「!」
彼女の名を叫んだウィンリィの表情は訴えていた。
言って良いの!?
と。
はしっかりとそれを読み取り、頷くように微笑んだ。
Not Father BABY
「でも・・・・・・・・・だってエドは・・・・・・・・・」
「良いのよ。だって、この姿を見られちゃったんだから、誤魔化すことは出来ないでしょ」
そんな会話をしている間に、アームストロングに担がれたアルがこの部屋に入ってきて
さっきのエドと同様、のお腹を見て驚きの声をあげた。
「・・・そのお腹・・・・・・・・・」
「見た通りよ」
微笑んで、お腹を擦る。
愛しい、大切な命なのだというように。
エドはとにかく真相を聞きたくて。
話しだそうとしないに少しの苛立ちを覚えながら
「で、相手は誰なんだよ」
棘のある言葉を発した。
腕を組み、椅子に座っているを見下ろす。
睨んでいるのに、から微笑は消えない。
「・・・・・・誰だと思う?」
「大佐以外考えられない。でも、その大佐とは別れたんだろ?だから分からないんだ」
「そうよ。その通りよ」
その肯定は、一体どの言葉に対しての肯定なのか。
別れたことに対してのか。
それとも、相手のことに対してのか。
苛立ちはますます心の中の占拠地を増やしていく。
エドは拳を握って、声を張り上げようとした。
けれど、がとびきりの笑顔で見上げてくるから。
スーッと苛立ちが小さくなっていく。
はまた、愛しそうにお腹を撫でて。
しっかりと、理解出来る答えを出した。
「大佐の子よ」
エドは信じられない、といったように目を見開いた。
お腹の子が大佐の子だということが信じられないのではない。
お腹にいるのは大佐の子なのに、何故別れる必要があったのか、と。
それが、信じられなかったから。
「なら何で、別れたんだよ・・・・・・」
怒りは何時の間にか消え、疑問と空虚が心を支配し始めた。
はその問いに、数ヶ月前にウィンリィとピナコにしたのと同じ言葉を発した。
「・・・・・・迷惑をかけたくなかったの。大総統という目標があるあの人にとって、子供は
まだ不必要だわ」
「大佐がそう言ったのかよ」
「ううん。全て、私の決断よ」
「何でだよ!言えよ!子供が一人出来たくらいで仕事に支障をきたすようだったら、大総統なんて無理だ!・・・・・・大佐のことも、考えてやれよ」
「そうだよ、。全然元気なかったよ。落ち込むなんて比じゃない。・・・・・・見ているこっちまで、悲しくなるくらい」
二人の言葉を聞いて、は顔を上げた。
その表情は、今日初めて見せた悲の表情。
は全く、大佐のことを忘れられていないのが分かる。
まだ、愛しているのだと。
本当だったら、今すぐにでも会いたいと。
けれど、決心したから。
その表情は直ぐに消えてしまった。
「・・・・・・大丈夫よ。大佐なら私よりももっと良い人が見つかるわ」
「でも大佐はじゃなくちゃ駄目なんだよ!!」
エドの言葉は、の胸の深くまで刺さった。
それは自分も、同じだから。
会いたい、という言葉を消すように。
は声を張り上げた。
「これは私が決めた事よ!この子は、私一人で育てるの・・・・・・口出ししないで!!
そして大佐には、言わないで・・・・・・」
張り詰めた、空気。
これ以上言ったら、をもっと傷つけてしまうと思って。
それはお腹の赤ちゃんにも影響してしまうだろうから。
「分かったよ・・・・・・」
これ以上は何も言うまいと。
分かっていないけど、頷いて。
に背を向けた。
けれど、あと一言だけ言いたくて
扉まで行った足を止めて振り返って
「・・・・・・大佐は、快く受け入れてくれると思うよ」
返答はない。
期待なんてしていなかったから。
エドは答えを待つことなく、また直ぐに背を向けて
この部屋を後にした。
一人、この部屋には残された。
「分かっているわ・・・・・・でも」
怖かった。
きっと受け入れてくれるだろうけど
もしも嫌な顔をされたら、と。
怖かった。
だから、逃げた。
そんな顔をされたら
自分への愛も、否定されてしまう
そんな気がしたから。
愛されている内に、消えた。
きっと、知ったら、この子を愛してくれるだろうけど。
少しの悪い可能性が
とても、怖かったから。
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また、とてもお久しぶりです。
久しぶりに鋼を書きました(汗)
一番初めに
「だらだらとはしない…と思います(苦笑)」
とか言っていて
全然有言実行出来てないじゃん!!
と思いました。