ここ星奏学院では数年毎に音楽コンクールが開催される このコンクールに参加した生徒はその後、世界で活躍することも多く 音楽科の生徒にとって参加は憧れでもある。 そんなコンクールに……   第八楽章 「(え〜っと、大会議室大会議室………ここだ)」 なぜ、普通科の私が参加しているというと……話すとちょっと長いから後でね。 大会議室の扉をそーっと開くと、香穂子先輩の姿が見えた。 周りに音楽科の人が4人いる。 もうお友達が出来たのかな? と近付いていくと、どうやらそんな良い関係ではないらしい。 香穂子先輩と参加者らしい音楽科の子が、先輩らしき音楽科の3人に囲まれ嫌味を言われていた。 〔地味〕とか〔野暮ったい〕とか〔音楽科の恥〕とか……酷い。 見た目なんて関係ない。それに音楽科の恥なんて……その子はちゃんと実力で選ばれたのにそんなこと言うなんて ……僻みにもほどがある! 私は意を決してその中へと入っていった。 怒りで顔が暑い。 私は何だって言われて良いから。 「みっともないのはそっちでしょ!」 「なんですってえ〜「香穂子先輩」 「ちゃん!」 入るタイミングが悪かったかもしれない。 でも気にしない。 初めは自然に自然に。 入って直ぐに言いでもしたら、それが本当のことでもただの生意気な子としか見てもらえない。 「良かった。ちょっと心配してたんですよ。ちゃんと来てくれるかな?って」 「えっ?」 「だって、昨日の香穂子先輩、まだ迷ってたから。だから嬉し「ちょっとあなた!」 今の気持ちを香穂子先輩に伝え終わらないうちに、会話は中断されてしまった。 「何ですか?」 戦闘開始。 まだ状況が分かっていないふりをする。 3人の視線は私へと向けられていた。 「勝手に私達の話に割り込んで、私達を無視するとは良い度胸ですわね」 「無視なんかしてませんよ。ただ、早く香穂子先輩と話したかったんです」 余裕をもって、笑みを浮かべる。 ここで緊張や少しの恐怖を見せてしまったら、相手にそこを突かれてしまう。 「……あなたもコンクールの参加者ね。たいした実力もないのに選ばれるなんて……  早く辞退なさったほうが宜しいのではなくて?」 「評価は演奏を聴いてからにしたほうが宜しいですよ。でないと、コンクールに選ばれなかったことが悔しいから  参加者に八つ当たりしている人にしか見えませんから」 「なっ………」 図星を言われ、顔が怒りと恥ずかしさで赤くなっている。 私は笑顔を絶やさず、言葉を続けた。 こんな言葉じゃ足りない。 2人が言われた言葉に、足らない。 「………あぁ、つまり、先輩達はとても演奏がお上手なんですね。でも、何らかの理由で  参加者に選ばれなかった。こう考えれば、聴かずに評価出来ますものね。自分達より上手な人なんてこの学校にはいない!とか?  凄いですね〜………聴いてみたいものです、先輩達の演奏。あれほどの嫌味を言えるのですもの……さぞかしお上手なんでしょうね」 「あ、あなた……」 挑発的な微笑を浮かべ、少し喧嘩を売ってみる。 言い返せない先輩達は顔を赤くしてイライラしている様子。 すると、真ん中にいた先輩がフッと勝ち誇ったように笑んだ。 「そうよ。普通科のあなたより何十倍も上手いに決まっているでしょう。そこまで言うなら評価してさしあげるわ。演奏してみなさい」 「したいのは山々ですが、今楽器持ってないんですよね。家です」 「なんですって!……だったらあなただけでも良いわ。弾いて御覧なさい」 「えっ、私!ちょ………」 矛先が香穂子先輩に向かってしまった。 慌てて私に気をひかせようと言葉を考えたら 「なあんだ・・・弾けませんの。でしたら今さっきの言葉を取り消して謝罪して頂けるかしら?」 どこまで根が悪いのだろう、この人は。 嫌味にもほどがある。 まるで昔の漫画にでてくるお嬢様のようだ(実際お嬢様なのだろうけど)。 「わ・・・わかったわよ、弾くわよ」 香穂子先輩は意を決したように、OKサインをだした。 ヴァイオリンを取り出して、少し見つめる。 弓を持って、構えて・・・・・・ ギィ ギギー ギギギギィ お世辞でも決して上手とはいえない、どちらかというと雑音の部類にはいるだろう音を 奏でた。 きっといい加減な気持ちで弾いてしまったのだろう。 場が場で、しかも香穂子先輩はまだコンクールに自分が出ることを納得しきっていないから。 