嵐がきた! 帰り道編 U 「あっ、えっ、えぇ!?」 「ミコトちゃんどうしたのかしら?」 「もしや…………ったく」 ミコトが走り出した理由を悟ったヤマトは、ミコトを追い、走り出す。 意味の分からぬ二人も「?」と顔を見合わせ疑問符をあげならも走り出した。 「いったいどうしたんだよ、ミコトは」 標準的な中学生より運動神経の良い太一と空は、ほぼ全速力で走るミコトをほぼ全速力で追いかけているヤマトに、 全速力で走り・・・・・・・・・追いついた。 「勘なんだけどな……いや、絶対当たっていると思う」 迷惑そうに言葉を発すヤマトに「何だ?」と太一は疑問符をあげる。 「何が?」 「たぶん、ミコトが走り出したのは……」 ヤマトが続く言葉を発す前に、彼らは瞳に映した。 金髪の少年に抱きつく………飛びつく金髪の少女の姿。 少女はもちろんミコト。 少年の方も、皆が良く知っている者だった。 「タケルぅ〜!」 「うわぁっ!!」 飛びつかれた勢いと驚きで、少年はバランスを崩し、喫驚な声をあげた。 この時はまだ、抱きついてきた者がミコトだと知らなかったということも理由の一つ。 「つまり、こういうことだよ」 ミコトとミコトが抱きついている少年、改め弟・タケルに目をやり、ヤマトは呆れ気味に 親指でクィと差した。 「こういうことって?」 「つまり、タケルが見えたから走り出したんだろ?」 空の疑問符に頭を掻きながら答え、ヤマトは呆れた瞳をミコトに向けた。 「タケル〜。会いたかったよ。長い間離れ離れになってたから寂しくて寂しくて…」 「長い間って、半日も経ってない……って、ちょっ、止めてよ!」 「やっぱさ、これって運命だよな」 弟に会えた喜びで、ちょっとばかし可笑しなことを口走りながらタケルを強く抱きしめるミコト。 対してタケルは、冷静にツッコミながら、何度も「止めて」と訴えていた。 その二人の後ろには、小学生組が呆然と二人を見ている。 しばらくの間、皆は動こうとせず、ただただ二人を見ていた。 だが、ハァと息を吐く音が聞こえたと思うと、ヤマトが二人に向かって歩いていき ミコトとタケルの肩を掴み、二人を離した。 「運命じゃなくて、ただお前が小学校がある方向に歩いていっただけだろ。偶然じゃなくて、必然だ」 「くそっ、ヤマト…私とタケルの感動の再会を……」 「抱きつくのは別に良いけどよ、今のままじゃ、タケルが窒息死するぜ」 「ありがとう、お兄ちゃん」 少し荒めに呼吸をし、タケルは笑顔をヤマトに向けた。 ミコトは大きな衝撃を受けたように二人を見、後ろに一歩、二歩、とよろよろと下がりながら 「お、お兄……・ちゃん」 ショックを口にした。 「お、お兄ちゃんだって……タケルがヤマトのことを、笑顔でお兄ちゃん、って…… 可愛い…じゃなくって!何故だ…あたしのことは姉さんなのに……くそっ…タケル!」 頭を抱え込んでいた両手でタケルの手を握る。 その瞳は真剣そのものだ。 だから、発される言葉も真剣なものなのだろう、と誰もが思った。 だが 「お姉さま、って言ってごらん?」 予想は覆された。 瞳はどこか潤い、頬は桃色に染まっている。 左手はまるで女性をリードする紳士のようにタケルの右手を取り、右手は胸の辺りに そっと添えられている。 「ヤダ」 絶対零度の微笑と共に、ミコトの期待は崩れ落ちた。 【タケルの攻撃 『絶対零度の微笑』 ミコトは、ダメージ1000を喰らった。 HPはあと10しか残ってない。 ミコトは携帯電話を取り出した。 ミコトの攻撃 】 「弟が、冷たいんですぅ〜……えっぐ」 【『秘儀 子供電話相談室』】 電信柱の影に隠れ、膝を折り曲げ、地に座って泣き(真似をし)ながら電話をする真似をし出したミコトの頭を、ヤマトは鞄で叩いた。 「っう………何すんだよ!」 すぐさま真似を止め、立ち上がってヤマトと向き合ったミコト。 「お前が馬鹿なことしてんのが悪ぃんだろ!」 ヤマトは腕を組みながら、呆れ気味に言い返す。 「冗談の通じない人は嫌われるぞ」 「何だとッ!」 ふぅ、と嘲笑気味に息を吐いたミコト。 それに対して怒るヤマト。 「ちょっと、お兄ちゃん、姉さん!」 それを止める弟のタケル。 兄姉、弟という立場は誰から見ても逆転していた。 それを少し心配そうに、そして面白そうに見ている太一と空に対して、 小学生組の四人は、まだ唖然と三人のやり取りを見つめていたのだった。 BACK/