02 正体を暴け!
次の日。
朔耶が本当に選ばれ子供なのか確かめよう作戦決行の時間は刻々と迫り、もう放課後。
ちょうどさよならの挨拶をした所だ。
大輔とタケルとヒカリは、ばれない程度に朔耶の行動を監視。
朔耶が教室から出たと同じくらいに
「朔耶ちゃん、またね」
「ばいばい」
「じゃあな〜」
と、さも「自分達は帰ります!」と主張するように、朔耶にあいさつをしてから階段を降りて行った。
もちろん、下に下りたら違う階段から3階へと上ってくる予定だ。
それを見た朔耶は少し立ち止まってから
「・・・確かパソコン室は3階にあると言っていたよな」
ボソッと呟き、3階へと足を向けた。
パソコン室の前。
鍵が開いているかを確かめ(この時鍵は開いていた/先回りした京が開けておいた)静かにドアを開ける。
ドアを閉めたと同時に、持っていた鞄の中から生き物が一匹飛び出した。
「クル〜。やっと外に出られたクル。苦しかったでクリュ〜・・・」
紫と白の生き物がぴょんぴょんとその辺を跳び回っているのを見て
「こら、静かにしろ」
口調はきついが優しく微笑みながら叱った。
「はいだクル〜」
語尾に「クル」を付け、紫と白の謎のデジモンは朔耶の腕の中へと入り込んだ。
その時、黒い影が5つ程動き、2つの影が飛び出した。
それは
「「朔耶〜〜!!」」
タケルのパートナーのパタモンとヒカリのパートナーのテイルモンだった。
「パタモンにテイルモンではないか。久しぶりだな。何故ここにいるんだ?」
「それは後で話す」
「みんな〜、出てきても大丈夫だよ。ほら早く〜」
パタモンがあと3つの影を呼び、その3つの影はゆっくりと姿を現した。
「おぉ!まだここにもいたか。白鳥 朔耶だ。宜しく頼むよ」
嬉しそうに朔耶はデジモン達と目線を合わせるためにしゃがみ込んだ。
「え〜っと・・・・・・」
「俺の名前はチビモン。よろしくな」
「ポロモンといいます。宜しくお願いします、朔耶さん」
「ウパモンだぎゃー。よろしくだぎゃ〜」
皆で自己紹介。
「・・・あの、こちらのデジモンは・・・」
「クルモンだクル。よろしくですクリュ〜」
とクルモンの自己紹介が終わり、朔耶が口を開こうとした瞬間
ドアが開いた。
そこに立っていたのは
「大輔ぇ!」
「京さん!」
「伊織〜!」
「タケルッ!」
「ヒカリ!」
「あっ・・・.・・・」
「クリュ〜?」
選ばれし子供達だった。
「・・・・・・やっぱり、朔耶ちゃんは選ばれし子供の一人だったのね」
その光景を見てヒカリが問うように言葉を発す。
「・・・・・・」
朔耶は口を噤む。
「なんで隠してたんだよ。水くさいじゃないか」
「そうよ。私達、同じ選ばれし子供なんだから」
誰の言葉にも反応を示さない。
ただただ床を見つめているだけ。
「あっ、そうだ!」
突然、ヒカリが何かを思い出したらしく、ポケットの中に手をいれ袋を取り出し
「これ、朔耶ちゃんのでしょ?」
袋の中から一昨日拾ったペンダントを差し出した。
「これは・・・・・・何故、お前が持っている!」
奪うようにそれを手にし、朔耶はヒカリを睨んだ。
「一昨日DWで拾ったの。・・・あの時の女の子は朔耶ちゃんなんでしょ?
