それから次第に、ちゃんと仲良くなっていった。 屋上でちゃんの歌を聴いたり、俺のトランペットを聴かせたり、 廊下で会えば話したり。 けどやっぱり、柚木とも仲良いみたいで。 音楽の聴かせあいはたぶんやってないと思うけど、たまに話しているのは見かける。 それに・・・・・・ 学内コンクールの参加者に、俺と柚木は選ばれて 柚木は伴奏者に立候補する子達を全て断り、自分からちゃんを希望した。 なんか、もやもやする・・・・・・・・・。 何だ、これ? 分からない。 小さなもやもやを抱えながら、放課後 トランペットを持って、屋上へと向かった。 ちゃんに会えれば良いな〜・・・とか思いながら。 そしたら     phrase.3 「あなた、柚木様のなんなのよ!」 物凄い声がして、俺はおそるおそるそ〜っと扉を少しだけ開いた。 視界に映ったのは、凄い形相をした数人の女の子に囲まれているちゃん。 震えて、今にも泣きそう。 「ちょっと仲が良いからって伴奏者にまでなって!」 「それ、は・・・梓馬さんが・・・・・・」 「その呼び方も気に食わないわ!」 酷いよ・・・・・・ 「とにかく、いくらの娘で少し仲が良いからって調子に乗らないで下さる?」 「それから、伴奏者もお止めになったら?声楽専攻の人がピアノ専攻の人より上手く弾けるなんて思えないわ」 「そうよそうよ」 こんなの酷すぎるよ! 思ったときにはもう、体が動いていて。 勢い良く扉を開いて、その子達を睨み付けた。 一斉に俺の方を向いたその子達の顔は、みるみる青ざめていく。 「こんな事しちゃ駄目だよ!こんなリンチみたいなこと。ちゃん怖がってるじゃないか! それに、伴奏はちゃんが申し出たんじゃなくて柚木がちゃんに頼んだんだよ!ねぇ、柚木」 まるでそこに柚木がいるかのように。 扉の方を向いて声をかけた。 するとその子達の顔はもっと青くなっていき 「ゆ、柚木様・・・・・・これはですね」 「えっと、つまり・・・・・・」 「「「すいませんでした!!!」」」 逃げるように去っていく女の子達。 「嘘だよ〜。柚木はいないよ」 言ってももう聞こえない。 まぁ、聞こえないから言ったんだけど。 ちゃんにだけ聞こえてれば良かったんだ。 柚木の名前を聞いたら、体をビクつかせたから。 俺は、その場に縮こまるちゃんに近付いた。 「大丈夫?」 そっと手を伸ばすと、その手を掴まれたのではなく 飛び込んできた。 俺の胸に。 ・・・・・・・・・・・・泣いている。 「怖かったぁ・・・・・・」 蚊の鳴くような声で呟いた声も抱きしめて。 壁に背をつけてゆっくりと腰を下ろしていく。 その場に、ちゃんを抱え込むように抱きしめて、落ち着くのを待った。 トクントクンと、ちゃんの心臓の音が伝わってくる。 初めは速かったのが、だんだんと落ち着いてきたみたいだ。 泣き声も小さくなっていき、もう大丈夫かな?と声をかけてみた。 「ちゃん・・・・・・大丈夫?」 「怖、かった・・・です。火原先輩・・・・・・・・・」 「たぶんもう当分あの子達は突っ掛かってこないと思うよ。・・・・・・・・・ねぇ、柚木に言った方が良いんじゃないの? 柚木があの子達に注意してくれれば、絶対にもうこんなこと してこないよ」 柚木の名前が出た時、小さくビクッとなったのが伝わってきた。 ちゃんは首を横にゆるゆる振るって 「駄目・・・・・・です」 「何で?」 まだ震える口から紡ぎ出される言葉は 強く硬い決心のようで 震えながらも揺るぎない言葉に聞こえて 「・・・梓馬さんに、迷惑をかけてはいけませんから」 胸がぎゅって痛くなった。 ねぇ、柚木は君の何なの? ねぇ、君は柚木の何なの? ここが学校であることも忘れて トランペットを吹きに来たとも忘れて 俺は俺の胸の中で小さくなって泣き震える女の子を ただ抱きしめる事しか出来なかった。    ++++++++++++ 気になるんだ、君のことが。 なんとなく・・・・・・ 柚木が関わると、リンチシーンが書きたくなる私(汗)
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