BACK/ NEXT何だか無性に腹が立つ。 今回の期末試験も私は首席だった。 入学してから今の今まで、努力してずっと守ってきている。 本当に頑張ってるのよ。みんなが見てないところでコツコツと。 それなのに・・・・・・・ やっぱり人間って自分より出来る人の悪口を言いたくなるものなのかしら? 聞いてしまったの。まぁ、私が入っているグリフィンドール寮と仲が悪いスリザリン寮の生徒だったから しょうがないって言えばしょうがないのかもしれないけど 「・は名門家の一人娘だから出来て当たり前なのよ」 「もしかしたら、あらかじめ先生方からでる問題を教えてもらっているかもしれないわよ。 あまり認めたくはないけれど、顔良いし」 「ほんっと、家が名門で顔のつくりが良い人は得よね〜」 って、酷くない??!! 人の努力を知らないで家の名前と見た目だけで判断しているのよ。 まっ、大抵の人が私の成績は「才能だ」って思ってるらしいけど。 な〜んか、その話してるの聞いてムカついたけど反対に呆れて怒る気にもならなかったわ。 頭の中身が、馬鹿でお子様すぎて。 何で分からないの?あんな問題が才能だけでとれたら人生苦労しないって。 ほら、かの有名な偏屈王・・・じゃなかった。発明王は言ったじゃない。 「発明は、1%のひらめきと99%の汗だ」って。 私だって一緒よ。私のは「1%の才能と99%の努力」よ。 ったく、そんなことも分からないなんて馬鹿ばっかりね。 私の友達や悪友はみんな良い子ばっかりだけど♪ だって、みんな私のことを良く知り良く理解してくれてるから。 では、ちょっと愚痴を親友にでも聞いてもらいにいこうかな。 そう思い、図書室の席を立ち上がったのは夕陽も暮れ始め、夜に近づいた頃。 私、・ 四年生のクリスマス休暇。 GOLDEN EGG 「リリーっ。ちょっと聞いてよぉ〜!」 合言葉を言い、寮への扉を開けた。 私は少し甘えるような嘆くような言葉を発しながら、親友向けて走る。 瞳をやんわりと弧状にし、リリーは私を見て、口を開こうとした・・・が、 それは邪魔されて、開かれようとした口は閉じられてしまった。 「うっせーな。聞いてやるから静かにしろ」 偉そうにソファの背もたれに座り、意地の悪い微笑を浮かべた邪魔者は口を開く。 「貴方じゃなくてリリーに言ったの。馬鹿は黙ってなさい」 そう言い捨てたら、リリーの隣に座っていたジェームズがくすくす笑い始めた。 「シリウス、また馬鹿呼ばわりされてしまったね」 「あら、ジェームズ。貴方も人のこと言えないわよ。貴方とシリウス合わせて馬鹿コンビ なんだから」 「酷いな。いくら首席だからって次席の僕に馬鹿はないだろ、馬鹿は」 眼鏡を外して目付きの悪くなった瞳が少し怒る。 しかし怖くはない。 慣れてるし、こんなことで怖がってたら生きていけないって、この時代。 「頭のことじゃなくて、貴方達の問題行動を見て言っているのよ」 私は微笑を浮かべながら言葉を返した。 視線がぶつかり火花が散る。 同時に口を開き、口喧嘩が始まろうとした・・・・・・のを 「止めなよ二人とも。止めるこっちの身にもなってくれ」 微苦笑しながら、リーマスが私達を制した。 「そうよ。どうせ遊び半分の喧嘩なんでしょ?周りが迷惑を被る行為は慎まないと」 リリーに言われ、私達は肩を竦めて小さく「はい」と同時に頷いた。 「つか、話はどうしたんだよ、話は」 頭を冷やしなさい、とこの時期に不釣合いなアイスティーに浮かぶ氷が、暖炉の熱で溶けていく。 私はそれを手に持ち、すぐ傍にあったソファに腰を下ろした。 そのとき、ソファの背凭れに置いた両手に体重をかけて上から私を見下ろすシリウスは、不機嫌そうに 言葉を発した。 「そうよ。私に聞いて欲しいことがあったんじゃないの?」 私の隣に座り、リリーは私の顔を覗きこむ。 「へ?」とリーマスに貰ったチョコレートを口に頬張ったばかりの私は間抜けな疑問符をあげ、二人を見た。 