デジモンと仲良くしてた子は、朔耶ちゃんなんでしょ?」
ヒカリの問いに
「一昨日・・・・・・あぁ、そうだ。あれは私だ」
やっと口を開いた。
こんな状況では隠せないと分かったからだ。
「じゃあ、やっぱり選ばれし子供なんだね」
ゆっくりと頷く。
「よっしゃあ!6人目の仲間ゲットだぜ!」
大輔の一言に
「ちょっと待った。私は選ばれし子供だとは言ったが、お前達の仲間になるとは一言も言っておらん」
冷たく言葉を発す。
「えっ・・・だって」
京が何かを言おうとしたがそれはすぐに朔耶の言葉に遮られてしまった。
「私は仲間など要らない。私の仲間はクルモンだけだ。仲間という関係など、すぐに壊れてしまうものだよ。
人間ほど信用のない生き物はこの世にいない」
重く冷たい言葉。
そう言い捨て、鞄を取り
「ペンダントを見つけてくれたことだけは礼を言うよ」
と立ち去ろうとした所を
「一つだけ聞かせてくれないかな」
タケルが引き止めた。
「・・・なんだ」
「・・・ペンダントの中に入っていた写真。悪いけど見ちゃったんだ。それで、その人は誰なの?」
タケルの言葉に朔耶は一瞬顔を強張らせたが
「・・・兄だ」
小さな聞き取りにくい声でそれだけ言い、去って行った。
「なんなのあの子―!性格悪っ!」
「まぁまぁ京さん。落ち着いて下さい」
6年生の京をひっしで宥めようとしている2年生の伊織。
「なんだか良く分からないけど、ホントはすっごく良い子なんだよ」
「そうそう。よく、私達デジモンにお菓子などを持ってきてくれたものだ」
少しでも、皆の誤解を解こうと必死になって説明するパタモンとテイルモン。
「テイルモンとパタモンは朔耶ちゃんと知り合いなの?」
「うん。DWにタケル達より前から来てたよ」
「ふ〜ん。デジモンだけには態度が良いのね」
京はまだ怒っているようだ。
「でも、俺達もほんのちょっと話しただけだけど、そんな嫌な感じはしなかったよな」
「しなかっただぎゃー」
「はい。ちょっとは性格の良し悪しを勘で見分けることが出来ますが、朔耶さんは全くと言って良いほど嫌な感じなどしませんでした」
「何よ〜、皆してあの子の肩をもつきー!!」
「京〜、ちったー静かに出来ねぇのかよ」
怒りっぱなしの京に呆れた感じで言う大輔。
「・・・・・・人間ほど信用のない生き物はいない、か」
ヒカリが呟く。
「きっと何かあったのよ。辛い、ものすごく辛い何かが・・・。その何かは分からないけど、
人を信じられなくなるほどのことだったのよ・・・・・・」
「そうだね。それに、嫌われたわけではないらしいし、望みはまだあるよ」
「そうだな。出来れば同じ選ばれし子供同士。一緒に行動したいよな」
「ですよね」
「そうね・・・・・・」
そう言った後、皆で京の方を見る。
「・・・・・分かったわよ、分かりました!私だって、ものすごく期待してたのを裏切られたから、怒ってただけだもん。
仲間にはなって欲しいよ。すっごくね」
「京もOKだし。こっちは仲間に入れられるんだけど・・・問題はどうやって仲間に入れるかだよな」
「そうね。どうすれば、仲間になってくれるかしら」
「お兄さんに会ってみれば分かるんじゃない?」
「えっ。どういう事ですか?」
「だって、ペンダントに入れて持ち歩くほど、お兄さんが大事ってことでしょ。そのお兄さんに会って、
朔耶ちゃんと打ち解ける方法を教えてもらおうよ」
「それは名案だね」
「・・・でも、朔耶ちゃんの家知ってる人いる?」
その問いに答えられる人は誰一人としていなかった。
「でも、先生とかに聞けば、住所を教えてもらえると思いますよ」
「そうだな。じゃあ、次の日曜日にでも行ってみるか」
「悩んでいるより行動しろですよね」
「んじゃ、決定な」
「まぁ、後はお兄さんが家にいるかどうかね」
「そこは、何とかなるでしょ」
「わーい。朔耶の家だー!」
「楽しみだな」
あんなに冷たい言葉を吐く少女を
彼らは温めることが出来るのだろうか。
それは彼ら次第。
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