「だ〜か〜らっ!何でお前はこっちに歩いてんだよ!方向違ぇだろ!」 金髪の少年に掴まれた腕を、同じく金髪の少女は振り払って少年を睨んだ。 「あたしは少しでも長くタケルと一緒にいたいんだよ!!」 二人の関係を知らない人が見れば恋人同士の痴話喧嘩。 二人の関係を知っている人が見れば呆れものの喧嘩。 しかし少女にとって、発した言葉はとっても大事なことだった。 嵐がきた! 帰り道編 T 「つか、ヤマトは何でついてくんだよ!!」 「今のお前を見ていて、タケルが危ないと思ったからだ!」 「あっ、そっか。ヤマトくんと双子ならタケルくんのお姉さんだもんね」 ポンと手を叩いて空が発した言葉に、ミコトとヤマト、喧嘩を中断して二人同時に頷く。 これでやっと、三時間目終了後の休み時間からの引っ掛かりがとれたと、空は 気分が良さそうに笑った………のだが 「何だ、空。今分かったんかよ。馬鹿だなー」 ここぞとばかり、太一は空を笑った。 もちろん、冗談混じりにだ。 その言葉に空は反応を示し、さっきまでの笑顔は消え、どこか怒りを漂わせる 笑顔のような怒り顔のような表情。 「太一には言われたくないわね」 ツンとそっぽを向いて、口を尖らす。 「何だと!」 「あら、何だったらここで言ってあげましょうか?」 空は立ち止まり、意味深に笑んだ。 つられて皆も立ち止まる。 ちなみに、今ここにいるのは中学2年生組だけだ。 「何だよ」 その笑みの裏には何かが隠れていると、本能的に察知した太一は一歩二歩と後ずさりした。 「太一の中1最後の期末テストの順位は―――……」 「うわぁっ!!ダメだ!言うな!言うなぁ〜〜〜〜!!」 大慌てで太一は空の声を隠すように大きな声をあげながら、空の口を塞ごうとした。 「太一って馬鹿なん?」 真顔でミコトは問うた。 「馬鹿じゃねぇよ!ただ、サッカーばっかで勉強あんましてねぇーから出来ないだけで……」 「それを馬鹿っつーんだよ。少しはやれよ」 ため息混じりにミコトに言われ、太一は肩を落とし「はい…」と頷いた。 青い空は続く。 きっとこの空に下に、自分の可愛い可愛い弟もいるのだと思って ミコトは微笑んだ。 そしたら 「何笑ってんだよ」 その笑顔をヤマトに見られ、恥ずかしさを隠すために、ミコトはヤマトの頭を殴った。 「痛っ〜……何すんだよ」 無視、だ。 ミコトはまた虚空へと顔を向けた。 その気持ち良さそうな表情には女の空までもが見惚れるほど。 それがこの青い虚空ではなく〔あいつ〕に向けられていることに ヤマトは気付いた。 そんな彼らは会話もなく、ただ歩く。 会話がないことに飽き始めた彼らは談笑をし始め、足を進めていた。 と、その時。 「あっ!」 いきなり声をあげたミコトは走り出した。 BACK/ NEXT