こいつらは私の敵。
そう、己の中にいるもう一人の自分
つまり〈第六感〉が告げている。


 
   19 味方との戦い



奴らが私の方へと走り寄ってくる。
パートナーデジモンと思われるのも一緒にだ。
きっと私を倒しに来たに違いない。
私は〈主人〉である〈デジモンカイザー〉を見た。
彼は口元だけ笑み、頷く。
合図だ。
「戦え」と。

奴らが私の直ぐ真下に来たと同時に、私の自由を奪っていた鉄の鎖が解け、
私は奴らの前に落ちた。
膝を曲げて手をつき、衝撃を和らげる。
「朔耶ちゃん…」
奴らのうちの一人が私の名前を呼んだ。
頭がズキリと痛んだ。
私はその痛みを忘れたいがために、足を奴ら目掛けて振り回した。
いとも簡単に避けられてしまう。
私は己のパートナーデジモンを探した。
「クルモンはどこだ」
クルモンは奴らのうちの一人に抱かれていて、目が合うと逸らされた。
「どうしたクルモン。私に羽根をくれ!」
「い、嫌だクリュ。朔耶、朔耶じゃないクル。ヒカリ達を傷つけるのは止めるクル!」
「私を裏切るのか?!こいつらは敵だ。私を倒しに来たんだぞ。お前はパートナーが
やられても良いと言うのか!」
私の言葉に、クルモンはビクリと体を震わせ、そいつの腕の中で丸くなってしまった。
しょうがない。
私一人でやるしかないのか…。
一対五とは割りに合わないな。
カイザーを危ない目に合わせてはいけない。
何か…何か武器を。
カイザーに目をやった…ら、そこには彼はいなかった。
彼はここから少し離れた場所にいた。
どうやら避難したらしい。
これなら存分にやれる…と言っても、武器がなければ。
兎に角、戦わなければ。

私は意を決し、奴らに向かっていく。
「わっ、と」
「どうしたのよ朔耶ちゃん!」
「正気に戻ってください!」
殴っても蹴っても全ては避けられる。
誰か一人が叫んだ。
「首を狙って!」
皆、私の首元を見る。
ここにあるのは黒い首輪。
私と彼を繋ぐもの。
壊させるものか!
向かってくる奴らを私は避け、殴る。
肩にだが、一番小さい奴に当たった。
「もしかしてあの首輪・・・」
「そうよ。あれ、イービルリングに間違いないわ!」
「つまり、操られてるってことか」
「だったら早く壊さないと!伊織、大丈夫?」
「大丈夫ですよ。軽く当たっただけですから全然痛くありません」
奴らは言葉を交わし、また私に向かってきた。
「朔耶ちゃん、止まって!」
ズキッ
頭が痛む。
「ったく、罠にかかるなよ、朔耶ちゃん!」
「朔耶ちゃん、もう少しだから待ってて!」
名前を呼ばれるたびに、激痛が頭に走る。
やめろ。
やめるんだ。
「止めてくれ――――!!」
叫ぶと同時に、奴らのうちの一人が
「みんなちょっと待って!」
そう言い、彼らは動きを止める。
そして、女が一人、私の方へと歩いてきた。
「な、なんだ・・・」
「大丈夫だから」
女は私を抱きしめる。
私はなぜか、抵抗が出来ずにいた。
「もうあなたは一人じゃないよ。お兄さんだって、朔耶ちゃんのこと見守ってくれてるから。
素直になろ。そして、これからも私達と一緒に頑張ろ」
「何を言っているんだ、お前は」
激痛の波が小刻みになっていく。
女はずっと私を抱きしめ、言葉を発し続けた。

やめろ。
その口を閉じろ。
私から離れろ。
そう思うが、なぜか行動に起こせない。
カイザー…………
さっきまで彼がいた方を見た。
しかし、いない。

見捨てられたってやつか……

繋ぐものはもういらない………?

そう思って

「大好きよ、朔耶ちゃん」

そう言われたときだった。

足先から脳にかけて、全身に熱いものが迸る。
それは首に集まり、彼との繋がりを熱くした。

「やめっ、熱っ、いやぁ〜〜〜〜!!」
さっきまで頭に走っていた激痛が、三割り増しくらいで首元に集まった感じがした。
思わず私は悲鳴とも取れる叫び声をあげる。
そして、意識を失ってしまった。
どこかで「役立たずが」という彼の声がした。













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