BACK/ NEXT男の子♂女の子♀〈中〉 「ったく。何だって言うのよ!」 私は洗濯物の中から汚れの酷いものを選び、水道で手洗いをしていた。 他のものは洗濯機に突っ込んである。 「跡部と忍足はともかく、亮のあの言い方とか態度は何よ!起こしてくれないし無視するし!」 ちなみに今洗っているのはジローちゃんのTシャツ。 言っちゃ悪いけど、ほとんど寝てばっかなのに何でこんなに汚れるんだろう・・・と思う。 秘密の特訓? 兎に角 「ムカつくぅ〜っ!」 水をたっぷりすったジローちゃんのTシャツを、鬱憤を晴らすかのように力強く乱暴に水道に叩き付けた。 ごめん、ジローちゃん。 「うわっ!」 「ん?」 その時の私は、頭に血が上っていたので、隣に人が来たことになって気づきもしていなかった。 誰かがあげた驚きの声でやっと私は人の存在に気づき、声のした方を向く。 「長太郎!」 「先輩、危ないじゃないですか」 どうやらもう少しで顔を洗おうと水道に近づけた長太郎の手を叩くところだったらしい。 「ごめん」 「いえ。どうしたんですか?ムカつくとか叫んでいましたけど・・・」 心配そうに長太郎は声をかけてくる。 言い奴だな〜・・・まじ弟かペットにしたいし! こんな良い子が亮のダブルスのパートナーなんて・・・・・・ん? そういや長太郎って亮のパートナーじゃん! だったら愚痴ってやる! 「聞いてよ!亮がね!」 「はぁ・・・」 あまり気乗りしていなそうな長太郎だが、気にせず私はマシンガントーク並みに話し始めた。 ――― 10分経過 「前はね・・・んと、亮がレギュラー一回落とされる前かな?それまでは、寝坊寸前の私を部屋まで来て起こしてくれたのよ! でもこの頃メールだけ!何でいきなりそうなるのよって感じじゃない?」 「・・・何となく分かります」 ずっと私の話を「はぁ」「えぇ」と聞いていた長太郎が初めて口を開く。 「でしょ!」 「いえ、先輩じゃなくて宍戸さんの気持ちが」 「何で!長太郎も宍戸派ってやつなの?!」 20cmも背の高い長太郎のTシャツの襟を掴んで私はがくがく揺らす。 「えと、そういう意味じゃないです!ただ」 「ただ何よ」 可哀想だから襟を離してあげた。 長太郎はフゥと一度ほっとしたように息を吐き 「きっと宍戸さんは先輩が女だってことに気付いたんですよ」 「私は元々女よ!男じゃないし、況してやオカマとか言ったら殴るわよ!!」 「あっ、えと、すいません!そういう意味じゃないです!」 握られた拳を見、長太郎は慌てて手を首を振った。 「じゃあどういう意味よ」 私は手を組む。 「幼馴染から恋愛対象にランクアップしたんですよ。宍戸さんが先輩を好きなのかは知りませんけどね」 子犬のように無邪気に笑む長太郎。 私はその笑顔に釣られることなく、少々眉間に皺を寄せ「はぁ?」と首を傾げた。 「男女間っていうのはですね、その人のことを友達・親友・幼馴染って言い合える間は相手のことを〈異性〉とは意識してないんですよ。 それが前までの宍戸さんで、今の先輩。今の宍戸さんは先輩のことを幼馴染としても見ているけど、一人の〈女性〉としても見ているんですよ。 だから恥ずかしくて、先輩の寝てる姿とか見られないんじゃないんですか?」 少し沈黙して、考えてみた。 あぁ、そっか。 気付かされた。 幼馴染の前に私達、男と女だったんだね。 私だって〈男の子〉と認識した人に寝顔を見られるのはちょっと・・・ムカつくな。 恥ずかしくは、ぶっちゃけない!と思う。 「・・・長太郎」 「はい」 「あんた凄いね」 「ありがとうございます!」 満面の笑みで笑ったから、今度は釣られて私も微笑んだ。 「ありがと、長太郎」 「いえ、どういたしまして」 「今度お礼に駅前のカフェでお茶しよ。私の奢りで」 「えっ、駄目ですよ。俺が払います!それが駄目なら割り勘で!」 長太郎は強く首を横に振った。 「良いの。奢りたいんだから」 「でも・・・」 「こういうときは、はいと言っておくものよ。一応、私は先輩なんだからね」 「・・・・・はい」 戸惑いつつも頷いて 「じゃあ、明日の2時に駅前集合!」 「明日ですか?!」 「明日なんです!デートなんだから、制服で来たら怒るからね!」 「はい」 〈デート〉という言葉に少々戸惑いつつも、はにかんだ。 「それじゃあ俺行きますんで」 「あっ、ごめんね。長い間引き止めちゃって」 「大丈夫ですよ」 微笑んで軽く頭を下げて、コートに戻ろうとした長太郎の前に 「遅ぇから迎えに来たら、デートの計画かよ。そんなん部活終わったらすりゃ良いだろ」 亮が現れた。 何時にも増して機嫌が悪そうだ。 「すいません」 しゅん、としながら長太郎は謝った。 「ちょっと待って!長太郎は悪くない。引き止めた私が悪いの!」 まるで守るかのように長太郎の前に立って、亮を睨む。 亮も私を見てくる。 目付きが悪いのは元々だから、睨んではいない。 そのくらい長年の付き合いで分かる。 だから、どこか変だということも分かった。 「別にさ、お前ら二人が付き合っていようがなんだろうが俺には関係ないけど、部活には支障起こすなよ」 呆れたように亮は息を吐いた。 「は?誰と誰が付き合ってるって?」 「お前と長太郎だろ?」 「んな」 違うし!と叫ぼうとしたら 「付き合ってなんかないですよ!」 先に長太郎に言われた。 「話を聞いてあげていたんです!」 「話?」 「はい!元はと言えば、宍戸さんが先輩が気にするような態度を取るのが悪いんじゃないですか!」 「あっ、ちょっ、長太郎・・・」 話の内容バラされると、ほとんどが亮の悪口だからヤバイんだけど・・・私が。 そんなことを思っている私の心情など露知らず、長太郎は話し続ける。 どうやら感情に任せてしまっているようだ。 「先輩のことを一人の女性として見ていて、それで恋愛感情を抱いているなら言っちゃえば良いじゃないですか! ・・・抱いてないなら元の関係に戻ってあげて下さい。そうじゃないと先輩、気にし続けることになるじゃないですか! 宍戸さんの態度が変わったって」 そんなこと言うな、そこまで言うな!長太郎のバカ! 何故か口には出せず、私は黙ったまま二人の顔を交互に見ていた。 「じゃあ、後は二人でどうにかして下さい」 「えっ、長太・・・」 言うだけ言って歩き出す長太郎を引き止めようとしたら 「これは二人の問題です」 怖い顔された。 「はい」 頷くしかなかった。 あんな長太郎の顔初めてだよ。 つか置いてくな!こんな状況に! +++++++++ 中です。次の下で終わりです(当たり前だ) 長太郎kと宍戸sは大好きですvv この二人がいっぱいでる夢が増える・・・かな?