、何かがプチッと切れた気がした。 タイミングは今じゃない。 様子も良しとは言えない。 しかし、本能的に俺は動き出す。 俺の中の〈何かが〉音を立てて切れてしまったのだからしょうがない。 俺はの腕をグィと引っ張り、少し背伸びをして一瞬だけ の唇を奪った。 「あっ・・・えっ・・、え?」 はその一瞬のことが把握出来ていないらしく、白く長い指で唇を抑えて何度も何度も疑問符をあげている。 その内に俺は大佐の方を向き、口元だけ笑ってやった。 「確かに俺はより背がち・・・ち・・・小さいさ!でも、もうすぐ追い越すし、背伸びすりゃキスだって出来るんだ! の気持ちも聞かずに勝手に決め付けんな!」 大佐は一つ、息を吐く。 そしてを見た。 「まだ、状況を理解出来ていないようだね」 「えっ、あの、今、何が起きましたか?もしかして、エドが私にキスしましたか?」 「・・・准尉の気持ちを考えて行動しろ。鋼の、ちゃんと説明してあげなさい」 「へ〜い・・・・・・んじゃ、ちょっと借りますね」 俺はの腕を掴み、執務室を後にした。 さっきの大佐の顔と言葉が何かひっかかる。 ショック・・・っていう感じじゃなくて、どちらかというと応援している感じ? いや、大佐に限ってそんなはずがない。 「ちょ、エド。どこに行くの」 戸惑いながらも、は俺の手を握り返し、俺に付いて来る。 「どっか」 「どっかって・・・もう・・・」 不満そうに唇を突き出した。 俺はただ、黙々と歩く。 頭の中は混乱でごちゃごちゃ。 この後、どうすりゃ良いんだ・・・・・・とにかく謝って、そして・・・・・・・ 人気のないところに着いて、俺はと向き合った。 「・・・さっきは急にごめん」 「あっ、やっぱりキスした?」 「あぁ・・・・・俺、のことが好きなんだ!もうすぐ背、抜かすからさ。今はまだ背伸びだけど、 何時かをすっぽり包めるくらいの男になるから!」 思いをぶつけた。 全ての気持ちを明確には伝えられてないと思うけど〈好き〉って気持ちさえ伝われば それで良い。 みるみるの顔が赤くなる。 白く長い指をもじもじさせ、下を俯いて俺を見て、また俯いた。 「あっ・・・えっと・・・・・」 答えを待つ時間は、とても長く感じられた。 もう十分経った気分・・・もう一時間経った気分。 でもまだ五分も経ってない。 やっとは頭を上げ、俺を見てはにかんだ。 「・・・うん・・・宜しくね」 嬉しそうに、はにかんだ。 「好きだよ、エド」 その言葉、表情、声。 可愛くて、嬉しくて、愛しくて。 何かしたくて。 俺はもう一度、の服を掴んで背伸びして、の唇にキスをした。 「あと、ちょっとだね」 は笑う。 「次来るときは抜かしてるから」 「楽しみにしてる」 「そしたら今度はが背伸びな」 悪戯で言ってみたら、はまた顔を真っ赤にして 「努力します」 小さく呟いた。 背なんて恋に関係ないんだ。 ち・・・小さければ背伸びすれば良いし、大きければ屈めばいい。 〈合わせ〉れば良いんだよ。 恋ってそういうもんだろ? 心を背伸びして、相手に追いつく。 俺はやっと今日、追いついた。  ++++++++++ 心の背伸び、というのも考えたのですが エド夢が書きたくて・・・結果こうなりました。 普通だし、びみょ〜・・・・・・(汗 でも、書き直す気なし!です。 だって、書き直すって言ったとしても書きなおせるか分からないし・・・
BACK