A  cute  girl 
                has a mystery?

        

「サッカーの試合?」


憂姫はヒカリの言葉に対して疑問符を上げた。

そのヒカリの発した言葉は、所謂〔お誘い〕の言葉だった。

「ねぇ、憂姫ちゃん。今度の日曜日に大輔君のサッカーの試合見に行くんだけど一緒に行かない?」

この疑問符の後に、さっきの憂姫の疑問符が続いたのだ。



「大輔君サッカーやってたんだ」
「おうよ!しかもな、今回の対戦相手はあの一乗寺賢のいるサッカーチームなんだ!」

得意気に発されたその言葉で、憂姫の表情は興味から一変して辛さへと変わった。
表の表情ではなく、心の中の誰にも見えない部分が。

「一乗寺…賢……?」
「うん。憂姫ちゃんは日本に来たばかりだから知らないかな?」
「あ、ううん。知ってるよ。天才少年でしょ」

表の顔は変わりないが、心の鼓動は速くなり、焦りも出てきている。

気付かれちゃ駄目。

そう憂姫は自分に言い聞かせた。


「かっくいぃよな―、天才少年とか」
「…ごめんね。私行けない」
「えぇっ!」

大輔だけでなく、ヒカリとタケルもがっくりと肩を落とした。

「何か用があるの?」
「うん。そんなとこ」


用事など何も無かった。
ただ、賢に会いたくないだけ。
みんなの前で。

何故こんなにも〔みんなの前〕ってところにこだわるかは
デジモンカイザーだけでなく一乗寺賢まで皆に嫌って欲しくなかったから。
だから自分では言わない。
みんなが自身で気付いた場合には、行動をもっとオープンに。
憂姫は青信号で突き進むだろう。
もう何も抑える必要はないのだから。
今よりもっと行動して、一日でも早く………

賢ちゃんを元に戻す。



   09



憂姫の願いは届かなかった。

月曜日。
大輔のサッカーの試合があった次の日の放課後に「話があるから」とヒカリに手を引かれ
パソコン室へと連れて行かれた。

「いきなりどうしたの?話って何?」

DWに何か新しい異変があった…そんなような話だろうと思っていた。
しかしその〔話〕は、異変よりかは大したことないことで
でも憂姫にとっては、ある意味異変よりも大変なことだった。

「デジモンカイザーの正体が分かったんですよ」

そう、言葉を発したのは最年少の伊織。
瞳にはカイザーに対する怒りが込められている。

「そ…そうなの。一体誰なの?」

声は震えている。
頭の中は賢のことばかり。
今すぐここから駆け出して、賢の許に行って「元に戻って」と叫びたかった。
でもそんなこと出来るはずがない…駆け出すことだって無理だ。
そんな震えた足では。

「一乗寺賢だったんだよ…ちくしょー。俺、あいつのこと尊敬してたんだぜ。同い年であんなに凄いなんてさ」

大輔の嘆きはちくりと憂姫の胸を刺した。

「大輔さん。尊敬の念なんて忘れさって下さい。奴はデジモン達を痛めつける悪い奴なんですよ」

もう一つ、伊織の言葉が棘となって憂姫の胸へと刺さった。
さっきの瞳は、カイザーだけでなく賢に対しての怒りも込められていることを知り、
憂姫は悲しくなった。

「天才って何考えているか分からないわよね」

止めて…

「私達と同い年で同じ小学生なのよね……ちょっと信じられないわ」

そんなこと言わないで…

「とにかく許せないよ!」

賢ちゃんを悪く言うのは止めて!




何時のまにか憂姫は耳を塞ぎ、その場にへたりと座り込んでいた。

「止めて…」

小さく呟いた声は、皆へと届いていない。
皆はただ、憂姫の行動と、瞳から流るる涙に戸惑いを覚え、疑問符をあげるだけ。

「憂姫ちゃん……」

ヒカリが差し伸べた手を憂姫は力なく払い、鞄の中から携帯電話を取り出した。





丈兄……どうしよう
助けて
どうにかして




丈の携帯番号を見つけ、電話をかけた。

















憂姫が床にへたりと座り込んだ頃。
丈は学校から帰るところだった。
今日は教師達の会議で短縮授業だったからだ。


今日は塾も何もないし、家に帰って勉強だ。
さて、どの教科をしようか……
などと考えていたときだった。

「丈―――ぉ!!」

近付いてくる足音。
後ろから名を呼ばれ、丈は振り向いた。
視界に入ったのは、太一、ヤマト、空、光四郎という面子。
つまり、何時もの奴ら。

「どうしたんだい?」
「分かったんだよ!」

その声は弾んではいない。
驚いている。
顔だって。

「何が?」
「カイザーの正体だよ!」
「えっ………」

浮かんできたのは、カイザーの顔ではなく憂姫の顔。
泣いている…
丈は太一達の話に聞き耳持たずで鞄の中から急いで携帯電話を取り出した。
皆はここがまだ学校の敷地内なのに携帯電話を取り出した丈の行動にギョッとし

「ちょっ、丈!」
「丈先輩何やってるんですか!」
「丈、ちょっと聞けよ、おい!」

「とにかく、丈さんを引っ張って校門からでましょう!」
右腕を太一が、左腕をヤマトが掴み、皆は走り出した。
丈は憂姫のことで頭がいっぱいで、ただ一人状況が把握出来ていない。

「おい、何をするんだ!」





学校から少し離れたところでやっと腕を離された丈は

「ちょっと、君達何をするんだ!」

怒っていた。
何時もの丈からは考えられない。
眉は釣りあがり、携帯電話を握っていない方の手は強く握られ血管が浮き出ている。

「それはお前だろ!何、学校でケータイなんか取り出してるんだよ!」
「憂姫が泣いているんだ!一刻も早く居場所を突き止めないと」

丈が憂姫の番号を見つけ、通話ボタンを押そうとした時だった。


〜〜〜〜〜♪


着信音が鳴り響いた。
どこかのサイトからとったものではなく、元々携帯電話に入っていたただの電子音。

【 着信 憂姫 】

という文字が目に入り、丈は瞬時に通話ボタンを押した。

「憂姫!」
『丈兄ぃ……』

電話越しの声は今にも消えそうで、掠れていた。
泣いているのが分かる。
悲痛が伝わってくる。

『カイザッく…私……どうして良いか「大体のことは分かってる。今どこ!?」
『パソコン「分かった!今すぐ行くから」
『うん』

電話を切ると、丈はお台場小学校向けて走り出した。
疑問符をあげながらも、後から太一達も着いていく。
少女:美尋の身に何が起きたのか知りたくて。
謎が多い少女の。























 ++++++++++++

はい。
お久しぶりの更新です。
このお話、更新したと思っていましたら更新していなかったんですね(汗)
書き溜めないので頑張って書こうと思います。




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