の両隣を陣取ったのは香穂子と冬海で。 前に座るのは火原と土浦。 そして通路挟んで隣の座席に、達が座っている側に金澤と月森、反対側に 柚木と志水。 と、こういったような席順に座って。 皆の視線の先は、やはりだった。     第二楽章 「え〜っと、何から話せば良いんでしょうね」 通路挟んで隣りの席の窓側に座っている金澤に助けを求める。 「中学んときの功績からで良いんじゃないか」 「えー、あれですか・・・?」 「何だ。話すの嫌なんか?」 「嫌っていうか何ていうか・・・何だか自慢してるみたいで・・・・・・」 「良いじゃないか。胸を張れ、若人・・・・・・分かったよ。俺が言えば良いんだろ?」 「はい」 視線を送られ心苦しくなり、頭を掻きながら面倒くさそうに金澤は口を開いて。 は満面の笑みを浮かべた。 皆の視線は金澤へ。 「中学んとき、こいつは柔道と剣道と・・・・・・あと」 「空手です」 「そうだそうだ。その三種目で全国制覇を果たしているんだ」 「「えぇ!!」」 香穂子と火原がハモり、他は小さく「えっ!」と驚きの声を上げたり息を呑んだり。 「あの、でかい道場分かるか?児童公園の側にある」 「あぁ、あのめちゃくちゃでかい・・・・・・」 「の家はそこだ」 「えっ、あそこが!?」 土浦の視線が向けられ、火原の驚きの声が上がり、は「はい」と小さく頷いた。 「知ってる!確かオリンピック選手とか、世界レベルの人も輩出しているんだよね。 前回のやつ、俺テレビで見てたよ。何だっけ、あの二十代前半の金メダリスト」 「あっ、それは一番上のお兄ちゃんです」 「お兄っ!?」 「はい」 皆が感心している中、自分から話し始めるの様子を見てもう大丈夫だろうと金澤は判断し 「んじゃ後は話せるだろ」 「ありがとうございます」 ここでに行きかけていた会話権が金澤からにしっかりとタッチされた。 視線は再びへと戻る。 「えっとですね、私は元々大会というものには出るつもりはなかったんです。 私の使命はの女性だけに受け継がれている武術を習得することでしたから」 「女性だけの武術?」 「はい。説明すると家の歴史から説明しないといけないので省きますが、 簡単に言うと力中心の男性の武術とは違い、『舞うように美しく』を基本とした武術です」 「ふ〜ん」と、問うた香穂子は分かったような素振りをしたが、本当に簡単な説明だったのでいまいちすっきりしない。 なので後でその家の歴史も説明してもらおう、と思いながら再度話に耳を傾けた。 「そして十五の時に習得し終え、ふと思ったんです。これはずっと本気で続けていきたいものなのかな?って。 違うと思った私は父と兄に話しました。そしたらその三つで全国優勝が出来たら認めてやると言われたので、 しょうがなく大会に出て優勝を勝ち取ったんです」 「しょうがなく出て全国優勝ってどんだけだよ・・・・・・」 ポツリと呟いた土浦に、微苦笑を向けて。 「えっと、ですから、中学生までは朝練して、学校帰ってきてから練習して、ご飯食べて休んだら練習してって感じだったんですけど、 今は朝は少し体ならしをするくらいで、後は夕ご飯を食べて少し休んだら食後の運動程度にやっているだけなんです。 あっ、後はたまにちっちゃい子のお稽古をしたりしてます。・・・・・・えと、後話す事は・・・・・・何が良いでしょうか?」 とにかくの歴史は深く長く、遡ると武士が世を治めだした頃の時代までいかなければならない。 結局、どこまで話して良いか分からなかったので、話しをやめ、話して欲しい事を言って貰うことにした。 聞きたいことはたくさんあるにはある。 だが、聞いて良いことと聞いてはいけないことの境界線が分からず、皆は考え込んでしまう。 鼻から質問しようとしてない者もいるが、話には興味を持っているようだ。 そんな、まだ出来たばかりの沈黙を 小さな呟きで彼は切った。 「・・・・・・やっぱりそうだ」 「ん?何が?」 視線を受けた柚木は、何時もの微笑を浮かべて、視線はへ。 聞いて良いことかは分からないけれど。もしかしたら聞かない方が良いことなのかもしれないけれど。 皆も、そしてその言葉の向かい先であるも言葉を待っている。 だから、その口を開いた。 直ぐ先の未来 がどんな反応を起こすかなんて 想像しなかったし、出来もしなかった。 「っていう苗字を聞いてね、ずっと気になっていたんだ。知り合いの娘さんかもしれないってね。 でも別人だったら嫌だから聞くのを止めていたのだけど、家があの家だというならそうだ」 ただ過去を思い出していた。 それを言葉にしただけだった。 「幼い頃、さんのお母さんにピアノを習っていたんだよ」 柚木の最後の言葉に の瞳が大きく見開かれた。 切なげに、悲しげに。 その言葉を、聞きたくないと言うかのように。   ++++++++++++++++++ 一番書かなければいけない、このお話の最も重要なところなのに スランプ気味です(汗) 主人公の家は道場です。 タイプでいうと、桜蘭のハニー家みたいな感じでしょうか?
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