エドとアルがいなくなって 少し周りが暗くなった気がした。 でも、なぜか悪夢を見ることはなくなって そしてそれは何か悪いことを象徴しているのではないかと 不安になって。 私は何故か〈あの人〉に会いたくなった。 〜会いたい〜 はぁ、と一つ溜め息ついたら 幸せが消えたように、憂鬱な気分になった。 仕事中なのに・・・・・・何時もはこんなことないのに・・・・・ 凄くやる気がない。 私は机に頭を乗せ、右を向いて窓から外を見た。 太陽の光が眩しい。 私は我慢出来なくなって、目を瞑った。 このまま眠ってしまいたい。 出きるならこの場から消えてしまいたい。 死ぬとかそういう具体的なものじゃなくて、 ただ、消えてしまいたい。 頭の中がぐるぐるし、私は短い白昼夢を見た。 エド達が修行を終え、そのあと私は直ぐに先生の元へと向かい、弟子にしてもらった。 辛かったけど楽しかった。 恐かったけど優しかった。 先生・・・・・・ 薄っすら目を開くと、誰かが私の顔を覗いていた。 目を擦って、顔を上げると、そこには大佐の顔があった。 「どうした、少佐。仕事中に居眠りなんて少佐らしくない」 「あっ、す、すいません!」 「そんなことで謝られたら、私は何百回も謝らないといけないな」 苦笑し「疲れているのか」と問われる。 「どうなんでしょう・・・・・・」 まだ眠気の取れぬ頭に映るのは、大佐ではなく先生の顔。 会いたい。 先生に会いたい。 この、私が犯した愚かな過ちを。 存分に叱ってもらいたい。 破門されるかもしれないけど。 でも、会いたい。 先生・・・・・・ 片手で目を押さえる。 それを見て、大佐は「疲れているのだろう」と思ったのか 「少し休養を取りたまえ。色々あって、精神的にも体力的にも疲れているのだろう」 「そうですね・・・・・大佐がお仕事をおさぼりするお蔭で、年休はたくさん残っているんですよ」 そう言い、微笑んでみたら、大佐は冷や汗を流して唇の端を引き攣らせながら笑っていた。 そうだ。 休みはたくさんあるから。 会いに行けば良いんだ・・・・・・・・・ 決めた! 「大佐!」 私は勢い良く立ち上がる。 「な、何だね」 「明日から三日ほどお休みをいただきますが宜しいですか?」 「明日から三日か?!」 大佐は困った顔をしている。 「えぇ。大佐がしっかりとお仕事をしてくだされば、私がいなくとも大丈夫ですよね。大佐がしっかりとお仕事をすれば」 ホークアイ中尉を真似して、にこっと微笑んだら 「わ、分かった・・・・・・努力しよう」 大佐は慌てて頷き、そしてハァと溜め息をついた。 そして 「ではその申請をしてくるので待っていてくれ。もしかしたら明日から直ぐというのは無理かもしれないが・・・」 と言いながら、部屋を後にした。 会える。 先生に。 会いに行こう。 早く、会いたい・・・ 先生 逸る気持ちを抑えて、私は仕事に集中した。 大佐がしっかりやるとは思えないので、出来るだけやろうと思ったからだ。 「少佐、明日から休み取るんすか?」 話を聞いていたハボック少尉に問われる。 「はい、出来たら」 「どこ行くんです?」 「先生の所へ」 その満面の笑みに、ハボック少尉は疑問符をあげる。 「先生?何のっすか?」 「錬金術のです」 「ふ〜ん」 紫煙を吐き出して「楽しんで来いよ」とまるでお兄ちゃんのように優しく微笑んだ。 仕事が終わり、軍の電話を借りて先生に電話をする。 大佐が明日から三日間、有給を取ってくれた。 どうやら大丈夫だったらしい。 今日は夕方には終わる予定だったが、三日も休みを取るので明日の分とか他の人のもやっていたら遅くなってしまった。 「はい、こちら・・・・・・」 「先生!」 先生の声が聞こえて、私は感激のあまり先生の言葉を遮った。 先生は驚いたように言葉を発す。 「か?!」 「はい、ご無沙汰してます。すいません、全然連絡をいれないで」 「いや、元気でなりよりだ。