私の想いは、秘密
今日は長い日になりそう・・・・・・と思っていたのに
時間は思ったより速い速度で過ぎていき、もう放課後になっていた。
思ったよりも目立っていなかったのかしら?私と梓馬。
ううん、絶対目立っていた。
だって視線が痛かったもの。
でも、柚木教の子達が何も言ってこないってことは・・・・・・・・・
違う。認められるはずがない。
ただどうしようか考えているだけ。
私をどのようにして梓馬から遠ざけようか。
そんなことを考えながら帰る用意をしていたら、クラスのお友達に呼ばれた。
「―」
「は〜い」
「日野香穂子ちゃんが呼んでるよ」
「本当?ありがとう」
日野香穂子ちゃんは、一つ下の後輩で、去年同じ委員会だったときからの仲。
香穂ちゃんからコンクールの出場者に選ばれたことで相談を受け、
嗜みで色々な楽器をやっていた私は練習を手伝ったりするようになったの。
それで、他のコンクールの参加者の人達とも仲良くなったのよね。
前からたまにお話していた人もいるけれど。
荷物を持って、ドアまで小走りで駆けて行き、香穂ちゃんと向き合った。
「どうしたの?」
「あの、伴奏と指導をお願いしたいんですけど・・・・・・先輩、今日大丈夫ですか?」
遠慮がちに問う香穂ちゃんを安心させるようににこりと微笑んで
「大丈夫よ」
私は頷いた。
私の答えに香穂ちゃんは顔を嬉しそうに輝かせた。
しかしそれは一瞬で、その表情は疑問符をあげるものへと変わってしまった。
その疑問は、もちろん私へのもので。
表情に出た次の瞬間には、香穂ちゃんの口から発されていた。
「・・・・・・あの、聞きたいことがあるんですけど」
「何かしら?」
少しの間が空き
小さく、トーンを落とされた声で
「柚木先輩と付き合い始めたんですか?」
今日、きっと言われるだろうと思っていた言葉。
放課後に言われるなんて。
しかも、色々と知っている香穂ちゃんから。
「じゃあ、屋上に行こっか」
「えっ、あの・・・・・・」
香穂ちゃんの意見も聞かず、私はその手を掴んで歩き始めた。
普通科の屋上へ。
本当は立ち入り禁止なのだけれど、絶対に人がいない場所といったらここしか考えられなくて。
人のいるところで、私の想いを話したくなかったから。
知っているの。
香穂ちゃんは。
私と梓馬の関係。
私が前に、うっかり梓馬のことを呼び捨てしてしまったから。
だから香穂ちゃんには話してある。
でも知らない。
私の気持ち。
これは、話さない。
ただ、今日あった事と
梓馬の行動について、思ったことを
話すだけ。
少しだけ、聞いて欲しかった。
この疑問を
靄の塊を
少しでも消したかったから。
+++++++++++++++++
香穂子登場です。
何気に色々と知っている子です。
委員会で仲良くなりました。
他に高学年のお姉様と知り合える機会なんて部活くらいしかないですし・・・・・・
香穂子は帰宅部でしょうから。
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