彼女のあの、必死な顔が私の心を痛ませた。
何故、あれほど傷の男(スカー)を追いかけたがる。
何故それほど悲しげな顔をして・・・少しの怒りを含めた表情で私を見る。

そんなに、あの男が大切なのか。
だからその背中を追いかけて、掴みたいと思うのか。




考えたら考えただけ深みにはまりそうだ。
しかし、止めようとしても頭は考えることを止めない。
気になって気になって仕方がない。


私が彼女の抱く感情は

恋

なのだから。





  『 The Future Continues 』
             〜これだけ悩むのは、君が・・・〜




鋼のが腕を直すことについて話している間、探していた。
少佐の姿を。

しかしいない。
どこを見渡しても、この一室に、少佐の姿は見当たらなかった。


部屋に入るまではいたはずだ。
だが、この部屋からは誰も出ていない。
では、どこにいる。






話が一段落したところで、私はその疑問を皆に発してみた。

「そういえば、少佐の姿が見当たらないがどうした」
「俺も思ってたんすよ」

ハボックの言葉に皆は頷くが、3名、反応を示さないものがいた。

鋼の、アルフォンス、そしてホークアイ中尉。

この3人が何か知っているのは確かだ。
鋼のに聞いた場合、喧嘩腰に返答が返ってきそうなので却下。
アルフォンスは・・・・・・誤魔化しそうだ。
ここはやはり、中尉だな。


と、私は中尉に問うてみた。

「中尉、知っているか」
「・・・トイレに行くと言っていました」

言葉を発す前の間が気になる。


「何だよ大佐。だってトイレ行くに決まってるだろ?なっ、アル」
「あっ、うん、そうだよ」
「にしては帰って来るのが遅いと思わないか?」
「・・・あーそれはー・・・・・・あれだよ。きっと仲の良い人にばったり会って話しこんじゃってるんだよ」

怪しいにもほどがある。
苦し紛れに出る変な笑いと、無理のある返答。


「1,	2分は話したりするかもしれないが、少佐は仕事を放棄して、長い時間話す人ではない。
・・・・・・何を隠しているんだ。・・・・・・・・・・・・もしや」



今まで気付かなかった自分を馬鹿だと思った。
そうだ。
そうに決まってる。

少佐は・・・・・・・・・は・・・・・・

「スカーを追いかけにいったのか」

信じたくなかった。
出来れば鋼のの言ったことが真であると思いたかった。


しかし、鋼のの表情が物語っている。
そうだ、と。
私の言ったことが合っている、と。



「何故・・・何故知って行かせたんだ!」

頭に血が昇っていく感覚。
私は自分の感情に任せて、鋼のの胸倉を掴んでいた。

「国家錬金術師だけを狙う凶悪犯だぞ!君は少佐が国家錬金術師だということを知らないのかね」
「・・・・・・あんたこそ、のこと分かってんのかよ」
「は・・・・・・?」

反発するように向けられた視線。
そして、自信を持って「そうだ」とは言えない自分。
力が抜けた私の手から、鋼のは乱暴の逃れ、私を睨んだ。


「あいつ・・・スカーはの父親のことを何か知っているんだ。それを知って、がじっとしていられると思うか?
思わねぇだろ?あいつは父親のことをこれっぽっちも嫌ってなんかいない。ただあの日の出来事によって、父親のことを
好きだって気持ちを隠してしまっているだけなんだ。だから知りたいんだよ。父親の本心がなんだったか、っていうこと。
スカーがそのことを知っているとは限らない。父親が生前、本音を誰かに言ったとも言い切れない。だけどあいつは、
可能性がある限り行動するよ。・・・・・・大佐、そんなことも分かんねぇのかよ」


向けられたのは、軽蔑の眼差し。
自分よりも、鋼のの方が少佐のことを良く理解していたことを知り、落胆した。

彼女を愛する気持ちは誰よりも上だと思っていた。
なのに・・・・・・それは間違っていたのだろうか。



「それに、スカーはを殺さない」
「・・・何故」
「分からない。ただスカーが言ってた。だから行っても大丈夫だ。生きて帰って来る。
・・・・・・・ただ、明るい表情で、とは限らないけどな」





鋼のに負けたことが悔しかった。
だから、どうにか形勢逆転をしたい。



・・・・・・その前に
少佐を迎えに行きたい。
その体を抱きしめたい。
鋼のの言ったとおり
スカーに父親のことを聞きにいったのなら。
それが良い事であれ、悪い事であれ
君はきっと、泣きたがるから。
でも、泣けないから。


私は彼女を泣かせてあげることが出来る。


あの日
彼女は私の前で涙を流してくれた。
だからきっと
泣く場所になってあげられるだろう。










「中尉」
「なんでしょう」
「今日終わらせなければならない仕事はどれくらいある」

私の言葉に、中尉だけでなく、他の奴らも驚きの表情をしている。
それが少し頭にきたが、今はそれに対して反応を示している場合ではない。

「そうですね・・・・・・これで全部です」

と、中尉は私の机の上に書類の束を置いた。
日頃怠けている所為で、それはけっこうの量がある。
しかし、急げば3時間弱で出来るだろう。

「これが終わったら、今日の仕事は終わりで良いんだよな?」
「はい」
「分かった。では今から集中するから誰も私に話しかけないでくれ」


私はそう宣言し、命令すると、ペンと判子を用意し仕事に取り掛かった。







絶対迎えに行くから
愛しき人よ
押し込めないで
その、泣きたくなるほどの感情を




















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大佐です!
この部分は初め、全く考えていなかったのですが
書いてみて、主人公視点だけじゃつまらない!駄目だ!
と思い、書き足しました。
いかがだったでしょうか?

中尉がどう考えて主人公をスカーの許へ行かせたかは書かなかったのですが
まぁ、エドと近い考えであることは確かです。
主人公の考えを最優先したんですね。


この頃、サブタイトルを考えるのが大変です。
だから変なのばっかり(泣)

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