第一セレクションが無事に終わり
今日から待ちに待った連休。
セレクション参加者は3泊4日の合宿へ。
「予備の着替えは持ったか?」
「うん、大丈夫」
「Tシャツは多めに持っていったほうが良いよ」
「分かってるって」
「つか、やっぱり行くな!」
「たつ兄うるさい。参加者は全員参加なの!たつ兄は何時も何時も心配しすぎ!」
「だって男がいるんだぜ!お前みたいな可愛い奴、狙われまくりじゃねーか!襲われてからじゃ遅ぇーんだぞ!!」
「みんな良い人達だもん」
「油断するな!男を信用するな!!」
「じゃあ男のたつ兄も信用しなくて良いんだね?」
「なっ、俺は良いんだよ。男である前にお前のお兄ちゃんだからな」
「歯ブラシ持ったでしょう、パジャマにプレーヤーにCDに楽譜・・・・・・うん、大丈夫!」
はボストンバッグのチャックを閉め、トランペットの入ったケースを持ち、立ち上がった。
巽己以外の二人の兄も立ち上がり、三男の玲人がボストンバッグを持った。
「じゃあ行こうか」
「うん」
「えっ、俺無視かよ!?」
「巽己、そんな事ばっか言ってると置いてくぞ。あと、に嫌われるからな」
「ちょ、それ勘弁!」
遅れて巽己も急いで立ち上がり、慌てて三人を追って。
慌しい朝。
四人を乗せた車は、駅へと出発したのだった。
第一楽章
「あーっと、これで柚木と日野が来ただろう?後は、だけか。あいつ、来るの一番早そうなのにな〜」
頭を掻き、ぶつくさ言いながら金澤は他のメンバーをもう一度確認した。
電車はたった今到着したところで、発車まであと五分ちょっと。
「あっ、金やん来たよ!って、んん!?」
皆の目に映ったのは・・・・・・は良い。
問題は、その隣りにいる男だ。
チャラチャラして、見るからに頭の悪そ〜な男が馴れ馴れしくに
「ねぇ、今からドコ行くの?つーか君、可愛いね」
などと話しかけていた。
はツンと横を向いてずっと無視している。
今時こんなことする奴がいるんだ・・・・・・という呆れ半分、どうにかしないと!と
考え悩むの半分。
「うわぁ〜。私、ナンパって見るの初めて」
「つか、今時あんな馬鹿らしいことする奴っているんだな」
「ちょっとのん気なこと言ってる場合じゃないって!えっと、こういうときってどうすりゃ良いんだ〜!?」
その時
何を言っても反応を示さず、ずっと無視をしているに痺れを切らした男が
右手での左肩を掴んだ。
「おい。無視してねぇで何とか言えよ」
口調、態度、表情。
どれをとってもキレ気味な様子。
はその手を払うとその男を睨み、そして何か言いたそうな男を無視してまた歩き始めた。さっきよりも足早に。
男の怒りに拍車を掛けたのは言うまでもない。
「こっの!」
男は怒気を発しながら、野獣の如く勢い良く
「ちょっとヤバいよ金やん!」
「あ〜・・・めんどくせぇーな」
に追いつきその腕を掴もうと
「そんなこと言ってる場合じゃない、えッ・・・・・・!」
伸ばした手を・・・・・・・・・
それは、見ていたものには刹那的な速さに思えるほどの出来事だった。
は瞬に男の手を掴むと
男は半円を描くように宙を舞うと、静かに地面へと落とされた。
スカートがふんわりと踊った。
男に痛みはほとんどなく、あるのは恐怖に近いくらいの驚きで。
腰を抜かしたようにその場にへなへなと座り込んだ。
「一本、背負・・・・・・」
「えっ、ちょっと、ちゃん・・・・・・だよね?」
「凄いですね」
震える手をゆっくりと上にあげ自分を指す男をは見下ろす。
何かを言いたいのに震える唇から言葉を発せないらしく、男はただ震える声を発していた。
「今度こんなことをしたら、警察呼びますから」
「なっ、なんでナンパくらいで!」
「・・・・・・今、ちょっと警察内で問題になっている事件がありますので」
「は?何、お前警察気取りかよ!」
背を向けて足を進めようとしただったが、その足を止め振り返ると
男に向けて笑顔を浮かべて。
「家の関係で、警察の方々にはたくさん知り合いがいるんです。何なら今すぐ呼んで差し上げましょうか?
そうですね・・・・・・黒帯で全国優勝も果たしている方とか」
「くっ・・・・・・!」
男は強く唇を噛み締めると、立ち上がって背を向け駆けていった。
それは逃げ。
とてつもなく格好悪いものだった。
ふぅ、と息を吐き出して回れ右をして、皆の方へ足早に。
「すいません、遅くなって!・・・・・・えっと、皆さんどうしたんですか?」
ぴょこりと頭を下げて、皆を見ると唖然としている。
首を傾げつつ問うと、一人その状態にはならなかった金澤がめんどうくさそうに
「お前さんの一本背負を見てな、驚いちまったみたいだな。まぁ、俺も多少驚いたが家が家だしな。
こいつらはお前さんの家のこと知らないみたいだ」
「え、家って?」
皆の中で割かし衝撃を受けていない方だった香穂子の問いに
「電車乗ったら話します。ほら、もうすぐ出発しちゃいますよ」
は微苦笑した。
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合宿編始まりです☆
主人公のことが色々と分かっていきます。
主人公のお兄ちゃんは3人。
名前はこちらで決めてしまいました。
長男 比呂(ひろ)
次男 巽己(たつき)
三男 玲人(れいと)
色々と設定がありますので・・・・・・やはり設定を作るべきでしょうか?