BACK/ NEXTタッカー氏は、想像と違って穏やかで優しそうな人だった。 人相の悪くて体付きの良い人を想像していたわけではないけど…。 言ってはいけないことだけど、こんなに弱弱しそうな人だとは思ってなかったから。 だって、合成獣を作り出すには、生き物が必要。 失敗したらその生き物達は……… パッと見では虫も殺せぬような人。 でもその裏に隠されている何かがあるのか…と、思考し始めた脳内を私はシャットした。 考えすぎは、ただ悪いことしか連れてこないと思ったから。 『 The Future Continues 』 〜車内騒動〜 「じゃあ、エド、アル、時間がある時には様子見に来るから」 「おぅ。俺達も気晴らしにの顔、見に行くよ」 「仕事頑張ってね」 「うん。二人も」 短い言葉を交わして、私は大佐と共に車へと乗り込んだ。 二人に小さく手を振ってから。 「相変わらず仲が良いな」 前に座っている大佐は、足を組んで腕を組みながら、微笑を零した。 「はい。大切で大好きな幼馴染ですから」 私も笑みを浮かべる。 エドとアルへの気持ち。 そんな私の言葉に、大佐は右手を口元にやり、考えるポーズを取りながら 「鋼のは範囲外か」 ポツリと呟いた。 「範囲外…ですか?」 一体何のことを言っているのか全く分からず、私は疑問符をあげた。 大佐はしばし答えるのを焦らしたが 「…つまりだな、少佐の恋愛対象の範囲だよ」 悪戯な微笑を浮かべて、口を開いた。 「恋愛対象の範囲ですか?」 いきなり何を言い出すんだこの人は…と思ったが、それは今に始まったことではないと いうことに気づき、小さく呆れ交じりに息を吐き出した。 「そうだ」 何故か嬉しそうに頷いている大佐。 「対象もなにも、エドは家族のようなものですよ。エドだってきっとそうですよ」 馬鹿馬鹿しくなってきて笑ってしまった私に、大佐は真剣な顔をした。 「鋼のはそうは思ってないらしいぞ」 「へ?」 あまりにも思いもしないようなことだったので、頓狂な声を出してしまった。 エドが私のことを恋愛対象として見てる?まさか。 お姉さん…または、年齢は上だけど妹みたいだよな、ならまだ分かるけど…… だから 「大佐、嘘はいけませんよ嘘は。そんな嘘ついても何の得にもなりませんよ」 笑ってみた結果、大佐をむっとさせてしまった。 「一歩間違えれば私の不利になってしまうような嘘など吐くわけがないだろう」 大佐は呆れたように言葉を発す。 何故呆れられなければならないのだろう。 その疑問は、次の言葉で 「まさか忘れてはいないだろうね。私はずっと待っているんだよ。君の返答を」 恥ずかしさへと姿を変えた。 時たま思い出すあの日のこと。 抱きしめられて、言われたのは「好きだ」という告白。 顔が赤くなっていくのが分かり、私は慌てて俯いた。 「えっ、やっぱりあれって…本気、なんですか?」 「本気に決まっているだろう。そんなに不安なら何度でも言おう。これで何度目だろうな」 「あれって何だよちゃん!」 ……ちゃん? いきなり乱入者登場。 仕事中に私を名前+ちゃん付けで呼び 「お兄ちゃんに内緒ごとしちゃ駄目だろ」 自分を〔お兄ちゃん〕と言う人は一人しかいない。 というか、車内には私と大佐以外にあと一人しかいない。 「だからハボック少尉、勤務中はその呼び方止めて下さいって言ってるじゃないですか!」 すいません、少しだけ存在忘れてました。 心の中で謝ろうとしたのに 「ハボック、嫌がられてるぞ」 「大佐に言われたくないっす」 「何だと……」 「ちょっと二人とも止めて下さい」 一触即発な空気。 頭で何か考え事をしている状況ではなくなるだろうと私の過去の経験からくる勘が言っている。 「そうだな。すまん、」 大佐は腰を上げると、私の前に膝を着き、右手を私の顎に添えた。 大佐まで名前呼び、しかも呼び捨てですか。 「何…しようとしているんですか」 無理矢理、顔を大佐の方に向けられ、私は負けじと強気で睨んだ。 「口説こうとしているんだ。愛してるよ、」 「少佐―、騙されないほうが良いっすよ。大佐今日デートっすから」 横からハボック少尉の言葉が入ってくる。 ………やっぱり、本気じゃなかった? 自分でも何の感情が入り交ざっているか分からない、強いて言えば胸の辺りが 気持ち悪い感情に襲われる。 早く、この状況から抜け出したいと思った…願った。 ねぇ、私今、どんな顔してる? 「ちょっと待て。誤解を招くような言い方するな。デートではない。ディナーに誘われたんだ!」 「へぇ〜。夕方からデートがあるって自分で言ってたじゃないっすか」 「くっ………」 淡々と言葉を発すハボック少尉に対して、大佐は少し冷静を失いかけている。 「別に好きになろうが、告白しようがは大佐の勝手ですけどね。だって決めるのは少佐なんだし。 でも、少佐傷つけたりしたら、俺許さないっすから」 きっと…ううん、絶対今のハボック少尉、自分が車を運転してること忘れてる。 カッコ良い決め台詞は確かにとっても嬉しかったけど、前は見て欲しいです。 大佐を睨むのは後にして下さい、今は…… 「ハボック少尉、前向いて下さい!運転中ですよ!」 「あっ、ヤベっ」 本当に忘れていたらしく、少尉は直ぐに前を向いて運転をし出した。 私はホッと胸を撫で下ろし、顔を上げた……ら、直ぐ近くには大佐の顔。 「さてと、邪魔者もいなくなったことだし「いますよ。勝手に存在消さないで下さい。 しっかりとミラーで確認してますよ。大佐が変なことしないか」 「変なこと?失敬な、これは単なる愛情表現だ」 大佐は私の右手を、まるで童話に出てくる王子様のように取ると 自分の口元まで持っていき、甲にキスをした。 キス………キス!? 「ちょ、ちょっと、大佐、何するんですかっ!!」 「何って愛情表現だ。許してくれるなら口にもしたいのだが」 「駄目ですよ!あ―、もう!帰ったら中尉に言い付けますからね!」 「あっ、ちょっと待ってくれ。それだけは「良いんじゃないっすか。何発か撃ってもらえば大佐の頭も冷えるだろうし」 「おい、お前達「ハボック少尉、スピード上げて下さい!」 「ちょっと待て!」 「了解っス」 「二人とも、私を殺すつもりかぁっ!!!」 +++++++++++++ 初めはとことん大佐に攻めて貰おう! と考えていたのですが、書いている内にどんどんと変わっていき、少尉乱入。 結果、ギャグになってしまいました(苦笑) ギャグを書こうとすると書けない人なので、けっこう満足です。