しばし、チョコレートの甘さを嗜み、口内の熱と咀嚼でペースト状になったそれを嚥下した。 それと同時に、私がここに駆け込んできた理由を思い出す。 何故か腹立たしかった言葉。 知っていたのに、今日は何故か・・・それを腹立たしく思う自分にではなく、相手に対して腹を立てた。 何故だろう。 その疑問を私は言葉にした。 「・・・・私ってそんな勉強してないように見える?」 「はぁ?」 どういう意味だよ、というようにシリウスは疑問符をあげた。 「今日聞いちゃったのよ。スリザリン生が私の成績が良いのは家の娘なんだから当たり前だ、 とか先生にあらかじめ出るところ教えてもらってるんじゃない?とか言ってるの」 「その場で痛めつけてやりゃ良いだろ」 「あのねぇシリウス。そんな馬鹿らしいことするわけないでしょ。低レベルの相手を怪我 させた挙句、怒られるのは私なのよ。己に不利益なことは出来るだけ避ける主義なの」 「そうかよ。ったく、良く分からねぇ女だな。俺とかジェームズにはすぐ喧嘩売ってくるのによ」 「それは貴方達のことを対等と見なしているからよ」 貴方こそ良く分からないわ、と思ったけど、その言葉は飲み込んだ。 どこかシリウスは嬉しそうだった。 「で、続きをどうぞ」 ジェームズに言われ、私は頷き話を続ける。 「それで、いつもだったら苛立ちもすぐ納まるんだけど、今回はなんか変でね。いつもだったら 相手より自分に腹が立つんだけど・・・」 「何で自分に?」 「・・・気にしておけば良いことに腹を立てるってことは、イコールしてそのことを気にしている ってことだから」 私は一つ、大きなため息をつく。 己に不利益なことに自ら足を踏み入れることほど愚かな行為はない。 その〈不利益〉の基準を決めるのはもちろん私自身。 〈気にしておけば良いこと〉の基準を決めるのも、もちろん私自身。 後者の見極めは簡単だけど、前者の見極めはたまに難しい。 それさえ腹立たしく思うことさえある。 「つまり、いつもは気にせず、気にしたとしても腹が立つのは自分になのに、今回は気にするだけでなく 他人に腹が立ってしまったってことかしら?」 「そういうこと。ほんと、嫌になるわ。何だか私自身を認められていない気がして。 ほとんどの人が私じゃなくて私を通して私の家、のことを見ているの。酷いと思わない? これでも人一倍努力しているつもりなのに」 ハァ、とため息をつく私にリリーは微笑みかけてくれる。 そして優しく柔からな言葉を発した。 「大多数の人があなたの家のことしか見ていなくても、私はあなたのことを見ているわ。 あなたの努力も知っているし、あなたが家のことで悩んでいるのも知っている。私だけじゃなくて、 あなたの友達はみんなそうよ。分かってる?」 私は頷いた。 そのときはすっごく幸せな気分だったのに、次の言葉で落とされる。 「そ、そうだよ。は綺麗だし頭良いし、すっごく頑張ってるし。気にすることないよ」 自信なさ気にそいつは言葉を発し、弱弱しく微笑んだ。 確かに、嬉しいといえば嬉しいかもしれない。 でも、そんな感情より上をいくものがあるのだから、喜べるはずがない。 「ん。それはどうもありがとう、ピーター・ペティグリュー」 きっと、作り笑いだということはバレている。 そいつは分かってなさそうに笑顔を浮かべているけど、他は分かっている。 これ以上ここにいるのは危ないと思った。 傷つけてしまう。 そいつも、みんなも。 それは避けたい。 だから私は静かに立ち上がり 「話、聞いてくれてありがと。すっきりしたわ」 回れ右して歩き出した。 「どこ行くんだい?」 心配そうにリーマスに問われ、私は止まって身体を捻る。 「散歩」 「もうすぐ就寝の時間だよ」 「大丈夫よ。もし見つかって点引かれたとしても取り返せば良いんだから」 「じゃあね」と笑み、歩くのを再開したら、後ろからリリーが 「私も行く!」 と着いてきた。 「来て大丈夫なの?」 「と一緒ならもし怒られても大丈夫よ」 「そ」 一緒に微笑み、私達は寮を後にした。 