「・・・・・以上です」 話は終了。 言葉は何も返ってこない。 そんな顔で見ないでよ。 そんな哀れみの顔なんて向けないで。 心がズキッ、と痛んだ。 〜知った真実〜 「肩って・・・・・・じゃあ、あの傷は小父さんがつけたものだったのか?!」 口元にあった右手を下ろして腕を組み直しながら、やっとエドが口を開いた。 どうやら過去を振り返っていたようだ。 「うん。あれはケーキ切るはずだった包丁で切られたもの。けっこう薄くなってるよ」 「見る?」って聞いたら、エドは間を置かずに慌てるように首を振った。 「じゃあ、あのお腹の傷も・・・・・・」 「あれは銃よ」 静かに笑ったら、空気がすーっと冷たくなった気がした。 笑う場面ではなかったらしい。 もう過ぎてしまったことなのだから、大丈夫なのに。 こうしてやっと誰かに話すことも出来たのだから、大丈夫なのに。 大丈夫なはずなのに。 何で、そんな顔をするの? 何故エドとアルが傷があることを知っているのか。 それは幼なじみだからっていうのが答えかな。 幼なじみだから小さい頃は一緒にお風呂とか入っていたから。 「どうしたの?」って聞かれたことも覚えてる。 聞かれる度に私は「さぁね」って答えてた。 「痛くない?」って聞かれても「痛くないよ」って笑って答えてた。 傷痕は痛くなくなっていたけれど、聞かれて答える度にあの時のことを思い出して、胸が痛んだ。 今もたまに思い出すけれど、痛みは前ほどではない。 でも、話して向けられた表情に胸が痛んだ。 「・・・それは本当のことなのか」 エドとアルが来てから初めて大佐が口を開いた。 視線は私に向けられ、声色は何所か真剣で重い。 それに少し戸惑いながらも、私はそれを隠すように微笑しながら顔を大佐の方へと向けた。 「えぇ、本当ですよ。なんなら傷痕みせましょうか」 「それは別に」 顔が少し赤くなったのに気がついた。 色んな女性とお付き合いをしている大佐でも、やはりいつもは服の下にある肌を見るのは恥ずかしいのだろう・・・・・・たぶん。 「大丈夫ですよ。だってそういう疑問をあげたという事は、信じていない部分があるという事でしょう?」 私は大佐の答えも聞かずに軍服を脱ぎ、黒のぴったりとした半袖のシャツになった。 体付ききが良く分かる。 そしてシャツの裾を捲る。 日光に当たることはほとんどない、日焼け知らずの白い肌に混じって〈傷痕〉がある。 それは一目で銃弾が貫通したものだと分かる傷で、撃たれた痕を残して皮膚がくっついていた。 初めは皆、見ることを躊躇していたけど、少しずつ傷痕を視界に入れ始める。 傷痕を見て私の顔を見て、また哀れんだような私にとって痛い表情をした。 〈哀れみ〉なんて必要ないのに。 〈哀れみ〉は私を痛めるだけ。 そんな顔しないでよ。 ・・・・・しない方が無理なのかな。 皆が見終わったのを確認し、軍服を着る。 「俺、知らなかった・・・・・・がこんな目に遭っていたなんて」 エドが悔しそうに声を出した。 膝に置いた握り拳は、細かく震えていた。 私はその手をそっと握り、微笑んだ。 「知ってるわけないじゃない。だって知っているのは、今生きている中では私以外にばっちゃんと先生だけだもの。 私が禁忌を犯さなければ、一生知ることはなかった真実なのよ」 「だからって何で言ってくれなかったんだよ?!言ってくれたって良いじゃないか!そんなんで俺達がを避けると思うか? 俺達短い付き合いじゃないだろ?生まれた時から知り合いの幼馴染だってこと分かってるか?!」 困惑と悔恨などが混じり合い、エドは私の手を振り払って立ち上がる。 勢いがつきすぎて、椅子が倒れた。 それを気にせず、エドは悲憤の表情を私に向ける。 「だって、言っても心配させるだけでしょ」 「でも、自分一人で抱え込むよりはいいだろ!」 「抱え込む、ね。大佐にも言われたけど、別に抱え込んでいるわけじゃないのよ。言わないのはね、もう解決したことだからよ。 それに、言って慰めてもらおうなんて思ってないから。自分の問題は自分で解決するものなのよ」 そう言い、私は椅子から立ち上がった。 エドはまだ納得出来ないという顔をしているが、何も言わず黙って私を見ている。 「どこ行くの?」 「雑巾を取りに行ってくる。コーヒー零しっぱなしじゃダメでしょ?」 そう言って、私はドアノブに手をかけ部屋を後にした。 何故皆、私のことを心配するのだろう。 心配するのは良いけど、心配されるのは好きじゃない。 だからこうやって、押し込めておくんじゃない。 抱え込んだ問題は、心の中で「嫌な思い出」となるだけだから。 そしてそれは、たまにふと思い出してしまうだけのものになる。 少し我慢すれば大丈夫なのよ。 だから心配しないで欲しい。 冷たい水で濡らした雑巾を絞りながら、私はそんなこと思っていた。 こういう考えは、我が儘なのだろうか。 でも、甘えたいと思っても甘え方なんて分からない。 それもお父さんと一緒に消えてしまった。 涙と共に・・・・・・・  ++++++++++ 主人公の独白多いな・・・・・。 独白中心話? なんか、なんか・・・(沈
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