A  cute  girl 
                has a mystery?

        
03

彼は校門を出るとすぐに鞄の中から携帯電話を取り出した。
そして電源を入れる。
その時だった。
後ろから駆け足が聞こえてくると思ったら
「じょ〜お!」
「うわぁ〜っ!」
一つ下の後輩、八神太一に後ろから首を掴まれ、その振動と驚きで危うく携帯電話を落としてしまうところだった。
「こら、太一。丈先輩は一応先輩なんだから、そんなことしちゃダメでしょ」
後ろから来た武之内空が、お姉さんのように太一を叱り付ける。
しかし、その注意には少し可笑しなところがあって
「一応って空君・・・」
彼・・・城戸丈は微苦笑した。
「フォローになってないぜ、空」
太一・空に続いて後ろから来たのは石田ヤマトと
「どうしたんですか、その携帯電話?」
泉光子郎だった。
「あぁ、これかい?これはね・・・」
「いっけねぇんだ、丈。学校に携帯持ってきてる!先生に言いつけてやろ!」
丈が光子郎に携帯電話を持ってきた理由を話そうとしたら、また太一が邪魔をして隣で丈をからかい始めた。
「太一っ!」
それをまた、空が叱り付ける。
丈はその光景を見て、また微苦笑しながらこの携帯電話について話し始めた。
「初めに言っておくけど、登校してすぐに理由を話して先生に預けて置いたから大丈夫だよ」
「さっすが優等生!」
「でね、なぜこれを持って来たのかというと・・・」
からかいを含めた言葉を無視され、太一は「無視かよ」と一人不貞腐れた。
皆、内心その太一のことを笑いながらも丈の話に耳を傾ける。
「従兄妹と連絡をとるためなんだ」
「いとこですか?」
「男?女?」
「女の子だよ。今日からお台場小学校の五年生なんだ。もしかしたらタケル君達と同じクラスになっているかも
しれないね」
そう言いながら微笑し、登録してあるその〈従兄妹〉の携帯電話の番号を探す。

「別に待ち合わせとかすれば良いじゃん」
どうやら気分は戻ったらしく、太一はそう言葉を発した。
「中学と小学校じゃ終わる時間が違うからね。だから終わったら直ぐに電話するから好きな所で暇潰して待ってて
って言っておいたんだ」
「ふ〜ん」
番号を見つけ、丈は〈従兄妹〉に電話をかける。


それは二回のコールで繋がり、受話器の向こうから
『もしもし』
という言葉が聞き取れた。
少しでも会話や声を聞いてやろうと、皆は興味本意で携帯電話に耳を近づける。
丈は小声で「やめてくれないかな」と言いながらも、電話の相手・・・従兄妹との会話に専念することにした。
「今どこにいる?」
初めの言葉はやはりこれだ。
これを聞くために携帯電話を持ってきたようなものなのだから。
従兄妹は返答をする。
その答えに丈は疑問符をあげた。
「パソコン室?」
それに対してまた返答が返ってくる。
「うん・・・えっ、今の選ばれし子供?!」
丈が発したその言葉に、他の皆の表情が一変した。
小声で
「電話の相手は本当に従兄妹なのですか?」
光子郎が問うてくる。
丈は手で「待って」と言いながら
「どういうこと?」
すぐに返答は返ってきた。
「えっ?すぐに?・・・分かった・・・うん、じゃあな」

電話を切ると共に丈は走り出した。
他の皆も丈に続いて走り出す。
電話内容がとても気になっているからだ。


「どうしたんだよ?!」
「分からない。でも、話したいことがあるから早く来てって言われたんだ」
「その子は何で選ばれし子供のことを知ってるの?」
「僕が選ばれし子供だったってことは知ってるけど、大輔君達のことは知らないはずだよ」
刹那、沈黙が流れた。
それはただの沈黙ではなく、緊張感で張り詰めた沈黙。
「お前の従兄妹、何者?」
「そんな何者って言うような子じゃないよ。強いて言うなら・・・」
丈が少し間を空けたので、皆は生唾を飲み込んだ。
「可愛いよ、凄く」
皆は真剣に言われたその言葉で一気に気が抜け
「丈!」
「んなこと聞いてんじゃねぇよ!」
「ノロケですか?!」
「丈先輩!ちゃんと空気を読んでください!」
みんなに突っ込みを入れられながら、お台場小学校のパソコン室へと向かうこととなったのだった。








BACK/ NEXT