雷鳴が近くで轟いた。
強まる雨。
濡れた人工的な地に膝をつくエドを男は見下ろす。
「神に祈る間をやろう」
「あいにくだけど祈りたい神サマがいないんでね」
錬金術師は神を信じない。
でもたまに、神に縋りたいときがある。
今とか。
エドを助けてください。
……聞いてくれるわけがない。
神様なんていないから。
いたとしても、禁忌を犯した私の願い事なんて聞いてくれないだろう。
『 The Future Continues 』
〜矛盾〜
「あんたが狙ってるのはオレだけか?弟…アルも殺す気か?」
動きたい。
叫びたい。
エドの名前を。
男に向けての言葉を。
でも動けない。
男の言葉の蔓が私の足に絡み付いている。
あなたは何者なのですか。
「邪魔する者があれば排除するが、今、用があるのは鋼の錬金術師…貴様だけだ」
「そうか。じゃあ約束しろ。弟には手を出さないと」
何を言っているの、エド。
それは何か作戦があっての言葉?
それとも……死を覚悟しての言葉?
「兄……」
「約束は守ろう」
「何言ってんだよ……兄さん何してる!逃げろよ!!」
右半分を壊されたアルは、ガシャガシャ音を立てながらエドに訴える。
「立って逃げるんだよ」
足があるのだから。
「やめろ…やめてくれ」
しかしエドは反応を示さない。
男の手が、エドの真上まで迫っている。
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
悲痛の叫びが響き渡り、左手を使って立ち上がろうとした所為で壊された場所が
もっと壊れていく。
やめて…
腰を少し浮かして手を伸ばす。
「やめっ…」
やっと声が出た。
小さな小さな。
きっと誰にも届かない。
ドン
銃声が鳴り響いたのはその時だった。
男は手を止め銃声の方を見、エドは意識をこちらへ戻ったようだ。
「そこまでだ」
聞きなれた声。
ゆっくりと顔をあげ、一番に目に入ったのは大佐の顔。
ホークアイ中尉やハボック少尉もいる。
安堵の吐息が零れた。
「危ないところだったな、鋼の」
「大佐!こいつは…」
「その男は一連の国家錬金術師殺しの容疑者…だったがこの状況から見て確実になったな」
エドが何かを発す前に、大佐は男に対して今分かっていることを述べた。
「タッカー邸の殺害事件も貴様の犯行だな?」
「!」
エドはその言葉を聞き、右肩を押さえながら男を睨んだ。
男の表情からは恐怖も罪悪感も何も感じられない。
「…錬金術師とは元来あるべき姿の物を異形の物へと変成する者…それはすなわち万物の創造主たる神へと冒とく。
我は神の代行者として裁きをくだす者なり!」
右手をゆっくりとあげていき、男は顔の前で拳を握った。
神を信じている者が、錬金術を冒とくだと言うのは別に気にならない。
でも、この男はおかしい。
だって、この男は錬金術をつかっている。
創造ではなく破壊の。
それが物凄く、ひっかかった。
自ら神の道に背きながら、己のことを神の代行者という。
この矛盾は一体なんなの。
++++++++++++++++++++++
冒とくの〔とく〕を漢字にすると文字化けしちゃう……
たぶん、第二部はあと10話せずに終わります。
頭の中で、だいたいのことは考えてあるので
あとはそれを文章化するのみ!!
それが難しいんだな(汗)
やっと大佐登場!!
BACK/
NEXT