昔から、あまり〈幸せ〉とか〈不幸〉とか考えたことなかった。 口にもしたことなかったし、思ったこともなかった。 だからふと、考えてみた。 たぶん私は〈幸せ〉なほうだと思う。 現在(いま)過去(むかし)も。    茨迷路(いばらみち) 大切な友達が傍にいて、そして大切な恋人(ひと)がいるって〈幸せ〉ってことでしょ? 自分に問って返ってくるのはもちろん〈YES〉だ。 だって、両方とも同じ人間なんだから。 思考回路も知識も、何もかもが全く一緒。 だから、間違えかもしれないことを自分に問うのは駄目だと思った。 「またやっているの?ここ最近やっと静かになったと思ったのに」 廊下を歩いていたら、久しぶりな光景を見たので、親友を通り越して信友であり心友でもあるリリーの隣に立って呆れ気味に息を吐く。 「あら、。どこへ行っていたの?」 「ちょっと図書館にね」 「大好きな魔法薬学の勉強かしら?それだったら彼を連れて行けば良かったのに」 目の前の光景に目をやり、リリーは悪戯っぽく笑う。 「一人で出来るから大丈夫よ」 私の返事に「恋人同士なのに」とリリーは少し不服そうに小さく唇を前に出す。 突然、一陣の風が私達の側を通り過ぎた。 リリーの煌めく髪と、私の甘い栗色の髪が靡き乱れる。 乱れた髪を直しながら、リリーはまた疑問符をあげた。 「止めなくていいの?」 主語はないが、何が言いたいのかは分かっている。 つまり、目の前の光景についてのことを言っているのだ。 「うん。だって、めんどくさいし。止めたところで、嫌な想いさせちゃうと思うしね。 それにもうすぐ終わると思うよ」 私の言葉通り、それは直ぐに終わった。 どうやら私達が見ていることに気が付いたらしい。 すぐにリリーの恋人のジェームズが駆け寄ってきて、あーだこーだとリリーに弁解し始めた。 目の前で行われていたことは、前は日常茶飯事だったこと。 グリフィンドールのジェームズとシリウスがスリザリンのセブルスを苛めることだ。 まぁ、その後、セブルスなりに仕返しをするのがいつものことだったんだけどね。 この頃なかったのに、今日はなぜあのようなことになっていたのだろう。 ちなみに、シリウスとセブルスの一対一。ちなみに互角。 疑問に思ったので、ちょうど隣に来たシリウスに問うてみた。 「なんで一対一で、しかもけっこう本気で喧嘩してたの?」 私の問いにシリウスはちょっと頬を赤らめ「あー、うぅ・・・」とごもってしまい、何も言ってはくれなかった。 リーマスの方を見ると「色々あってね」と微笑まれただけで、説明はなし。 ないならないでまっ、いっかと思い、私はまた廊下を歩き出す。 「ちょっと用があるから。また寮でね」 手を振って。 向かうのは、秘密の場所。 たぶん誰も知らない。 知って欲しくない。 二人だけの場所。 ローブのポケットから去年のクリスマスに両親からもらったアンティーク時計を出し、 時間を確かめる。 「ちょっと早かったかな」 着いて、周りを見渡したが、そこに人影らしきものは見つからなかった。 待つのは嫌いではない。 時間には厳しい人だから、もうすぐ来ることは分かってる。 もう一度時計を見た。 あと五分。 長くて短いその時間は、なんだかちょっとくすぐったくて。 時計を睨めっこしてみた。 それから長針が三十秒の時間(とき)を刻んだとき 「今日は早いな」 彼はやって来た。 「早くあなたに会いたくて」 にこりと微笑んだら、彼の頬が少し染まった気がして、小さく笑った。 「どうした」 「別に。シリウスと互角の喧嘩を見せていただいたわ。この頃はあんなことなかったのに、今日は何故?」 柔らかく微笑みながら疑問符をあげる。 彼は黙って、口を開こうとも動かそうともしない。 私は自分より20cm程背の高い彼を下から見つめ、名を呼ぶ。 「セブルス」 スリザリンの彼。 グリフィンドールの私。 この寮同士がとても仲が悪いことはお互い分かっている。 でも私達は違う。 「声が出ないの?」 「いや、出る」 セブルスはやっと口を開いた。 「じゃあ、なんで?」 「        と言われて無視をしたら後ろから殴られたのだ」 初めの部分が小さくて聞き取れず、私は「何って聞かれたの?」と問う。 セブルスは言い難そうにしながら、その重い口を開いた。 「お前に近づくな、と」 「私に?何で?それになんで今頃?もう私達六年生なのにね」 「私に聞くな。何故そのようなことを奴に言われねばならないのだ」 ぶつぶつ怒るセブルスに、私は抱きついた。 「好きよ、セブルス。これからもずっと」 一瞬驚き戸惑ったセブルスだったけど、すぐに私を抱きしめてくれた。 お互いの体温が混ざり合って中和される。 それはとても心地よく、夢の中にいるようだ。 「私もだ」 仲の悪い寮だけど、あなただけは誰よりも大好きよ。 幸せなの。 今、すっごく。 幸せだよ。 幸せだった。  ++++++++ 初☆セブルス夢です。 3話ありますが、3つ全部2時間弱で書き上げました。 2話は裏要素はいるので、嫌な人は見ないほうがよろしいかもです。
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