BACK/ NEXT〜序章〜 母は、私を産んですぐに死んだ。 昔から病弱で、私を産むのも止めた方が良いと言われていたと聞いた。 でも、母は私を産んだ。 その証拠に、私はこの世に存在している。 「愛する人の子供を産むのが昔からの夢だった」と。 それから少しして、母は息を引き取った。 お医者様の言う通り、私なんて産まなければ良かったのに。 そうすれば、もう少し長生きできたのに。 そんなこと思っても、叶うはずがない。 私はすでに産まれていて、母は死んでいるのだから。 父は軍人で、私が七歳の時、東部の内乱で命を落とした。 母をとてもとても愛していた人だったと聞いた。 最愛の人との間にできた私は、とても愛されて育った。 でも、あることを機に父は私を捨てた。 家にも帰ってこなくなり、最後に見た父は・・・・・・・死んでいた。 死んだ父を見ても、当時の私は涙一つ流さなかった。 きっと今でもそう。 私は涙を流さない。 乾いた瞳。 乾いた心。 両親を両方とも亡くした私は、幼なじみの二つの家でお世話になることとなった。 父は両親を若い頃に失い、母の両親のことは聞いたことがない。 二人は駆け落ちしてきたと、最近になって知った。 前からお世話になっていたので、違和感は全くなかった。 一つは、ウィンリィ・ロックベルの家。 ピナコばぁちゃんと二人暮し。 ウィンリィも、内乱で両親を二人とも亡くした。 二人は医師だった。 はっきりとした思い出はないけれど、優しい人達だったということは覚えている。 怪我をしたときは、すぐに手当てをしてくれた。 熱を出したときは、優しく診てくれた。 温かかった・・・・・・・・・・ もう一つは、エドワード・エルリック(兄)とアルフォンス・エルリック(弟)の家。 お母さんのトリシャさんと三人暮らし・・・・・・だったけど。 トリシャさんは病に倒れ、そのまま帰らぬ人となった。 大好きだった。 大好きだったのに・・・・・・・ 私の周りから、温もりを持つ人達が消えていく。 初めは お父さん。 エドとアルのお父さんはが小さい頃に家を出て行った。 私も記憶にない。 聞く話によると、錬金術師らしい。 それで納得した。 二人が錬金術師に長けている理由が。 二人がいたから、今の私がいる。 二人が錬金術を私に教えてくれなかったら、今の私はここにいない。 だって、今の私は国家錬金術師だから。 私、・ 十六歳。 エドワード・エルリック 十四歳。 アルフォンス・エルリック十三歳。 ウィンリィ・ロックベル 十四歳。 そのうち三人は錬金術を使え そのうち二人は、禁忌をおこした。 でもそれは、今日から三人になった。 ―――等価交換だよ。 まだ、それが頭から離れない。 影のようなしゃべるもの。 扉。 真理。 彼が言ったことは本当に私の身に起きたのだろうか。 それはまだ、分からない +++++++++ これが鋼の初連載ですね。 原作には沿いません。 原作より前設定。