「嘘……」
声と一緒に吐き出した空気を私は吸い込んだ。



『 The Future Continues 』
                     〜あなたの笑顔が好きだから〜


突然の電話。
それをとったのはホークアイ中尉。
無表情が少しの驚きへと変わり、それを私に向ける。
何・・・何があったの。
「はい……分かりました。今すぐ行きます」
電話を切ると、中尉は私を向かい合った。
「どうしたんですか…」
恐る恐る問うて返ってきた言葉は
「……死んだわ」
「誰……っ」
いきなり〔死んだ〕と言われても、〔誰が〕とかいう主語がなく、問おうとした……が
問う必要がなくなり、私は息を飲み込んだ。
死んだのが誰だか理解出来たから。
中尉の悲愴の表情は、昨日の私に向けられているもの。
死んだ……つまり、ニーナちゃん。
「タッカー…さんが殺したんですか」
中尉はゆっくり小さく首を横に振った。
「じゃあ誰が」
「まだ分からないわ。分かっていることは二人とも死んだってことよ」
「二人とも!?」
「えぇ。二人とも殺されたのよ」
殺された・・・・・・
誰に。
誰が、何の目的で二人を・・・・・・

真相を確かめたくて、これからその場へと向かうホークアイ中尉に着いて行こうとしたら
「少佐は来てはいけません」
「何故です!?」
「大佐からの伝言よ。『見ないほうが良い。これ以上君の心に負担をかけては困る』」
「でもッ!」
「少佐・・・いいえ、今はちゃんって言った方が良いかしら」
中尉の顔が、仕事の顔から優しいお姉さんのようなお母さんのような表情へと変わった。
「みんな、あなたの泣き顔や暗い顔を見ていたくないのよ。あなたには笑っていて欲しいの」
伝わってくる温もり。
昔は知っていた。
今では懐かしい。

微笑まれたら、頷くしかなかった。
「じゃあ、行ってくるわね」
中尉は扉を開けると
「エドワード君!」
エドの名前を発した。
エドがいる。
ここ、軍部に来た。
ということはアルもいる。
出て行こうとした。
でも、エドが発した言葉を聞いて、今はまだ姿を現したくないと思い、私は息を潜めた。
「あ・・・あのさ、タッカーと・・・ニーナはどうなるの?」
声で分かる。
聞き難い、本当は聞きたくないと言っているのが。
「タッカー氏は資格剥奪の上、中央で裁判にかけられる予定だったけど・・・二人とも死んだわ」
仕事の顔に戻っている。
淡々と告げられている言葉。

エド、アル。
今、どんな顔してる?


中尉は言葉を続けた。
「正式に言えば「殺された」のよ。だまっていてもいつかあなた達も知る事になるだろうから教えておくわね」
「そんな・・・なんで・・・誰に!!」
エドの走る音と、それを追いかけるアルの足音と
エドの声は響いた。
私と同じ、疑問。

声はどんどんと遠ざかっていく。
そんなに大きな声で話しているわけではないので、今はもう聞こえない。
何故か不安になって、私は扉を開き、左右を確認した…・・・いた。

「見ない方がいい」

中尉からエドとアルに対しての言葉。
私が大佐から言われた言葉と同じ。



中尉が去ると、エドは俯いて
「何で殺されたんだよ・・・」
小さく、消えるような声で呟いた。
「兄さん・・・」
放っておけなかった。
その悲愴を秘めた言葉、表情。
私と同じ。
アルも同じ。

私は二人の許へ駆け寄って、二人一緒に抱きしめた。
「・・・」
「悲しい顔をしないで。今すぐ笑えとは言わないけど・・・明日くらいには笑ってて。
私はね、二人の笑顔が好きなの。二人のそんな悲しげな顔とか暗い顔を見てると、
胸が張り裂けそうになるの・・・」

そういうことか。
中尉の言葉が今、分かった。
大切な人には笑っていて欲しい。
大切な人が笑っているだけで幸せな気持ちになれる。
反対に、悲しい顔をしていると、辛くなる。

「・・・だって、悲しそうだよ」
抱きしめた手を解いて、私の顔を見たエドは心配そうに言葉を発す。
・・・今の私、そういう顔をしているんだね。
分かんないよ、自分の表情なんて。
鏡、見てないもの。
分かるのは心の表情だけ。
顔の表情は、エドの言葉の鏡で分かった。


お互い無理して笑顔は作らない。
「明日はきっと、笑うから」
「僕もの笑顔が大好きだよ」
「ありがとう」
アルの言葉に対しては、嬉しかったから微笑んだ。

「じゃあ、俺達行くから」
「何処に」
「分かんね・・・」
きっと、彷徨うのだろう。
今の心がどこか宙に浮いているような感じを覚えるように。
「そう。気をつけてね」
背を向ける彼らを見送る。
「おう」
「うん」



雨が止めばいい。
止めば、心に降る小雨も少しは晴れる気がするから。

雨が降っていると、何か、良くないことが起きそうな気がする。
雨は時に憂鬱とかを連れてくるから。
雨は嫌い。


























 ++++++++++++++++++

ちょこっとシリアスです。
中尉をもっと出したい!と思います。
主人公を〔子供〕として見る事が出来る数少ない存在で、たった一人のお母さん的ポジションを持つ人なのですが
あまり出番ないですね(苦笑)
出番は
主人公>大佐>エドって感じです。
アルより中尉の方が言葉の数は多いかな?(笑)
アルをどうやってしゃべらせようと何時も悩んでいます;


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