A  cute  girl 
                has a mystery?

        
05


帰り道。

夏に近づいているので、夕方といえどまだまだ空は明るい。
憂姫は丈より少し先を歩いて、歩いて止まって振り返り、歩いて止まって振り返り・・・を繰り返していた。
「丈兄遅いよ〜」
「あぁ、ごめん」
丈は駆け足で憂姫の隣で歩き始めた。
「考えさせちゃった、私?」
心配そうに顔を覗き込む。
「いや、考えさせてはいないよ。大丈夫」
「なら良いけど・・・・・何を考えてたの?」
「あー・・・まぁ、憂姫のことなんだけどね」
困ったように丈は答えた。
憂姫は少し嬉しそうに微笑する。
「いつからデジタルワールドに行けるようになったの?」
「んと・・・ちょっと前」
「ちょっと前ってどのくらい前だよ」
丈はおいおい、と微苦笑しながら言葉を発す。
「そんな前じゃないよ。まだ一ヶ月経ってないかな?」
「そうなんだ。でも、大輔君達とあんまり変わんないよ」
「そうなの?」
「うん」
そして二人は一緒にに家に入った。



夕食を食べ、お風呂に入り、髪の毛を乾かしたら・・・

ここは丈の部屋。
丈は机に向かって勉強し、憂姫はベッドに腰を掛け、枕を抱えている。
「ねぇ、丈兄」
「ん、何?」
「私があんなに日本に来たがっていた理由、教えてあげようか?」
不意に発されたその言葉に、丈は反応し体を憂姫のほうに向ける。
憂姫の表情は真剣だ。
「秘密だって言ったのに?」
「場が場でしょ。丈兄にだけだもん」
その言葉に、丈の頭の中で喜びの音楽が流れた。
「言ったら一ヶ月は口利かないからね!」
ベッドから降りて丈のすぐ前に座り念を押す。
〈一生〉じゃなくて〈一ヶ月〉というところが可愛いなと思いながら、丈は
「分かった」
強く頷いた。
「絶対だよ」
「うん、約束する」

憂姫は大丈夫だと確信し、一間開けてから少し哀しそうに口を開いた。


「あのね・・・私、デジモンカイザーは賢ちゃんじゃないかと思うの」
「けんちゃん?」
丈は疑問符をあげる。
それに憂姫は、忘れちゃった?というように首を傾げ
「そう。一乗寺賢。私の幼馴染の」
「・・・・・・」
しばし、間。


そして
「あぁ!!」
という大きな声。
下から
「どうしたの〜?」
という丈の母親の声が聞こえてくる。
「何でもないよ!」
ドアを開いてそう言ってから、また憂姫と向き合う。

「そういえば、憂姫ってあの一乗寺賢と幼馴染だったんだっけ。忘れてたよ・・・・・・で、根拠は?」
「実を言うと、ない。でも自分で作る。賢ちゃんちに行って賢ちゃんに聞いてくる」
強く拳を握った。
「それは危ないんじゃないかな・・・・本当にデジモンカイザーだった場合」
その言葉に憂姫は綺麗に微笑んでから、また真剣な目をした。
「大好きな幼馴染が、本当にデジモンカイザーかどうか早く確かめたいのよ」
〈大好き〉というところに込められた大きな力に、丈は知らず知らずのうちに少し嫉妬をしていた。
しかし、本人はそれに気づいておらず
「そうか・・・・携帯ちゃんと持ってけよ。行く前と帰る前、僕に連絡をいれること」
憂姫の決心に賛成する。
「うん。ありがと、丈兄」
嬉しそうに微笑んで、丈を見て。
そして枕を強く抱いて、真剣な目をして。
憂姫は一乗寺賢のことばかり考えていた。









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