「ちょっと、なによその演奏!ふざけてるの!?」 先輩達は怒りを露わにし、音楽科の子はオロオロと香穂子先輩と音楽科の先輩達を交互に見ている。 香穂子先輩は顔を真っ赤にし、視線を逸らした。 その視線の先には・・・・・・あの、先輩がいた。 名前は知らないが、綺麗な音色をもった、彼。 「私達の前じゃまともに弾く気すらないってことですの?冗談じゃありませんわ。あなたみたいな人が柚木様と一緒に参加するなんて恥を知りなさい!」 「そうよ」 柚木様?……それって柚木先輩のこと、なのかな? 香穂子先輩の演奏で、先輩達のイライラはヒートアップし、ネチネチネチネチと嫌味を連ねる。 ショックを受けてい香穂子先輩の後ろに 「はい、そこまで」 「柚木様!!」 柚木先輩が登場した。 優しく香穂子先輩の両肩を叩き、先輩達に優しい言葉を発する。 「普通科からの参加は僕達より色々と不自由なこともあるだろうから助けてあげなくちゃ」 「もっ・・・申し訳ありません」 柚木先輩がでてきたことで、先輩達の態度が急変した。 怒りではなく、恥ずかしさと緊張で顔を赤らめている。 そして嵐のように、去っていった。 「おっかね〜〜、柚木親衛隊。おれ苦手だよ」 「親衛隊!?」 「そんな大袈裟なものじゃないよ」 「別名柚木教」 「!!教祖様!?」 「言わないよ」 何時の間にかきていた和樹先輩はまるで神に祈るように手を組んでいる。 本気で恐いようだ。 そして、金本先生の周りにコンクールの参加者達が集まり、初対面。 軽い自己紹介を始める。 ・・・・あの先輩の名前、やっと分かった。 月森蓮先輩。 あの綺麗な音をコンクールで聴けると思うと、わくわくした。 香穂子先輩の後、私の自己紹介は一番最後だった。 「1年3組のです。専攻は・・・えっと、トランペットです。宜しくお願いします」 その後、簡単な、本当に簡単で短いコンクールの説明をされて、解散となった。 皆、散り散りになっていく中、香穂子先輩が私の肩を叩いた。 「ちゃん、ごめんね、巻き込んじゃって」 「いえ、私からはいっていったので」 「何々、何の話?」 「さっきの教祖様の話です」 「あぁ、柚木教」 「だから言わないってば」 私達の話に和樹先輩が入ってきて、それに引っ張られるように柚木先輩も入ってきた。 円形になって、右回りに私、和樹先輩、柚木先輩、香穂子先輩となっている。 「それにしても、ちゃん、けっこう言うのね」 「え?・・・・・・あぁ、慣れてますから」 「慣れてる!?あの状況に!?」 「はい。小学生のときはお兄ちゃん達のお蔭で大丈夫だったんですけど、中学では もうお兄ちゃん卒業しちゃっていなかったので、先輩に呼び出されたりしてまして・・・」 「えっ、呼び出しって・・・・・・もしかして体育館裏とか!?」 やっと話が飲み込めてきたらしい和樹先輩の言葉に私は頷いた。 「先輩が好きな人がどうやら私を好きだったとか、私の所為で彼氏と別れたとか、存在が気に食わないとか・・・色々な理由で呼び出されましたね。  自分が好きな人が私を好きだからって八つ当たりは酷いですよね。嘘かもしれないのに。・・・それに、彼氏と別れたのを私の所為にしないで欲しいですよ!  初めは呼び出される度に泣きながら家に帰ってお兄ちゃん達に理由を問われて、次の日にお兄ちゃん達が中学校に集結しちゃったりしてたんですけど、  何回かそういう目に遭う内に慣れてきまして・・・・・」 「慣れた!?」 「はい。だって、悪いのは十中八九あちらですから。その辺を指摘して、さっきのように言ってやれば、大体尻尾巻いて逃げていきます」 「へ〜・・・」 「そ、そうなんだ」 「けっこうさんって逞しいね」 「守られてばかりじゃいられませんから。女の子だって、強くなくちゃいけないんですよ?」 微笑みを絶やさず、普通じゃありえないようなことを淡々と話すに 彼らは尊敬にもにた眼差しを向け、可憐で無垢なる美少女の最後の言葉は 今日見た美尋にはぴったりの言葉だった。 +++++++++++++++++++++++ やっとコンクールが進み始めました。 といってもまだ顔合わせ……先は長く険しいです; しかも久々更新。約2ヵ月開きましたね(汗) 次の更新は1ヶ月以内に…します! たぶん(おぃ!)
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