「で、どうしたの、リリー?」 今、私達は適当に廊下を歩いている。 速度はゆっくり、ゆっくり。 先生に見つからないよう静かに。 行く宛なんて、あるはずがない。 「どうしたのって何が?」 「とぼけたって無駄よ。私に言いたいことがあるんでしょ?」 立ち止まったらリリーも立ち止まり、私達は向き合った。 リリーの顔から笑顔が消える。 私はまだ、笑顔を絶やしてはいない。 リリーは静かに、キュッと結ばれた唇を開いた。 「何故そんなにピーターを嫌うの?」 「そういう風に見える?」 「えぇ、とても。ピーターは気付いていないみたいだけど、私を含める四人にはバレバレよ。 ・・・・・・・・あなたが理不尽な理由で人を嫌う人ではないってことは分かっているわ。 何故ピーターを嫌うの?」 真剣な眼差しが、私の瞳を刺す。 表情とは違い、言葉はとても柔らかだ。 「私も買い被られたものね」 「本当のことを言ったまでよ。ねぇ、なんで?」 ずぃ、と一歩前に出て、私より背の低いリリーは私を少し見上げ問う。 私はこれに弱い。 実際、これをされて何度も何度も口を割ってきた。 それを私は自覚しているし、リリーもそれを知っているからこそ切り札として使ってくる。 「えっと、それは・・・・・・」 言うしかない。 「誰しも生理的に受け付けない人っているでしょ?それよ」 「・・・それだけじゃないでしょ?」 もう一歩前に出られ、私は半歩下がる。 「それは・・・」 言うつもりはなかった。 「それは・・・・・・」 でも、それは百八十度回転し 「恐いの」 〈言う〉に変わってしまう。 「あいつはいつか私の大切なものを奪っていくわ。だから恐いの」 「・・・・・・それは勘?それとも夢?」 一瞬、信じられない、というよな顔をして。 そして直ぐにもとに戻る。 しかし、心の中は驚きと動揺で一杯だろう。 「勘・・・かな」 自信なしに首を傾げ答えると、リリーは少しホッしたようだ。 「でも、家の勘は当たるからね」 そう。 私の家系の勘はとても強い。 それは魔力に比例し、私の曾お祖父様にあたる、家でも五本の指に入るほどの 魔力の持ち主だった彼の勘は、ほぼ百%だったという。 私達家の者達は、占い師ではない。 〈予言者〉。 夢も、正夢になることが多いという、困った能力。 しかしそれを操る術は、身につけてあるから大丈夫だ。 それでもたまに、正夢を見てしまうのは、私がそれを知ることを願っているから。 「でも、悪い勘は当たらないから大丈夫よ」 心配させたくなかったから、笑ってそう言った。 さっき言ったことを、冗談に変えるように。 「だからジェームズとかには言っちゃダメよ。心配させてしまうから」 「分かったわ。だったら少しでも良いからピーターと仲良くしてあげてね」 「心掛けます」 二人一緒に笑って、私達は手を繋いで歩き出す。 寮で待つ、仲間の顔を思い浮かべて。 きっと一生、その仲間の中にあいつの顔は入ってこない。 勘が言う。 これは絶対に当たっている。 リリーの手を強く握った。 「どうしたの?」 「ううん、何でもないわ。ずっと離れない。私達、いつまでも親友よね?」 「もちろんよ、」 勘付かれることを恐れ、私は最上級の言葉をだした。 離れない、ずっと。 いつまでも親友よ。 リリーの幸せそうな笑顔が、何故か私の心を少しだけ痛ませた。 ++++++++++ 連載終わってないのがいくつもあるのに(つか、ほとんど終わってない) 始めちゃいましたよ、また(汗) しかも、今回は親世代あり子世代ありです!! えとですね、親世代の謎が子世代で分かり、子世代の謎が親世代で分かるって感じです。 と、言いましても、子世代と親世代を一緒にUPしてっちゃうと、 親世代が先読み出来てしまう可能性大なので、親世代を更新できるだけしてから、 子世代も!という感じです。 親世代は想像(妄想)炸裂でいかせていただきます(爆) 個人的な欲求を晴らすものでもあります(苦笑) 微妙に逆ハー?