今日はどうした」 「・・・あの、話したいことがあるんですけど、明日、先生を伺っても宜しいですか?」 私の言葉に、先生はきょとんと 「今じゃ駄目か」 問い返す。 慌てて私は 「駄目じゃないです!あっ、いえ、駄目です!」 「どっちなんだ」 私の慌てように、先生は笑いを零した。 「あ、あの今は駄目です。三日間休暇が取れたのでそちらに向います」 「分かった」 「急にすいません」 「いや、大丈夫だ。それより、。お前は何の仕事をしているんだ?」 先生はきっと、ふと、疑問に思ったのだろう。 嫌な汗が流れる。 先生は軍が嫌いなのだ。 きっと今言ったら「来るな!」と言われるに決まっている。 「あ、それも明日話します。今日はまだ仕事が残っているんですよ。じゃあ、そういうことで。失礼します!」 「あぁ、楽しみにしているよ」 慌てて急いで電話を切った。 ふぅ、と息を吐く。 「嘘、ついちゃったな」 咄嗟のことだったのでしょうがないけど、しかし嘘というものは気分が悪いので、 私はもう少し、仕事をしていくことにした。 誰かいるかな・・・・・・とそーっと扉を開けると、大佐が一人、仕事をしていた。 えっ?!と吃驚して思わず 「大佐!どういう風の吹き回しですか?!」 その驚きを声に出してしまった。 その言葉に、大佐は手を滑らせて、ゴンと机に頭をぶつけた。 「大丈夫、ですか・・・?」 急いで大佐の元に駆け寄る。 「私だってしっかりと仕事をするときはあるさ」 「すいません。あまりにもギャップが激しかったもので・・・・・・」 「少佐。私が傷つかないと思うかね」 大佐は引き攣り笑いをしながら私に問った。 「傷つきましたか?」 「多少な」 二人で苦笑し、私は大佐の仕事を覗いた。 これって・・・・・・ 「溜めていた仕事ですね。それも明日の朝までの」 大佐はぎくりと、肩をビクつかせる。 「良く覚えているな」 「一応、副官ですから。このくらい当然です」 にこりと微笑む私を見て、大佐は 「少佐、この頃ホークアイ中尉に似てきたな」 と呟いた。 「本当ですか?嬉しいです」 「私は嬉しくない!それより少佐、君は何をしに来たんだね?」 ふと、大佐は問う。 「あっ、あのですね、先生に電話して、まだ仕事があるって嘘をついてしまったんです。 それで、気分悪くなって、言ったとおり仕事をもう少ししていこうかな・・・・・・と」 その言葉に大佐は目を輝かせ 「だったらこのサインをしてくれ!」 「えっ、私ですか?」 「あぁ。佐官以上のサインなら何でも良いんだ。頼む!」 「はい・・・分かりました」 他にするような仕事もなさそうなので、私は大佐に勢いに負け、けっこう厚みのある書類の束を受け取り、 簡単に目を通してからサインをし始めた。 「あっ」 いきなり思って、声をあげた。 忙しく動かされていた、大佐のペンを握る手が止まる。 「どうした」 「いえ。さっき入ってきたとき、いつもと違って一生懸命仕事をしている大佐を見て・・・・・・」 「私を見て何だ。また人を傷つけるつもりか」 大佐は不貞腐れた顔で私を見た。 「違いますよ!ただ・・・ちょっとかっこいいなって、思いました」 本当にそう思ったの。 大佐はたぶんかっこいいのだから、何時も以上って言うのかな? あと、出来るんだから何時も普通にお仕事をしていればお仕事を溜めずに済むのに・・・・・ とも思ったけど、そこは言わないで置いた。 だって大佐、そう言ったら 「そうか。なら、頑張るぞ」 はりきって仕事を再開したから。 良く分からないけど、大佐がやる気を出してくれて本当に良かった。 私も仕事を再開し、そのまま時間が過ぎていった。  +++++++++ えぇー・・・大佐と二人きりの場面がないと思い、二人きりにしてみました。 あんま良い感じじゃないけど(汗 でも最後の方は大佐にとっては良い感じかな?(笑
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