A cute girl
has a mystery?
「ねぇ、憂姫ちゃ〜ん。頼むよ〜、来てくれよ〜」
「何で一緒に来ないの?僕達とじゃ嫌?」
「そういうわけじゃ・・・・・・」
憂姫は困ったように俯いた。
しばしの沈黙の後
「・・・・・分かった、行くわ」
憂姫が頷いた頃
「・・・ゴマモン!」
丈はゴマモンからのSOSを受け取り、今にも学校を飛び出したい気持ちでいっぱいだった。
07
「ったく」
パソコン室のドアを乱暴に閉め、大輔は悪態をついた。
「伊織はどうしただぎゃ―?」
パソコン室に来ていないのは伊織だけ。
アルマジモンの幼年期、ウパモンの問いに
「剣道があるから来ないってさ。憂姫ちゃんとの初デジタルワールドだっつーのに」
「伊織は来ないだぎゃ―?」
哀しげに言葉を発すウパモンを憂姫は抱き上げギュッと抱きしめた。
その手が微かに震えているのに気づき、心配そうにウパモンは憂姫を見る。
「憂姫―、どうしただぎゃ―?」
「私・・・・・」
視線全てが憂姫にいく。
「私、やっぱ行けない」
弱々しく発された言葉。
俯いた顔はギュッと瞑られ、憂姫はウパモンを抱く力を強めた。
「何でだよ!行くって言ってくれたじゃん」
「ごめんなさい!でも・・・・・」
「何かあったの?この頃憂姫ちゃん、何か悲しそうよ」
ヒカリは優しく、憂姫の肩に手を置く。
憂姫は何も答えない。
ただただ下を俯いてる。
その時
一つの足音。
「伊織だぎゃ―?!」
少し嬉しそうに声をあげたウパモンだが、その足音が伊織のものではないということに気がつくには、そう時間はかからなかった。
先生や普通の生徒だったらどうしよう、と選ばれし子供たちは慌ててデジモン達を隠そうとする。
しかし、隠す前にドアは開き
終始、子供達の動作がその状態のまま停止した。
ドアを開けた人物を確かめ
「「丈さん」」
ヒカリとタケルが同時にその人物の名を呼んだ。
「こちら、前の選ばれし子供の城戸丈さん」
「こんにちは」
「確か憂姫ちゃんの従兄妹の方よね?」
「そうだよ」
その名を聞き、その声を聞き、憂姫はゆっくりと振り返る。
「丈兄・・・」
呟いたその声は弱々しくて、丈はあの日のことを思い出した。
「丈さん!説得して下さいよ―。憂姫ちゃん、いきなりデジタルワールド行かないって言い出したんすよ〜・・・行くって言ってくれたのに」
大輔の言葉を聞きながら、丈は憂姫に近づく。
「憂姫?」
小さく呼んだその声に、憂姫は反応し顔を上げた。
「分かってるよ・・・受け入れなくちゃって。でも・・・・・・」
「でも何時かは行かなければならないんだ。憂姫だって選ばれし子供なんだから」
「分かってる。でも、今日は行けない・・・」
心配そうに憂姫を見、丈は一つ小さく息を吐いた。
「分かった。でも、今度「行く」って言ったときはちゃんと行くんだよ。大輔君達も憂姫と一緒にデジタルワールドに行くことを楽しみにしているんだから」
コクンと頷いた憂姫に微笑みかけながら優しく頭を撫で
「僕は今日行くよ。それでも行かないのかい?」
「・・・・・・・・・まだ、整理がつかないから」
「そっか。じゃあ、家に帰ったら話すから」
「うん」
ウパモンをそっと机の上に下ろし、憂姫はランドセルを背負った。
「ごめんね、みんな。何時かちゃんと行くから」
ドアに手をかけ
「じゃあね」
少し微笑んで、憂姫は去っていった。
「憂姫ちゃん、何かあったんですか?」
心配そうに問うヒカリに
「あっ、あぁ―・・・大丈夫だよ」
「そうですか」
必死に丈は憂姫との約束を守った。
そして
「遅れてすいません!」
伊織が現れた。
分かってる、分かってるけど・・・・・ごめんなさい。
違うの。
デジタルワールドに行きたくないんじゃないの。
みんなとデジタルワールドに行きたくないの。
きっと行ったら、賢ちゃん・・・・・カイザーに会う。
そしたらきっと言ってしまう、してしまう。
賢ちゃんの名前を叫んで、叩いてしまう。
それは駄目。
今は駄目。
だからまだ、みんなとは行けない。
一人ぼっちで学校を出て、空を見上げたら泣きそうになった。
あの日、一緒にシャボン玉したよね。
あの頃の賢ちゃん、今どこにいるの?
憂姫は願う。
早く、元に戻って
と。
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