BACK/ NEXT囚われの悪魔なお姫様 「飛行訓練?」 昼食のときに、ハーマイオニーに心配そうに相談され、は興味なさそうに声を発した。 ハーマイオニーはその間の抜けた返答を気にせず話を続ける。 「そうなの。今週の木曜日よ。それもスリザリンと一緒。最悪だわ」 はやれやれ、と溜め息をつき、目をハーマイオニーから本へと移した。 「飛行訓練など、ただ箒に乗って飛ぶ。ただそれだけのことだ」 は本を常人ならぬスピードで読み進めながらハーマイオニーの話に耳を傾け、答える。 「ただそれだけのことって、。あなたはずっとこの魔法界で育ったのだから箒に一回は乗ったこと あるでしょうけど、私は初めてなのよ。不安になるのは仕方ないじゃない」 「マグル出身だからといって、君は選ばれた魔法使いの卵だ。つまり、魔法の才能があるから今ここに君はいるのだろう? 不安になってどうする。そんなことで不安になるということは、君が良い魔法使いになると信じている者を裏切るということ だ。自身を持て」 「・・・・・・」 その言葉に感動し、涙ぐむハーマイオニー。 だが 「なんとかなるさ。たぶん・・・・・・」 という自身のなさそうな言葉に 「!」 さっきまでの感動を忘れ、少し怒った口調での名前を叫んでいた。 すぐに、飛行訓練の日はやってきた。 不安がっていたハーマイオニーも、図書館で「クィディッチ今昔」を借り、 それから仕入れた飛行のコツを、朝食にウンザリするほど話していた。 飛行訓練の時間になり、校庭に行き、しばらくするとマダム・フーチが現れた。 「右手を箒の上に突き出して。そして、『上がれ!』と言う」 みんな一斉に「上がれ!」と叫ぶ。 は「馬鹿らしい」という目で、箒をじとりと見つめながら、小さな声で「上がれ」と言う。 そんな小さな声でも、箒は誰の箒よりも早く飛び上がって、の手へと収まった。 皆が箒を手にしたのを確認し、マダム・フーチは箒の端から滑り落ちないように箒にまたがる方法をやって見せた。 はその時、大きな欠伸をしたので、隣のハーマイオニーに小突かれた。 そして浮上をすることになったとき、マダム・フーチが合図となる笛を吹く前に、ネビルは誤って思い切って地面を 蹴ってしまった。 ネビルはまるでシャンペンのコルク栓が抜けたように、または風船の空気が抜けるときのように飛んでいき、 声にならない悲鳴を上げ、箒から真っ逆さまに落ち、草の上にうつぶせに墜落した。 箒はというと、さらに高く高く昇り続け、「禁じられた森」」の方へ漂い始め、やがて見えなくなってしまった。 マダム・フーチはすぐさまネビルのもとに駆け寄り、怪我はないか確かめ、 「手首が折れてるわ」と呟いた。 そしてネビルを立たせ、皆に箒をそのままにしておかなければ、ホグワーツからでていってもらう、 と強く言うと、ネビルを連れて医務室へと向っていった。 は「やっと羽が伸ばせる」と、大きく伸びをし、杖を出して呪文を唱えた。 すると、ここにある箒とは比べ物にならない程綺麗な箒がの手には握られていた。 皆はただただの行動を観察している。 その時ロンが 「。ちょっとその箒見せて」 目を輝かせながらに言ってきたので、少しは嫌そうな顔をしながらもロンに箒を渡した。 ロンはそれをまじまじと色々な方向から見 「これニンバス2000だ。うわぁ・・・良いな〜・・・君、なんでこんなもの持っているんだい? クィディッチをやるようにも見えないし」 驚いてそう声をあげた。 はロンから箒を取り上げて、それに跨る。 「性能の良いものが発売されるたびに送られてくるのだよ」 別に自慢するのでもなく、ただ素の表情でそう言うと、軽く地面を蹴って浮上し始める。 それを急いでハーマイオニーが掴んで止めた。 「何をする」 「フーチ先生がおっしゃってたでしょう?動いちゃいけないって。ばれでもしたらあなた退学よ」 その言葉に、は自嘲的に笑う。 「私が人を殺めないかぎり、私はどのようなことをしてもここから追い出されることはない。 私がここから出ることは不可能に近いことなんだ」 そう言うと、は高く高くあがり、どこかへ行ってしまった。 呆然として皆がが飛んでいった方向を見つめる中、ハーマイオニーだけが 「私はとめたわ。あんなこと言って。本当に退学になっても知らないんだから」 腕を組んで、怒りながらぶつぶつと呟いていた。 そのあと、色々とあり、ハリーがクィディッチの寮代表選手に決まった。 最年少シーカーだ。 ちなみに、三人に「あの後どこに行っていたのか」と聞かれたは 「湖の方へ行き、久しぶりの空中浮遊を楽しんでいたよ」と答えていた。 まだまだ聞きたいことがたくさんあった三人だが、その罪悪感のなさに、 自分達の肩にはいっていた力が抜け、聞く気もなくなってしまったのだった。 ++++++++ 少しずつだけど〈自分のことを知っている者〉以外の人間とも 打ち解けてきだしたな・・・という話。 前のお姫様じゃあ、ロンに箒なんて渡しません。