どうにかウィンリィとばっちゃんを説得し、私はまたこの家に住むこととなった。
あの人は、ここに私がいることに勘付くだろうか。
大丈夫だと思いたかった。
Not Father Baby
―――東方司令部
ロイ・マスタングは執務室いた。
神など信じていないのに、まるで神に祈るかのように手を組み、その手を額につける。
ロイは本日十数回目となるため息をついた。
目を閉じて、瞼の裏に見えるのは愛しい恋人の姿。
「何故だ……」
何故別れなど告げた。
何か悪いことでもしたのだろうか。
私を愛せなくなったのだろうか。
考えてみても答えは見つからず、疑問は増えていくばかり。
別れる理由も告げずに自分の許から去り、軍まで辞めてしまった彼女。
東方にはもういないらしい。
彼女の住んでいたマンションは空っぽで、名前も剥がされた後だった。
あの時、後を追っていればという後悔。
追えなかった自分への嫌悪。
部下達に彼女の居場所や、別れる前の彼女の様子などを聞いても、皆首を振るばかりで
反対に問われた私も首を振るだけだった。
唯一の答えと言えば、中尉の
「そういえば、体調を崩されていましたね」
という私だけでなく皆知っていること。
「あぁ」
「どうなさったんですか」
「知らん。それを聞く前に別れを告げられてしまったからな」
病院に行く前には「この頃睡眠も疎かでしたからきっと疲労ですよ」と言っていた。
今君は何処にいる。
私が見ている風景と違う風景をその碧眼に映しているのだろうか。
君が去ってもうすぐ一週間が経つ。
こんな短い期間で忘れられるわけがない。
君が別れ間際に言った
「私より良い人たくさんいますよ。大佐なら直ぐに見つけられますって」
この言葉。
そんなことない。
君以上に良い人、見つけられるはずがない。
ぽっかりと空いた大きな穴。
君を見つけ、この手で抱きしめるまで、それは埋まりそうにない。
一時間経っても
一週間経っても
一ヶ月経っても
一年経っても
君以上の女性を見つけられることはないし、君を愛する気持ちを失くすことはない。
別れた理由がどんなものでも受け止めるから
どうか私の許に戻ってきてくれ。
君がいない世の中は
星と月を失った夜空のようで。
「………」
名前を呼んだら「はい」と返事が返ってきた気がすると
思う私はおかしいのだろうか。
それほどに、君が好きなんだ……愛しいんだ。
君がいないと本当に
私は気が狂ってしまいそうだ
君の夢を何度も見る。
それだけが、君と会える唯一の手段。
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彼女がいなくなり、ロイさんは何をしているのか!?ということで。
とにかく、ロイさんの彼女に対する気持ちを書こうと思い
切なく切なく仕上げたつもりなのですが………
まだロイさん続きます。
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